Amebaでブログを始めよう!

『あちゃらか2~ねずみの唄は花火と共に~』

全ステージが無事に終了しました!

 

 

5日間8ステージという短い期間でしたが、すべて全力で臨みました。

それは当然としても、

前作に続き段差の多い舞台だったし、大きい劇場だったし、今回はダンスも盛りだくさんでお送りしたので、

日々、体の至るところがバッキバキになっていきました(笑)

それでもケガなく病気なく、誰も欠けることなく公演を終えられたのは有り難いことです。

 

 

 

 

前作で恋仲となった沙羅と邪紅。

(画像は、小玉久仁子プロデュースのSDあちゃらかキーホルダー)

 

 

 

今作では子宝に恵まれておりました。

こんな素敵な嫁さんもらっときながら、

こんなかわいい赤ちゃん生まれていながら、

邪紅は終始クズでポンコツでダメダメな男でしたね(笑)

そのせいで、正史では離婚する運命にあった二人。

救ってくれたのは、巡り巡って息子の寿限無(の霊体)ってことになるのかな。

最後には一応かっこいいところ見せて、幸せな家庭を築く未来が見えた気がしたのでホッとしました。

(ちなみに、終盤に町を救う時にサイレントでやっていた落語は『寿限無』です)

 

 

 

その寿限無の霊体を演じてたのがこの人。

おじいちゃんそっくり(笑)

沙羅にも邪紅にも似てねー。

これさ、みんなには見えてないし声も聞こえないって設定だからさ、基本的に舞台上では何も干渉しちゃいけないんだけど、

ザキさんだからさ(笑)、変な顔とか動きするし、役者にしか聞こえない声で笑わせるようなこと言ってきたり、

もうほんとこらえるの大変だったんだから!

奉行所の御裁きのシーンで「What's?」「Yeeees」とか言ってくんのよ。

あの先輩め…

まあおかげで楽しかったですけど!

 

 

沙羅と邪紅の物語は、夫婦の物語であり、親子の物語であり、愛の物語でした。

僕としては、子供ができたことによって沙羅が「妻」から「母」になっていくのを見て、寿限無にやきもちを焼いている男として邪紅をやっていました。

1に比べてだいぶ荒っぽくなったけど、それは嫉妬の裏返しというか、怒りの収めどころが分からない男の悲哀からくるものなんです。

男って、そういうところありますから。

でも、これからはあの家族には幸せな家庭を築いていってほしいな。

邪紅は沙羅ちゃん大好きだからなー。

 

 

 

 

それぞれの道に進んでいったけど、邪三人衆は今回も健在。

相変わらず顔のペイントも自分たちでやってました。

 

 

 

ていうか去年も同じ構図で写真撮ってたー!

なんなら表情もほぼ同じで、邪空が肩に手かけてるのも同じかよ!

全くの偶然(笑)

衣装の変化にも要注目。

 

お父さんも含めてだけど、このメンバーって安心する。

何やっても拾ってくれるし、だからこそこっちからも全力で仕掛けられる。

心強い人たちです。

縦横組よ、永遠なれ。

 

 

三代目邪ソウルブラザーズも引き続き健在で、かつ、

 

 

メンバーも大幅増員ってところが、まあふざけてましたね。

ツタジュ―さんも入ってるし(笑)

見えてない設定だけど寿限無もいるしね!

こういう馬鹿騒ぎもあちゃらかならではという感じ。

曲のフレーズも足されて、ますます豪華になりました(笑)

 

 

 

 

これは千穐楽直後の写真。

みんなやりきったいい顔してるけど、

これはもうね、

たくさんの人に観ていただき、笑っていただき、喜んでいただき、

「あちゃらか3も期待してます!」ってお声もいただいて、

こんなに作品が愛されていることが本当に有り難いことだーーー!!!

