朝晩、急に冷え込んで来た。
ただ日中には、まだ日差しの強い日もある。
ある日、外から戻ると、扉に小さなショウリョウバッタがとまっていた。
この季節になるとたまに見かけるのだが、なぜかうちには知り合いが亡くなって数日後に姿を現すのだ。
(このバッタは、あの人の生まれ変わりか、それとも、なんらかのメッセージを託されてやってきたのか)
などと、想像してしまう。
バッタをそのままにして室内に入ったが、やはり気になって外に出てみると、その姿はもう見当たらなかった。
構ってあげられなかったので、ヘソを曲げて帰ってしまったのか。
しかし、こういうことではないかと気がついた。
扉には、日が当たっていた。
気温が低くなると動きが鈍るバッタは、暖かさを求めてそこにとまっていたのではないだろうか。
日が移動して、扉の部分はもう影になっていた。