早朝には雪が降った。
積もりはしなかったので、みぞれというところか。
昨晩遅くにボロボロという音がしたので、窓を開けてみると、どうやら雹が降っていたらしく、通りを歩く若者たちが「うわぁ、やばいよ、これ」と叫んでいた。
この季節に、とも思ったが、関西地方に住む友人の話では雪が降り積もり、それはなごり雪のようであったと。
午後からは晴れ間が覗いていたので、夕方から散歩に出かける。
本屋で立ち読みをしていると、そこそこいい時間になった。
だが店の外に出ると、いきなり雨が降ってきた。
かなり強い雨だったので、ここはどこかの居酒屋にでも入って雨宿りをしようと思い、近場を探していると、いい感じに鄙びた立ち飲み屋を見つけた。
暖簾の隙間から中を覗くと、サラリーマンなのだろう、スーツにコート姿の客が何人かいた。
20年くらい前なら、新橋あたりにあったような雰囲気の店である。
そのサラリーマンの間に割り込み、壁に貼ってあるおすすめメニューの3種盛りを注文した。
まずは熱燗、こちらはすぐに出てきた。
続いて注文していた3種盛りが登場。
ポテトサラダ、豚肉とナスの麻婆炒め、砂肝の塩レモン炒めの3品が、三連皿に盛られている。
眺めているだけで、なんだかほっこりとする。
熱燗も程よい温さで、ちょうどいい塩梅。
しばらく飲んでいたら、隣の人が話しかけてきた。
「今日は朝から雪が降っていたので、びっくりしましたよ」
などと、天気の話題になった。
「深夜には雹が降っていましたよ」
というと、なぜか「へぇー」と感心された。
こういう他の客との何気ない会話も、立ち飲み屋の楽しさである。
立ち飲み屋は、さくっと飲んで帰るのが粋と聞いているので、雨がやんでいるのを見計らい、会計をすませて外に出た。
帰路、緑道に咲いている白梅はどうだろうと、その緑道を通ると、激しい雨のために花びらは地面に散っていた。
薄暗い緑道に、白梅の花が人知れず散っている光景を、しばらく眺めた。