※1
アイカツ!(TVシリーズ178話、劇場版三作)および最新作「アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~」のネタバレを含みます。

※2
パンフレット等のインタビューはまだ読んでおらず、解釈は異なる可能性はあります。あくまで、個人的な感想を書き連ねたものです。


※ワンクッション、自分のらくがきを置いときます

・『氷の森』という表題

アイカツ!の物語を締めくくる歌が「氷の森」と聞いて、最初に想像したのが「ソレイユ(いちご、あおい、蘭)が溶かしてくれる問題」と想像はしておりました。ただ、「何を溶かすのか」というのは、具体的なストーリーに関わるものなのか、比喩的なものなのかは、まるでわかりませんでした。また、シリアスな展開になるのも、少し覚悟をしていました。理不尽なことが突発的におこるのも、アイカツ!シリーズではよく起こる気がするので。
そもそも、「178話」もかけて綺麗に幕をおろした作品を、更に続ける意味はあるのか、という一抹の不安もありました。「筐体(ゲーム)」「携帯ゲーム(3DS)」「フォトカツ」「スターズとの同時上映映画」「オンパレ」という形で何度も終わりを迎えた物語の先を、どう描くんだろうと。キャラクターが多く、ファンも世界観に長く浸る人が多く、情操教育のなかで物語を観た子も多く、それぞれ思い入れがとても強いぶん「皆が納得する物語は難しい」と思っていました。当時(2011年)はまだ「推し」という言葉じたい、リアルのアイドルにしか使っていなかったような気がします。(ラブライブでその辺りがアニメに対しても使われるようになったような…)

・ソレイユを根幹とした群像劇

内容に関しては、やはり「ソレイユ」(太陽)の物語が中心だったように思います。178話より先の未来を描くことについては、個人的には…「ユリカ様がお酒をのんでるシーンは観たくなかった💦」というのが正直なところです。でも、もともと「普通の女の子」としての側面も丁寧に描かれていたので、今になってみれば確かに自然な描写だったのかなと思います。ただ、帰ってきたアイカツ!格言で「飲みすぎ注意」みたいなのはほしかった…いや、でも大人なんだから普通の描写ですね。かえでちゃんは髪型の変化で「何かあったのかな…」と思いましたが、昔の関係性のまま大人になった感じはしましたね。一瞬、車のシーンで「ダッド」(父親)という台詞が「ダーリン」と何故か勘違いして「らいちくんが!?」となりました😇(でも、いずれにせよあのシーンは混乱するような)
蘭ねえさんは最初からプロ意識が高かったのと、いちごちゃんも劇場版一作目でプロとしての描写(特に歌詞の修正)なんかはしっかり描かれていたので、そこも安心感はありました。
だからこそ、いちごちゃんの言葉に関しては一言一言重みがあって、映画館から泣くのを必死にこらえる声が少し聞こえてきました。自分にとっても刺さる言葉がちらほらと…。個人的には、「君」という言い回しに関しては「フォトカツ」の最後のイベントを少し想起しました。(イベントで最後に自分のHNで別れを言ってくれる描写がありました)
励ましのメッセージというのは、個人的に諸刃の剣だと考えているのですが、ここで「10th」という重みが、説得力のある台詞として響いた気がします。

・記号的ではない描写

髪型…といえば、あおい姉さんは本当に驚きました。テレビシリーズではディフォルメの描写が多く、記号的な描かれかたも多くされていたので、まさか、そもそも髪型が変わるとも思わなかったのです。あおい姉さんの描写について印象が強かったのは「初恋の描写」でした。大体、アイドルアニメだとタブーな気がするのですが、これをきちんとやっていたのが、人物として「一人の普通の女の子」という描きかたが凄く好感がもてたのです。回想シーンではわりとあおいねえさんの髪型は少し違っていて、お団子だったり、ただの髪飾りだったり…ただ「アイドルオタクになった時はシュシュ」という描写は一貫している気がします。初恋のシーンと、オタクになるきっかけと、シュシュが結び付いているのかはわかりませんが、ともあれ「シュシュを外す」というのはそれだけ心理的に明確な変化はあったのだと思います。でも、だからこそ「記号的に人物を描かない」というのは一貫していて、ドラマとしても、やっぱりすごく面白いなと思います。