って痛感してる顔ですね。

少なくとも僕はそう。

 

3やりたいですね。

切に。

まあそん時ゃ邪ソウルブラザーズは何人になってるか分からないし、

寿限無は反抗期でも迎えてるかもしれないし、

そもそもキャストみんな年取って動きも遅いかもしれないけど、

それでもこんなお祭り騒ぎ、もう一回くらいやってもいいよね!

 

それまではみなさん、頭の中でぞんぶんにあちゃらかな妄想をして過ごしていてください。

みなさんならもう登場人物たちを好きに動かすことができるでしょ?

自由に、あちゃらかを育ててください!

こんなに愛される作品ができて、我々ホチキスとしては幸せなことです。

お客様に感謝。

感謝しかない、ので、それをまた作品でお返しできるように今後も僕らは演劇をがんばります。

 

とりあえずひとやすみ。

みなさま、ご来場まことにありがとうございました!!

 

 

ではまた。

みたび邪紅としてお会いできますように。

 

お久しぶりのブログ。

 

 

来月の20日から銀座・博品館劇場にて、

ホチキス第39回公演

『あちゃらか2~ねずみの唄は花火と共に~』

が上演されます。

 

はいそうです。

続編です。

 

 

 

 

ちょうど去年の今頃、前作『あちゃらか』の公演がありました。

懐かしいというよりは、あっという間って感じ。あーもう1年経ったんだな、って。

僕は、前作と同じ邪紅(じゃこう)を演じます。

もう稽古は始まってるんですが、去年の感覚がまだ体に染みついてるので初めての台本でもスッとできてしまうっていう、なんだか不思議な体験。

 

続編っていうのは僕もホチキスも初めて。

『あちゃらか』は個人的にとっっっっっっっっっっても思い入れのある作品でして、続編がやれるって知った時は内心小躍りしました。いやあれは小躍りどころの騒ぎじゃないな。超躍り。

 

 

 

これ去年の写真。

そういや去年のブログにも載せてたな(笑)

今回は残念ながら鉄格子再結成とはいかなかったけど、邪紅邪黄邪空の邪三人衆は揃い踏みできたし、何より、愛する沙羅ちゃんとまたいちゃいちゃできる(とは決まってないけど)っていうのが嬉しい。うんれしい。

落語もやるのかなー(笑)

ていうかそれだけじゃなくやっぱりね、蔦屋書店のあるあの世界で再び生きられるっていうのは感慨深いもんですし、それだけでもう心からわくわくしておりんす。

 

でもね。

続編と言えど今回初めて『あちゃらか』の世界に遊びに来てくださる方々もいっぱいいるわけだから、ちゃんと、置いていかずに、まるごとこの世界に引きずり込んであげますよ。

安心して、期待して、遊びに来てください!

もちろん前作からの方は、なんていうかもう、どっぷり浸かってください(笑)

 

そして、前作はいなかった新キャラが登場するっていうのも続編の醍醐味。

『あちゃらか』に、そしてホチキスに初参加の面々と、新たな物語を紡ぐことに胸躍らせて、稽古に臨みます!

 

 

 

そうそう!

ホチキスに新メンバーが加わりました!

 

 

内村理沙 と 絵理子

 

写真は絵理子のTwitterから。

変な顔~

 

僕にとっては初めての後輩です。

後輩、超嬉しいです。

さっそく先輩風吹かせてます。

今度ジュースとか買いに行かせようかと思ってます(笑)

かわいい2人を、みなさんどうぞよろしくお願いします!

『あちゃらか2』にも出るよ。

 

 

 

ま。

 

何はともあれ、

新しい『あちゃらか』の世界と、

成長した…かもしれない邪紅の姿を、

ぜひ劇場にてお楽しみください!!

 

 

齋藤陽介扱いご予約フォームはこちら

 

 

 

↑これ、ビジュアル撮影の時の。少しは大人になったかな…?

