近所のスーパーで久しぶりに出会ったKくんだが、その時は彼の連絡先を聞いていなかった。

 

 しかしその翌日、出会った同じ時間帯にスーパーに行くと、思った通りKくんは買い物に来ていた。

 お店をやっているので、休日以外は同じ時間帯で買い物に来ているのだ。

 

 しばらく立ち話をして、そのまま別れる。

 今度は名刺をもらって、彼が出しているお店へ伺うという約束をした。

 

 

 数日後、雑居ビルの2階にあるKくんのBARに行ってみた。

 

 店内には、壁にB級アクション映画のポスターが貼られたり、天井にイルミネーションが這っていたりと、実にごちゃごちゃとしていて、いかがわしくも賑やかな感じだ。

 

 最初の客が自分だったので、Kくんは彼の大好きなファンク・ミュージックをかけた。

 

「いい店だね」

 

 と褒めると、彼は顔をくしゃくしゃにして喜んでくれた。

 

「そういえば、Eさんはどうしているの」

 と、Kくんに聞いた。Eさんとは彼の飲み屋の師匠のような人物で、DJとしても活動していた。

 

 一瞬だけ、Kくんの表情が変わった。

 

「実は、Eさんは数年前に亡くなったんです」

 

 自分は知らなかったが、そんなことがあったのか。

 

「ここにあるアナログ盤、Eさんの遺品なんですよ。ご家族からいただいたものなんです」

 Kくんは、ソフトハットのつばを指で上げる仕草をした。

 

 なんとなく懐かしい雰囲気が漂っていたのは、そうしたこともあったのだろうか。

 

 

 ほどなく時間が経つと、学生風のおしゃれな女性客が数人入って来て、店内は急に華やかになった。

 

 店主も客も、お互いにあだ名で呼び合っている。

 

 Kくんのにこやかな笑顔を見ていると、はるか昔になるが、まだ若いKくんがEさんのお店で働いていた姿を、ふと思い出した。