・「星宮家」から始まっていた物語

ライブのメッセージに関しては、皆さん感想として各々書いていらっしゃるかと思うので、自分は少し違った角度で書き記そうかなと思います。具体的には「星宮家」(家族)のことです。安心したのが「らいちくん」の描写でした。「あのアイドルの中にいて大丈夫なのか」とも感じましたが、お父さんと似てきている描写をきちんと描いてくれて安心しました。「最初から家族がいる」というのを、当たり前のように描写してくれたことは、ホッとしたのです。多分、お父さんと似た良い父親になるんじゃないかと…個人的にはノエルちゃんと「それとなく恋愛の描写」があっても良いんじゃないかとも。瀬名さんとあかりちゃんとはまた違った関係性で、「幼馴染とも、趣味のあう友達とも違うジレンマ」がちょっと観たかったのが本音です。おそらくは、ノエルちゃんがアイドルをやりきってから、それからまた向き合ってほしいなとも思いますが…らいち君が太一さんと同じく「アイドルと結婚する」という未来でも、そうでなくても、それはまた想像の余地がありますね。いずれにせよ、20年ぐらい先の物語になるでしょうか。

・枝を伸ばすように広がっていた物語群

「物語として最初にはじめたこと」を前提として、大人になる未来を描いてくれたのは、原点回帰でもあるのかなとも思います。そもそも、いちごちゃんの母親はアイドル(マスカレード)でした。もう既に、「アイドルであった大人」を描いている時点で、ある種「アイカツ!という物語は最初から大人を描いていた物語」だったのかもしれません。
「氷の森」というのは、思い出の結晶のようなものかなと。アイカツ!1話から、もう既にマスカレード側からすると、数えきれないくらいの思い出はあったことでしょう。とりわけ、星宮太一さんとのご結婚に関しては色々とあったんじゃないかと。
物語上で人間関係の「根幹」が沢山あり、そこから広がって、また成長して…といったように、群像劇として、物語の世界観の比喩として「森」というのは、なるほど振り替えれば確かにそうだったなぁと。あとは、いちごちゃんのサイン回で「木をみて森を見ず」だった女の子が、「森をみるようになった」ともとれるような。

・既に根があった『氷の森』

人間関係や成長物語が「氷である」というのは、文字通り冷たい言い回しかもしれません。言葉の印象として思い浮かべたのはSF用語である「コールドスリープ」でした。それこそ、時をこえて目覚める的な…
でも、「氷の森」という描写(ニュアンス)は既にやっていたのだと思います。それが、美月さんが倒れた時のマスカレード復活回です。「星宮りんご、織姫学園長」という大人が、「ヒメとミヤ」というアイドルに戻ったシーン。『Wake up my music』のライブで二人にとっての「思い出も、音楽も、ファンも、あの時のまま」だったのかもしれませんね。ライトモチーフ(象徴)として、あのBGMもうまく作用していた気がします。その一連の描写で「氷の森」が溶けていた、という印象があります。
だから、『氷の森』というのは悲しい終わりかたではありません。「20年たっても変わらない関係性」という物語は、最初からアイカツ!に内包されているからです。いちごちゃんが憧れていた美月ちゃんが倒れた回がマスカレード回ですから、あの話は今にして思えばかなり重要だったのでしょう。最初、「作中で20年前もの曲なのに昭和のアイドル風(70~80年代風)にしないのか?」と感じましたが、今になってその描写は腑に落ちました。元より、10thのテーマでもある「時をこえて会える」と、提示してくれていたのでしょう。偶発的なものかもしれませんが、どうあれ結果論としてむすびついている、あるいは結び付けてくれたのかもしれません。理屈はどうあれ、色んな人の心に響く素敵な映画でした。映画館の初日、自然と拍手がおきました。当時まだ幼かった人、アニメ鑑賞が趣味な人、それぞれ感想はまるで違うはずなのに、あたたかな空気に包まれていた気がしました。