 

もぴプロジェクト×ピンカルンカ

『星の王子さま』

@アトリエファンファーレ高円寺、4月4日(木)~8日(日)

 

という公演に出演しておりました。

ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。

 

 

そう。

かの有名な、サン=テグジュペリの名作です。

お恥ずかしい話ですが、出演が決まってから、齢33にして人生で初めて原作を読みました。

児童向けかと思いきや、大人こそ読むべき人生の指南書だなと僕は感じました。

至るところに、分かるようで分からない物言いが散りばめられています。

読みようによっては非常に説教じみた内容と捉えられるかもしれません。

しかし、初版から75年経った今でも世界中で読まれ、研究され、あるいはアレンジして作品化されてきているのにはやっぱり理由があるのだと思います。

 

僕はといえば、とっても楽天的な人間なので、今よりもっとポジティブに人生を生きていくためにはどうしたらいいか、ということを教えてもらった気がします。

自分なりの言葉で言えば、

 

 一度でも強く関わったことのあるもの(人)との縁は、

 たとえ距離ができても、いつでも自分の引き出しの中から取り出せるし、

 時には助けてくれる。

 

という考え方ができるようになりました。

 

 

今回の劇中での台詞を引用すると、

 

 ものごとはね、心で見なくちゃよく見えないんだ。

 本当に大切なことは、心で見ないと見えないんだ。

 

という、キツネが王子に教えた秘密が、それを端的に表してくれています。

 

 

これがそのシーン。

 

今回ありがたいことに、そのキツネ役をいただきました。

いつまでも下っ端だと思っていた自分も、今回は座組最年長で、作品的にも重要なポジションを任せられました。

いやはや、はよう大人にならんといかんなぁと、しみじみ思ったものです。

 

王子、すごく純粋で、水みたいだった。

主人公の王子を演じた秋沢健太朗とは、役を超えて人間的な絆を結べた気がしています。

年齢で言うと僕の方が先輩なので、劇中の言葉を借りれば「なつく」のは健太朗の方だけど、あまりにも素敵野郎だったので、僕が彼になついていたと言っても過言ではない、かもしれなくもない、とも言えなくもなくなくなくなーい。

 

 

「後生だ!おいらをなつかせて!」

 

どんな環境下においても、誰かになついて絆を結べるということは稀で、尊いこと。

キツネを演じながら、僕自身も彼にそれを教えてもらいました。

この作品に関われたことでそういうことに気付けたこと、これは財産です。

 

 

今回この公演に呼んでくれた、

もぴプロジェクトの下平慶祐、西岡舜、

ピンカルンカの土屋沙也加、古川琴音、

ありがとう。

この人たちは僕からしたら年齢は若いけれど、そんなの感じさせないくらい自分の美学をしっかり持っていて、演劇で日本を何とかしてやろうという気概があります。だから信じてついていってよかったなと思いました。

 

一緒に作品作りをしたスタッフさんやキャストのみんなだってそう。エネルギーに満ちていました。

僕もみんなからいろんなことを学びました。

演劇っていいなと、改めて思ったのです。

ありがとう。

 

 

 

 

 

最後に。

 

僕たち俳優は、演劇人は、劇場に足を運んで観ていただかないと、その存在の9割以上が意味を成しません。

表現したいことを表現したいだけして終わり、というスタンスを取ることも可能ですが、僕はそれじゃああんまり意味がないと思います。

創って、上演して、観ていただいて、感想をお聞きして、そしてまた次の創作ができるのです。

 

みなさまいつも、あるいは今回初めて、もしくは久しぶりに足を運んでご観劇くださったこと、本当に心から感謝しています。

有り難うございます。

いやもう本当に、有り難い、ことなんですよ。

願わくば、ご観劇いただいたものがあなたの中に何かしらの爪痕を残していますように。

大切なことは心で見なくちゃ見えない、とのことですが、鮮明な映像記憶としてみなさんの脳裏に焼き付けるくらいのものを、これからもお見せできればと思います。

 

また劇場でお会いしましょう!

