最近見た夢の話である。

 

 

 自分は外に出ようと部屋の玄関までゆくと、ドアがガラス製になっていて、そのドアの隙間に人の身長くらいの大きなコウモリが、間抜けのように挟まっていた。

 

 コウモリは固まっていて、生命反応がない。

 

 もしかしたら、大きなコウモリの剥製ではないだろうかと思い、誰がこんないたずらをしたのだろうと推測する。

 

 そのコウモリの胴体をよく見ると、「2025」という数字と何人かの名前が彫刻刀のようなもので彫られており、その中に知り合いの名前が刻まれていた。

 その人物が、このコウモリの剥製を玄関に置いたのだろうか。

 

 どちらにせよ、気持ちが悪いことだったので、自分は裏窓から逃げ出すことにした。

 

 

 目が覚めてから気がついたのだが、夢に出てきた巨大コウモリは古沢岩美という日本のシュルレアリスム画家が戦中に描いた、『野火』という絵画に登場するコウモリであった。

 

 薄暗い荒野に巨大なコウモリが屹立し、その足元に小さな人間がいる。地平線の向こうにはチロチロと幽かな炎が立ち上っている。

 この絵のコウモリは、おそらく実在する種のオオコウモリをモデルに描いたものであろう。

 

 不気味で不穏なイメージの絵画だが、古沢岩美の絵の中で自分が唯一好きな作品である。