・アイカツ!の帰結

とはいえ、一方でアイカツ!シリーズはこれでやはり終わりなのかなと、寂しさはあります。
『SHINING LINE*』で「そらせないくらい綺麗だったの」という歌詞が自分は好きです。自分にとってアイカツ!の物語はこれに尽きます。これほど長く追いかけるアニメシリーズは、もうないかもしれません。自分にとっては特別な存在になった印象が強くあります。今回、その先をいったのが「そらせないほど綺麗だった太陽(ソレイユ)が、いつか『氷の森』(ずっと過去の物語)をも溶かす」という物語群だったのかなと感じています。「木」といえば、「クスノキの恋」という話もありましたね。あれも、時をこえた思い出(初恋)の物語でした。
「クスノキの君は50年もパパの事忘れてなかったわ!」
といったように、最初から「木」というのはアイカツ!にとって「かわらないもの」の象徴のひとつだったのかもしれませんね。奇しくも、映画を象徴する写真をとったのがおとめちゃん…というのも、奇縁ですね。

また、生きていたら10年後も、20年後も観返す映画だと思います。「クスノキの恋」のように50年後も探して、求めるのかもしれません。
何度も見返す度に、『氷の森』はとけて『アイカツ!』はまた大人になる度に違った視点で観ることができるようになっているのかもしれませんね。「いつか自然と氷解するもの」というニュアンスもあるような。

・現実とアイカツ!

心から出会えて良かった作品でした。ただ今は、そっと『氷の森』という「自然と溶けていつか思い出すもの」としてそっと閉じておこうと思います。
最後に。アイカツ!シリーズを作って下さった全てのスタッフ・キャスト・関係者に心からのお礼を言いたい気持ちでいっぱいです。東日本大震災で被災中、根本から練り直した企画が、ここまで続くとは制作側も想像してはいなかったのではないかとお察しします。今はコロナや物騒なニュースで不安が続きますが、だからこそ響く台詞が、映像が、音楽が沢山ありました。

・個人的なこと

自分がかかった第一波のコロナの味覚障害は、いまだに治っておらず模索中です。でも、この映画のおかげで元気はもらえました。お菓子の味はもうほとんど忘れてしまったぐらいですが、このアニメを観れば想起できる感じもして、それもまた琴線にふれるものがありました。
原因不明の耳鳴りに関しても、サードオピニオンを検討している状態で、映画を観るのもわりと精一杯な感じでした。これに関しては、「万全の状態で見たかった」というのが本音です。これを書いている最中ですら、キーンと耳鳴りがあり、ぽこん、ばりばり、ぷつん…と、ちょっとヤバめな耳鳴りがあるので、本当にギリギリでした。2021年末のMRI検査で異常はなかったのですが、再検査するかもしれません。だから、この作品もBDでゆっくり観るのを想定していたくらいです。また、長年続けていた音楽については、一旦ひかざるをえず、作曲(+ピアノ)専攻で大学院まで出た経歴も、まぁ水の泡な感じです。たまにご縁はありますが。とはいえ、最近絵をかくのが楽しいので、これはこれで。臨機応変に生きようかなと。
…自己語りは脱線しそうなので、作品の話に戻します。
Twitterでも書きましたが、重ね重ね、本当にありがとうございました。最高の、唯一無二の作品です。

P.S.
正直、まとまらない。
映画に関してもまだ語りたいことがあったり…
2回目でおそらく気付くシーンも沢山あるかなと。
……ぶっちゃけます!!
本音を言うと、「あかりジェネレーションメインで続きも観たい!!もっと色々とめっちゃ観たい!!アイカツ!SS(漫画版)も観たい!!」
ですが、終わりです。
完結です。
『氷の森』です。


すごく辛いです。特にスミレちゃん関係はもっとみたい。らきちゃん(オンパレ)まわりの掘り下げも、もっと観たい。
でも、「もっと観たい!」という感情も含めて『アイカツ!』なんだろうと思います。だから、絵を描いています。
あくまで、雑記ですが読んで下さった人がいたらありがとうございます🌠

アイカツ!を知ったのは、Amebaブログからでした。とある教えて下さった方へ。本当に、心からありがとうございます。人生の支えになった作品でした。そして、自分にとって、これからも支えとなる物語です。それでは。
m(__)m