次は6月、ホチキスの『あちゃらか2』です。

ホチキス第36回公演

『あちゃらか』

きのう無事に終幕しました。

 

 

 

劇団にとって、そして自分という一人の演劇人にとって、これ以上ないというくらい意義のある公演でした。

ご来場いただいたみなさま、熱い拍手や声援を贈ってくださったみなさま、個人的にお声をかけていただいたみなさま、本当にありがとうございました。

冗談抜きで、お客様なしでは成り立たない作品でした。本当に初日の幕が上がるまで不安ばかりだったので。もちろん、世に出して恥ずかしいものを作っているつもりはありませんでしたが、ここが足りないあそこが足りない、本当はもっとこうした方がいいのでは?が、稽古最終日までたくさんあったのです。

でもお客様に観ていただいて、なんと初日にトリプルコールなんてものをいただいてしまって、何だか呆然としてしまったのを今でも覚えています。

舞台ってほんと、不思議なものですね。

 

 

この21人で21ステージを駆け抜けました。

長かったのか短かったのか、終わってしまった今ではもう分かりません。

夢だったのかもしれません。

これ以上ないというくらい常にみんなが全力で本番に臨んでいたので。

 

全員について触れたいんですが、21人ってなかなかの人数なので、多めに絡んだ人についてだけお話ししたいと思います。

マジ、断腸の思いです。

 

 

 

はーちゃん、こと、片山陽加。

ホチキス三度目の出演にして、今回初めて相手役としてがっつり絡ませてもらいました。

彼女が沙羅ちゃん、僕が邪紅。

出会って恋してケンカして、歌って踊ってまた仲良し、という、たった二時間の中でジェットコースターのように変化する関係を演じました。

僕は、二人っきりでケンカするシーンが大好きでした。広い舞台上で、二人とも神経破裂するんじゃないかってくらい声張って動き回って3~4分ののしり合うっていうだけの時間なんですが、「やっべー生きてる!」って感じられたし、「うわ~演劇やってるぜ!」とも感じられて、ちょっともう、これ以上ないってくらい幸せでした。

でもこのシーンが終わってはけると、二人とも袖でハアハア言ってました。めちゃくちゃしんどかったんです。しかもその後わりとすぐにまた舞台に戻らなきゃいけないという、地獄かな?って思うほどの悪夢の流れがあって、やぶれかぶれでした。それもまた最高でした。

 

はーちゃんはすんごい女優になってしまうんじゃないか、と今回何度も思いました。

もともと持っている圧倒的存在感と、芯のある歌声。これにさらに磨きがかかってきただけでなく、「この子たぶん前よりもお芝居楽しくなってきてるな」っていう感じがひしひしと伝わってきたんです。過去二度ホチキスに出てくれた時よりも、今回その感じが色濃く出ていたように感じます。

僕が舞台上で勝手に思いついてやったことに対してすぐレスポンスしてくれたし、しかもそれが全力。

セリフもまっすぐ飛ばしてくる。かわいい時はちゃんとかわいいし、怒ってる時はほんとに怒ってる。

ガ-ーーーーーン!!!

ですよ。

うお、こいつ強えええええ!!!

たたたたーのしーーーーー!!!!!

ですよ。

はーちゃんが沙羅としてちゃんと生きてくれたから、僕も邪紅として生きられたんだと思います。

本人には伝えたけど、この場を借りてもう一度。

はーちゃん本当にありがとう。沙羅ちゃん大好き。

 

 

 

そして、まっちーさん、こと、町田慎吾さん。

蔦屋重三郎として、座長として、何の文句のつけようもないくらい、みんなを引っ張ってくださいました。

まっちーさんのことは舞台で拝見したことはあったけど、共演は今回が初めて。最初は正直、怖い人だったらどうしようかな~と思ってたんですが、真面目でシャイで茶目っ気があって、何かを表現するということに関して真っ直ぐな、とってもかわいい大人でした。

