美容院フェアリーテイルにて
営業中、客なし
蜂「カメラとかって興味ある?」
可「いや、特には」
蜂「ないか~」
可「ないこともないス」
蜂「どっち」
可「持ってないんで、何とも言えない感じスね」
蜂「あ、じゃあいる?」
可「くれるんスか?」
蜂「んー新しいデジカメ買おうかと思って。いま持ってるやつちょっと古いから、使わなくなってほっとくくらいなら誰かにあげようかなって」
可「ああ」
蜂「欲しい?」
可「まあ、もらえるなら」
蜂「でももちろんタダじゃないよ」
可「え…」
蜂「何その意外そうな顔(笑)そりゃあキミ、いくら古いからってあたしがお金払って買ったやつだもの」
可「そうスか。じゃあいいス」
蜂「決断はや!いや誰も原価で売り付けようなんて言ってないから」
可「え、いくらくらいスか」
蜂「そうねぇ、5万くらいしたから、まあ1万そこそこかな」
可「じゃあいいス」
蜂「だから早いって(笑)じゃあ逆にどれくらいだったら引き取ってくれる?」
可「え、これもう買う流れなんスか」
蜂「いやほら、一応さ」
可「じゃあ……2000円で」
蜂「おーい!金銭感覚!そこはせめて5000円か6000円くらいにしない?」
可「そうなんスか?」
蜂「いや、もうちょっとこう、あたしのことも考えてくれてもいいんじゃないかしら。はじめは言い値より少し低いくらいに設定するのがセオリーじゃない?」
可「いや、そう…スか」
蜂「そうだよ!そこから徐々に下げていって、最後細かいとこまで値切るのが醍醐味じゃん!」
可「や、そもそもカメラそんなに欲しいわけでもないんで」
蜂「えー!さっきカメラ興味ないこともないって言ったよね?」
可「言いましたっけ」
蜂「言ったよついさっき!」
可「まじスか。でももらっても正直使わないかもしれないス」
蜂「えーそれはやだなあ」
可「じゃあ、大丈夫ス」
蜂「ちょっとさ、もうちょっと断り方ってあると思うんだけど(笑)」
可「でもほんと、何撮ったらいいか分かんないス」
蜂「何でもいいよ。景色とか、植物とか、猫とか、自分とか、あ、旅行行ったりしたら重宝するよ!」
可「旅行は、行かないスね」
蜂「たとえばよ、たとえば!」
可「うーん…」
蜂「とりあえず持ってみて、あとは自由に使えばいいんだから。あ、そうそう、動画も撮れるよ!」
可「あ、すごいスね」
蜂「でしょ?」
可「でも動画も別に撮らないスけど」
蜂「だからー!分かんないじゃんか!」
可「いやー…」
蜂「……ええい!!そんじゃあお望みの2000円で売ってやるよ!どうだ!?」
可「え、いいんスか?」
蜂「あ、ごめんやっぱ3500円…」
可「……」
蜂「じゃなくて3000円!」
可「……」
蜂「2500……ええい!2000円!」
可「1000円!」
蜂「1500!」
可「1200!」
蜂「1250!」
可「1230!」
蜂「1235!」
可「1233!」
蜂「1234……ええぇぇい!しゃらくせぇ!800円!!」
可「買った!」
蜂「はいこちらのお客様800円でデジカメお買い上げ!どうもありがとうございます!」
可「いい買い物した」
蜂「…っておーーい!!」
可「…」
蜂「なるかーーい!!800円ってちょっと!そんなのほぼタダみたいなもんじゃないの!新しいデジカメ買うのの足しにもならないって!馬鹿にしてんの!?」
可「いや800円は蜂須賀さんが…」
蜂「そうだけど!可児くんの刻み方も鬼だよ!1235円から1233円て、ほぼ同じ値段だよ!?」
可「でも蜂須賀さんが、細かいとこまで刻むのが醍醐味って…」
蜂「まさかやるとは思わなかったもん!」
可「えぇー」
蜂「だからハイ!今の無し!」
可「無しスか」
蜂「あ、ねえねえ、じゃこういうのどう?一回可児くんがごはんおごってくれて、それのお礼みたいな」
可「あー。…何でもいいスか?」
蜂「常識の範囲内でね!」
可「あ、はい、じゃあ……回転寿司とかでいいスか」
蜂「ま、まあいいよ。合格ラインかな」
可「合格ライン…」
蜂「よし、じゃあそういうことで!ありがと、大事に使ってね!カメラは明日持ってくるから」
可「はい。でもなんでおれにくれるんスか?」
蜂「うん、まー特に理由はないけど、身近な人で、カメラにあんまり興味なさそうな人に薦めたかったのよ」
可「おれ以外に売ってたらもっと高く売れたかもしれないのに」
蜂「いや、でもぜひとも可児くんに譲りたかったってのはある」
可「どうしてスか」
蜂「え、なんか」
可「なんか?」
蜂「なんかだよ」
可「なんかスか」
蜂「あ、ほんとなんでだろ…、分かんない、可児くんじゃなくてもよかったな確かに」
可「え」
蜂「やっぱ返して」
可「いや、え、まあいいスけど」
蜂「なんかごめん。その代わり今日回転寿司おごるよ」
可「……ご、ゴチです」
蜂「いや、でもぜひとも可児くんに譲りたかったってのはある」
可「どうしてスか」
蜂「え、なんか」
可「なんか?」
蜂「なんかだよ」
可「なんかスか」
蜂「あ、ほんとなんでだろ…、分かんない、可児くんじゃなくてもよかったな確かに」
可「え」
蜂「やっぱ返して」
可「いや、え、まあいいスけど」
蜂「なんかごめん。その代わり今日回転寿司おごるよ」
可「……ご、ゴチです」

