今日は七夕である。

 

 七夕には、天の川に見立てたそうめんを食べるといいよ、と人に言われたので、たしかメニューにあったと記憶していた、商店街の外れにある老舗の蕎麦屋さんに向かった。

 

 ショーウィンドウには、古びた麺類や丼物などの蝋細工が並んでいる。

 そこにそうめんはないようだったが、薄暗くひんやりとした店内に入ると、壁に張り出された手書きメニューには、ちゃんとそうめんがあった。

 

 腰の曲がったおばあさんが奥から出てきたので、注文を伝える。

 おばあさんは、「ちょっと時間がかかりますが」と言って来た。

 どのくらい時間がかかるのかはわからないが、とりあえずそうめんを頼む。

 

 しばらくすると、氷の浮かんだガラス器に入ったそうめんとめんつゆが出てきた。

 小皿には、薬味の白ネギとおろし生姜が乗っている。

 

 シンプルだが、これはいいものが当たったと思い、涼しい店内から外を眺めつつ、そうめんを啜った。

 

 

 天の川にも出会えたのだし、それではこの後に、流れ星に見立てた星型クッキーでも買って帰ろうかな、と思った。

 

 のどかなものである。