どれくらいの時間が経ったの
だろう…


胸元まで上がった海水は
一気に天井まであがった



一崩壊していった建物内

にいた家族、親戚…

水の無い部屋へ、どこだ
どこだ、早く、早く…

みんなで押し寄せた津波の
冷たい水の中に


息ができない

子どもたち
じいちゃん
ばあちゃん
ぴーちゃん
おんちゃん
おばちゃん…

今 何が
今 何が起きてるの

何も母親らしい事できな
かった…

走馬灯のように幼少期から
今の状況までの記憶が一気に
頭に流れた…


お父さん ごめんなさい

お母さん ごめんなさい

気が薄れそうな時


お母さん!お母さん!

水の中にかすかにうっすらと

伝わってきた子どもたちの声…



子どもたち!

我に返り もがいた

もがいた手の先に次男の髪…


とっさにわしずかみにし

天井に押し上げた


水と天井との隙間は無い


でも建物が流されながら

できるかすかな隙間で

ほんの少し息ができた


瓦礫と海水が混ざり

色々なものが口に入っても



子どもたちを!みんな!

助けなければ!


海水中、の壁につかまり立ち

しながら


天井に口つけて!

と叫んだ


どれくらいたったか…


次第に海水が少しずつひいて

いった


子どもたち

生きてくれていた…


ばあちゃん!おんちゃん!

おばちゃん!…


名前を叫びながら

扉を開けようにも  開かない


早く


早く!!


何度も何度もこじ開けようも

開かない


そして 


また次の押し波がきた

窓ガラスを割り、サッシに

股がり子どもたちを肩に乗せ

建物屋根に上がらせた


妹を真ん中にしてみんなで

丸くなって!


叫んだ…


自分の身体なんてあがらない


上がる前に


ばあちゃんたちを助けければ


壊した窓越しに見たものは

現実ではない現実


いったい何がおきてる…


開かない扉…


壊した窓越しを出て外から

回ろうと

外に飛んだ時

海水の下は底なし泥のように

どこまでも足が入った…


色々なものにつかまり

やっととなりの部屋に

行こうにも  瓦礫が入り口を

塞ぎ 行けない


助けたい人がそこにいるのに

その瓦礫さえも どけれない

悔しさだけが


大木から流されてきた色々

なものが憎かった


いつのまにか降ってきた雪の

中で子どもたちが


誰かー!助けてー!

誰かー!誰かー!


叫んでいた


次回が経過するたび

海水にもまれた身体は

どんどん冷えていった



子どもたちを守らなければ


周りは次第に暗くなり

津波の第二波  第三波が

幾度もきた


子どもたちと手を繋いで

なんとか  眼中に見える

建物まで泳ぐか

悩んだ…


子どもたちをもう一度

壊れはてた建物一部内に

降ろした


部屋は海水が上がり下がり

めちゃくちゃになったものを

寄せ集めし  少しでも海水から

体力が奪われないようにした



寒い  寒い

お母さん  死にたくない!

寒いよー!


神様

神様

どうか  子どもたちを…


ずぶ濡れになった布団で

丸く身を寄せあった子ども

たちを覆った


みんなで  息をゆっくりして


寝ないで!


一番下の幼子が 

じいー!じいー!と泣き叫び

ながら疲れはて 寝ようとし

ていた


ダメ!寝ないの!

どんどん冷たくなる幼子の身体

上の子どもたちも

生きよう  生きようと必死だった


みんなで息を

ゆっくりかけあい


死んじゃダメだよ!

寝てダメだよ!


なんとか出る声をだして  

ただ、 ただ過ぎる時間を

生きなければの一心で

待った


一番上の子が  母の私に

お母さん  大丈夫?


涙が止まらなかった


泣いている場合じゃない

ふんばらなければ

守らなければ…


みんな寝てダメ!

朝明るくなったら

動くから大丈夫だから!


押し殺されそうな気持ち

を消すため自分に言い聞かせ

ていたのかもしれない



静まりかえった音の中


遠くから  助けて

助けて   と声


ヘリコプターの音


壊れた音の防災無線


押し波   引き波の音


長い  長い  夜だった



お父さん  お父さん…


子どもが  精一杯の声で

お父さんを呼んでいる


大丈夫!しっかりしなさい!

ちゃんとみんなをお父さんに

渡すから!


気持ちしっかり!

そう言うと   


お父さんの声がする…


気がもうろうとしてきた

と思い  大丈夫だから

しっかり!


この目の前にいる子どもたち

命  守らなきゃ


神様


どうか助けて下さい