「いのちを選ぶ」ことについて | Meet 3のバリアフリー マルチプロデュースな日々

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「命の選択」助長の懸念

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=52834

妊婦の血液検査だけで胎児がダウン症かどうかをほぼ確定できるという出生前診断が米国で始まった。流産の危険がなく妊娠初期に診断できるのが特徴だが、安易な検査や人工妊娠中絶の増加につながるのではないかとの懸念も指摘されている。

米で新型出生前診断

妊婦の血液を分析し胎児の染色体異常を調べる検査法の研究が進んでいる(金沢医大で、左が高林氏)

 出生前診断は、胎児の染色体や遺伝子などの異常を調べる検査だ。新しい検査法は2011年10月、米国のバイオ企業「シーケノム」が始めた。妊婦の血液にわずかに含まれる胎児のDNAに着目。染色体異常の一つであるダウン症かどうか判定できるとしている。

 確実な診断法として従来行われている羊水検査は、腹部に針を刺して羊水を採取するため、約0・5%に流産の危険がある。これに対し、新しい検査は、流産の危険はない。時期も妊娠10週からと、羊水検査(15~17週)より早い。同社は、検査精度について、「99%以上で、ほぼ確実な診断」とする。欧州などへの進出も目指しており、日本も視野に入れているとしている。

 ただし、国際出生前診断学会(本部・米国)は「100%確実ではない。確定診断には羊水検査が必要」などとする声明を緊急に発表。日本で流産の危険性のない独自の検査法の開発に取り組んでいる高林晴夫・金沢医大准教授も「異常の有無を確定できるレベルではない」と指摘する。

 新しい検査法の評価については専門家の議論がある一方で、仮に日本に導入された場合、こうした技術的な問題とは別に、様々な懸念が指摘されている。

 一つは、安易な検査が急増する恐れがある点だ。

 昭和大(東京都)が11年、出生前診断に携わる産科医らと妊婦計395人に実施した調査によると、この検査を希望するすべての妊婦が受けることについて、妊婦の98%は賛同したが、医療者は36%だった。

 医療者に賛同者が少ない理由について、同大病院産婦人科の認定遺伝カウンセラー・四元淳子よつもとじゅんこ氏は「流産の危険のない検査のため、医師からの事前説明が徹底されなかったり、安易に検査を受け、予想外の結果に悩む妊婦が増加したりする恐れなどがあるため」と説明する。

 妊婦の血液中のたんぱく質などからダウン症などの可能性を調べる「母体血清マーカー」が1994年に導入された際は、結果が確率でしか示されないため、妊婦が不安になると社会問題化。国が99年に慎重実施を促す通知を出した。

 そもそも、中絶について定めた母体保護法は、中絶が可能な条件に「胎児の異常」を認めていない。だが、「母体の健康を害する恐れがある」という中絶を認める条件に当たると拡大解釈されているのが実情だ。

 国立成育医療研究センター(東京都)周産期センター長の左合さごう治彦氏は「障害者福祉などの現状を考えれば、新しい検査を否定はできないが、『命の選択』に直面することもある検査の意味を伝える、遺伝カウンセリング体制の整った施設に限定するなどの対策が求められる」と話す。

 また、この検査がダウン症のみを対象とする点について、日本ダウン症協会理事長の玉井邦夫さんは「ダウン症児は排除されて当然という世の中の流れを危惧する」と話している。

 出生前診断について、日本では法的な規制はない。日本産科婦人科学会が運用指針を定めているが、新たな検査が導入されるたびに、精度や安全性を巡る議論が繰り返されてきた。

 だが、少なくとも技術的には「安全で確実な」検査法が登場した場合に、どう向き合うのか。生命科学の技術の進歩は、私たちに重い課題を突きつけている。