とうとう開店して十年目の、2009年の夏に、私たちは店を閉める決意をしました。
とにかく見えない重石から解放されたい。
楽になりたい。

思いはそれだけ。
限界でした…。


悔いも有りません。
「もう、これ以上、私は頑張れないし、真面目によく学ぶ娘の為にも、今後の生活を考えて行こうよ」
そう気力が萎えた私が夫へ切り出すと、彼は無言でうなずきました。
結局、夫は自分から店をやりたい、と言いだしたのに、最初だけ動いたものの、以降は最後まで私任せでした。
その年の秋に、二人で弁護士のもとへ債務整理の相談に行き、様々な手続きを経て、夫は自己破産者となったのです。
振り返って見ると、やはり不景気な時代での独立は、私たち夫婦にとってはあまりにも無理が有りすぎて、危険極まりなかったです。

景気の良い時代では、店が努力せずとも自然に儲かったと聞いた事も有りますが、私からいわせれば、そんな時代のほうが、異常と思えてなりません。


また、しょせん、豊富な資金力の有る競合店には、到底、かなわないもの。

こうした商売の感覚を養うには、理論ばかりでなく、挑戦し、肌で感じなければ分からないと思います。
が、
分かったところで、時、すでに遅し。
もはや、破産しか無かったのでした。
…ええ、もう世間に対しては、恥も外聞も無かったですね…。
ただひたすら、
「私たちを、笑わば笑え
」
的な、恥をかく勇気を持つのみ、でした。(笑)
「勇気」なんて言うと、格好良く感じますが、いやいや…裏を返せば、それはただの「居直り」。


そう。
この「居直り」こそ、私の夫の得意分野ですっ


(笑)
しかし一方で、
その夫との閉店のやりとりの中で、
私は夫婦の終わりも実感したのです。