ツタジュ―衣装写真を載せようかと思ったけど、打ち上げで濃いお話しができたので、その時の写真を。

 

とにかくこの人は、手が抜けない人。

不器用だからとかではなく、表現することと人を楽しませることが本当に大好きだから。

この人が毎ステージ毎ステージ全く手を抜かずに、「大丈夫?死んじゃわない?」ってぐらいやってくれたので、「ああそうかいじゃあこっちも全力でいかせてもらおうじゃねぇか!」って自然と思えたのでした。

圧巻だったのは、オープニング明け。音響がガンガン鳴り、照明がギランギラン光り、段差のある舞台上でみんなでこれでもかというほど歌って踊ってその直後、僕が出てまっちーさんが出て小玉久仁子が出て、物語が始まる!ってな感じなんですね。僕は冒頭はまあそんなにしゃべらないので比較的落ち着いていられたんですが、ツタジュ―はちゃきちゃきしゃべって動いて場を回していかなきゃならないので、オープニングからこの辺りの流れは相当しんどかったと思います。

事実、顔を近づけるとまっちーさんの息遣いが荒いのとか瞳孔が開きまくってるのも分るんですが、芝居が全っ然ぶれないんです。絶対キツイはずなのに、そこにいるのはちゃんと蔦屋重三郎なんです。

ああああもうこれすんげー幸せだなあ!!!

というのと、

この人には敵わねーや…

というのが混在して、非常にアドレナリン出まくる冒頭でした。

たまんなかったです。

ていうかもちろんその他も全部かっこよかったです。

 

今回ご一緒できて本当に本当に嬉しかったです。

またぜひ、舞台の上で一緒に生きましょう!

 

 

 

邪組三人衆。

またの名を、三代目邪ソウルブラザーズ。

 

しゅんりーさん(髙木俊)もホチキス三度目ですが、実は一度『ホチキス定食』の時に二人芝居やらせてもらってるんですよね。だけど今回の方がガッツリ一緒にやったという感じ。

この人はほんとすごいですね。初めましての時から格が違うなって思ってたけど、会うたびにどんどんレベルアップして、常に雲の上の存在です。今回はこの人の遊び心をこれでもかというほど堪能して、僕も真似させてもらいました。

信頼してます邪黄のアニキ!

芝居でも笑いでも、めっちゃ勉強させていただきました!

あっぱれ!髙木俊!

 

さっきー(碕理人)は『ホチキスミュージアム』に出てくれたけど、絡むのは初めて。見た目の派手さに反して彼も意外にシャイで、ちょっととっつきにくいかと思いきや、めちゃくちゃかわいい奴でした。

邪空が頭のネジが飛んでる役だったからか、さっき―自身も日に日にネジが飛んできて、舞台上にいない時もわりとナチュラルにパパラポアでした。それだけ邪空が馴染んだんでしょう。

でも決めるところはちゃんと決める男で、楽屋でモニター見ててかっこいいなーって思うことが何度もありました。なんか、流石って感じなんだよなあ。

話してみると身の振り方なんかもしっかり考えてるし、初めての時から一番見る目が変わった人かもしれません。噛めば噛むほど味の出る人。

やっぱり出会いって素晴らしい。

 

 

僕を含めたそんな三人と、女子三人のユニットがドッキング。

その名も、

鉄格子~。

 

まさか32歳にしてアイドルみたいなことするハメになるとは思ってもみませんでしたが、僕自身がアイドル好きなので、内心すごく嬉しかったです。

客席で手ぬぐいを振ってくださったこと、アフターイベントのライブでサイリウムやうちわを振ってくださったこと、ちょっと普段ではなかなか経験できないことだったので、身に余る光栄というか、しかしこれで味をしめて「おれ、まだまだけっこういけんじゃね?」とかもちょっと思ったりして、ああとってもかけがえのない時間でした。

本当にありがとうございました!

