日中の雨があがり、晩秋の夕暮れを感じさせる、うら寂しく映る街並を散策する。

 

 雨のせいで気温が下がり、肌寒い。

 どこかで体を温めようと、そんなお店を探して歩いた。

 

 気がつかないうちに、人気のない住宅街に迷い込んでいたようだ。

 

 昔、このあたりにポツンと小さなBARがあったことを思い出した。

 街灯もないような一角に、赤いネオンサインだけが静かに輝いていた。

 

 しかし、昔といっても一体どのくらい前だったか……。

 

 薄ぼんやりとした記憶だけを頼りに、その住宅街を彷徨うように歩いてみた。

 

 このあたりに違いはなかったが、やはりそんなBARは見つからなかった。

 

(それはそうだろうな。当時のままで残っているわけがないだろう)

 

 そういえば、古い庚申塚がそのお店の斜め向かいにあったような覚えがある。

 

 庚申塚を探すと、確かにそれはあった。

 

 しかしその斜め向かいには、二階家が建っており、その窓辺からは楽しそうな一家団欒の声が響いていた。

 

 

 しばらくすると、また静かに霧時雨が降り始めたので、そのまま住宅街を抜けることにした。