最近見た夢の話である。
自分は、死んだ友人の部屋に立っている。
ほんの六畳程度しかない狭い部屋だった。
部屋の中には何もない。
自分は何気なく押入れを開け、その中を覗くと、そこには1本のトランペットが入っていた。
これは友人が大事にしていたトランペットなのだ。
そう思うと、そこに放置しておくわけにはゆかず、そのままトランペットを持って部屋の外に出た。
川に沿った土手道を、自分はそのトランペットを片手に歩く。
すると、その前に1匹の黒猫が現れた。
猫は、道案内するかのように、自分の前を、颯爽と歩いてゆく。
自分は、その黒猫の後に着いて、土手道を進んで行った。
この猫は、もしかすると友人の生まれ変わりかもしれない、とふと思う。
そこで、自分はその猫に向かって友人の名を呼ぶが、猫は全く知らぬそぶりでとっとと先を歩いてゆく。
しばらく歩いていると、手にしたトランペットが、いきなり音を立てた。
かすれた、やんちゃで下品な音だった。
これは紛れもなく、友人が吹いていたトランペットの音色だ、と自分は思った。
すると先を歩いていた猫は、嬉しそうにこちらを振り返り、尻尾を左右に振りながら機嫌良さげに、また先を進んだ。