 

 

 

最後に個人的なことを。

 

「誰かになる」ということは、すごく大変だけど、とても楽しいことだと僕は思っています。

この作業がとても好き。

前回の『グリーン・マーダー・ケース』を経て、今回でより好きになった気がします。

やっぱり僕は、俳優という仕事が好きです。

今回の公演で、僕の体を通した邪紅という人物を、たくさんの人が愛してくださいました。本当にありがとうございます。自分自身に興味を持ってもらえることよりも、役を愛していただけることが何よりも嬉しいです。

よかったな!邪紅!

 

役っていうのはみんなそうだけど、一日のうちに数時間だけ、しかも舞台上にしか現れないし、公演が終わってしまえばもう二度と生身で会うことはできない儚い存在です。

邪紅が、いつまでもみなさんの心の中で生き続けてくれるといいなと思います。沙羅ちゃんと、縦横組と、蔦屋書店と、あの町の中で今後どうやって生きていくのか、ぜひ自由に想像してやってください。これからの『あちゃらか』は、みなさんの頭の中にあります。

僕も、心に邪紅を住ませます。

 

 

 

書きたいことは山ほどあるけど、そろそろこの辺で。

みなさんのおかげで素敵な時間を過ごせました。

ありがとうございました!

 

また次のステージで!

久々の更新。

 

先日、Mo´xtra produce『グリーン・マーダー・ケース』の公演が無事に幕を下ろした。

 

ヴァン・ダインという作家の著した、1920年代のニューヨークが舞台のミステリー小説『グリーン家殺人事件』を下敷きに、僕の古い演劇仲間である須貝英がオリジナルの要素を加えて戯曲にした。これが傑作だった。以前にもこのブログで触れたが、僕は彼の書く物語が好きだ。今回の『グリーン~』は、おそらく彼の著作の中でも群を抜くものなのではないだろうか。

…いや、というより、彼が今まで培ってきた「書く力」が(原作の力も手伝って)、一気に開花したということなのかもしれない。間違いなく現時点での最高傑作と言えるだろう。

(6年前に、「須貝英をほめる日記」という調子に乗ったタイトルでブログを書いていた。こちらもよければ。http://ameblo.jp/311044k/entry-11016298783.html)

 

ここに魅力的なキャスト陣が集まって、その世界を舞台上に具現化した。結果、連日大盛況。どうやら当日券目当てで並んでくださった方のうち数名をお返しする事態もあったらしい。これに関しては非常に心苦しい。もっと大きな劇場で、あるいはもっと長い期間上演できたら、もっとたくさんの方に観ていただけたのに。この辺は本当に心残りだ。

そんな機会が今後あるかは分からないが、ぜひ同じキャストで、規模を大きくして、作品にもより磨きをかけて再演したいと切に願う。そうすればたくさんの方に観ていただけるし、何より僕自身が、今回共演できた皆様と再び舞台上でやりとりできるのだ。

共演といえば、どの俳優も残らず素敵だったが、演劇集団キャラメルボックスの鍛治本大樹と、この座組のリーダーである須貝英と、がっつり舞台上で熱いやりとりができたことが何よりもの財産かもしれない。とっても楽しかった。楽しいという言葉でしか表現できない。

 

 

とにもかくにも。

改めて、観てくださった全てのお客様、観たいと思ってくださった皆様に、この場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思います。本当にありがとうございました。

 

 

僕は今回、ファイロ・ヴァンスという素人探偵を演じた。『グリーン家~』をはじめとする、ヴァン・ダインの一連のミステリーシリーズの主人公だ。

こいつがなかなか曲者で、金持ちの家に生まれたから生活には困っておらず、ほとんど道楽のように殺人事件に首を突っ込んで推理をし始める。結果的には彼の働きのおかげで事件は解決に至るわけだが、特になんにもしないこともあるし、時には傾倒している絵画についてのうんちくをしゃべり続けてそのインテリぶりを惜しげもなく披露するし、その中でやたらと外国語を織り交ぜてくるし、本当に鼻もちならない野郎でなのである。でも紳士でもある。高飛車なところもあるが、育ちの良さが端々に見えて、基本的には上品な人物である。

