ほとんど寝られないままに、小夜ちゃんと一緒に長い夜を過ごして迎えた朝。


眠いけど頭はハッキリしてたから、駆け足で朝のお世話とケアを終わらせた後は、出かける予定だったのを取りやめて、お昼の作業も全部サボって、小夜ちゃんといちゃこらしながら過ごしてた。


ふかふか毛布が嫌になってしまったようだから、保護した時からちいさかったのに、更に骨ばってしまった痩せた身体を、ゆっくりゆっくり撫でていて。


へへ。
なんて可愛いお顔するんだろ…。

かーちゃん、嬉しくなっちゃうよ!



このお部屋で誰かといちゃこらしてると、必ず現れる甘えん坊主の醍醐くんw。


自分が一番じゃないとすぐに不貞腐れるから、たまに片手だけ貸し出して。


そんな拗ねた顔していじけていたって、ひたすらゴロゴロ言ってるんだから、素直に甘えりゃいいのにさ…w。



そして更に追加で充くんもお邪魔虫にやってきて。


醍醐くんも充くんも、そうやって拗ねた顔して甘えるのやめなさいw。


かーちゃんの手が何十本とは言わないけれど、せめてあと二〜三本あればいいのにねw。


かたや今は甘えられないと理解したリキくんは、ひとりケージの上で不貞寝ちうw。


写真に撮ってはいないけど、あっちからもこっちからもどんどんお邪魔虫が登場するから、落ち着いてゆっくり小夜ちゃんと過ごしたいのに、やっぱりそれは出来ないみたいだね…。



午後に病院に行く時間になっても、家を出るのが怖くって。


だけど醍醐くんはお腹ピーピーだし、ポチくんの調子も落ちてるし、まること約束してた七兄妹の駆虫薬も届けなきゃならないし。


だから小夜ちゃんに待っててね。と口では言ったけど、心の中では待っていなくていいんだよ。と言ってから、醍醐くんとポチくんを連れて病院へ。


診察中は洗濯ネットに入っていたから、帰宅してからまるこに送ってもらった写真しか無いけれど、七兄妹を頑張って育ててくれたおかーさんの不妊手術の抜糸が、無事に終わってくれました。


七匹の子どもを必死に育ててくれたおかーさんの乳腺は、それはそれは見事にパンパンに腫れていたから、しっかり大事をとって二週間以上開けての抜糸だったけど、傷口は綺麗に塞がって、乳腺の腫れも収まってくれていた。


頑張り屋さんのおかーさん。

ホントにお疲れさまでした!


醍醐くんのお腹の緩々の原因は、もう何度目になるか分からない予想通りのキャンピロバクターだったから、お薬貰って今日から投薬スタートだ。


ポチくんはお口が痛くなりすぎていたのか、ちょっと肝機能が落ちていたのに加えて、膵炎を併発しそうになっていて。

帰ったらお薬と補液をしなくちゃね。



バタバタと診察を終わらせて、帰宅してお部屋に飛び込んで。


小夜ちゃんに声をかけたらば、すっかり粗くなってしまった呼吸の中で、掠れた声でお返事してくれた。


嬉しくて、切なくて、愛しくて、苦しくて、必死で泣くのを堪えながら、小夜ちゃんのちいさな身体をゆっくり抱き上げて。


名前を呼ぶ度にその都度お返事してくれた小夜ちゃんの声が聞こえなくなったと思ったら、ほんの数回の深い呼吸の後に、小夜ちゃんは静かにお空へと走っていった。



待ってて、くれたのかな…。

待っててね。なんて言わなきゃ良かったのかな…。

なんてコトを思いながら、床にへたり込んで、ただ、あとは泣くことしか出来なかった。


でも、でも、あたしにとってはかーちゃん冥利に尽きるから。


怖がりだけど、びびりんぼだけど、お尻トントンされるのが大好きだった小夜ちゃんの、なによりの置き土産だと思うから。


だからちいさな身体をやっとぎゅうっと抱き締めて、ありがとう。と、大好きだよ。と、それだけ言って、あとはひたすらに泣いていた。


どれだけ泣いていたのか覚えてないけど、ふと気付いたら周りをみんにゃさんに取り囲まれていたから、急いで涙を拭いて鼻かんで、小夜ちゃんの身体を安置して。


顔を洗って頬っぺた叩いて、なんとか夜のお世話をしなくちゃね。


夜のお世話とケアを終わらせたら、小夜ちゃんの側で想い出語りをしながら過ごしましょう。



明日も頑張ろう。