まず原作を読んで、この男を演じるのは非常に難しいと思った。彼から漂う気品であるとか、余裕であるとか、饒舌ぶりなんかは僕自身からは遠いところにあるし、何しろそもそも僕はアメリカ人ではない。読みながら頭の中で人物像をイメージしていったが、実際に自分の体を通して具現化するとなると、非常に難しい。稽古が始まってからもなかなか感じがつかめず、気づいたら杉下右京とか、古畑任三郎とか、カンバーバッチのやるホームズとかの真似になってしまった。真似から始めるのは決して悪いことではないのだが、納得のいく役づくりには程遠い仕上がり。

しかし座組のみんなのアドバイスがあったり、だんだん自分の体に馴染んできたのもあって、日を追うごとにつかんでいけた。そして最終的に「これかな」というスタイルが確立できた。本番が明けてからはそれを踏まえつつ遊びを入れる余裕も生まれた。遊べるようになった理由は、上演中の時間の流れに慣れてきたからというのが半分、そして他でもなく役になりきれるようになったからというのが半分。

それらが実現できたのは、ちゃんとした台本がはじめからあったことと、稽古期間がじゅうぶんに用意されていたことに裏付けられる。

 

 

俳優にとって、役はよりどころであり、目的地であり、全てである。通過点でもある。

この「役」が、今回は最初から用意されていた。しかも原作の物語の中にすでに一人の人間として存在している。思えば僕は、すでにモデルのある人間を演じるのはほぼ初めてだった。学生時代にシェイクスピアをやったことくらい。

今回、これがすごく良かった。じゅうぶんな時間をかけて、思い描いたイメージに近づいていくこの作業は、いち俳優としてとても興味深い体験だった。というかそもそもが、俳優のやることはこれだ。

小劇場によくある「当て書き」。つまり、脚本家が出演する俳優のイメージに合わせて役を作り台詞を書いていくこと。これ自体は全く悪いことではないが、書くのに時間がかかって稽古時間が圧迫されることが多いし、架空の人物に自分を近づけていってそれを具現化する面白さもなくなる。言ってみれば当て書きというのは、その俳優の魅力が出しやすい反面、自分と距離のある役に苦労して近づく必要がないので、圧倒的に楽で、意外性もなくなってしまう諸刃の剣と言える。もっと言えば、当て書きよりも距離のある役を演じた時の方が、その俳優の魅力が爆発することもあると思うし、場合によっては、当て書きすることで俳優の魅力は出るものの、それだけになってしまい、肝心の作品が死ぬこともあり得る。

 

最近常々思うのは、俳優は役を通じて作品に殉じなければいけないということ。殉じる、というのは大げさかな。生かすのはあくまでも作品。俳優は作品を良くするためのひとつの要素に過ぎない。とはいえ「駒」であってはいけない。印象に残って、愛される存在でもあった方がいい。バランスが非常に難しい。だから面白いとも言える。

でもとにかく強く思う。俳優自身のエゴはなるべく介入させないようにしたい。役を自分に近づけるのではなく、役に自分自身を近づけていく。俳優本人の魅力は勝手に溢れてくるはずだ。傲慢であってはいけない。

今回この作品に関われたことで、僕の演劇に向かう姿勢がだいぶ変わった気がする。もともと思っていたことではあるけど、この公演は大きなきっかけになった。英ちゃん、ありがとう。

これからも稽古期間が少なかったり台本が遅れたりして役の輪郭がつかめないことも多々あると思う。でも、今書いたようなことは忘れないように、今後の演劇人生もがんばっていこうと思う。

 

 

それではまた劇場で。