お昼頃、ぼんやりと遠雷を聞く。

 

 朝から曇り空だったが、やけに蒸し暑い天気だ。

 

 少しだけ雨が降ったが、すぐにやんでしまい、涼しくなるどころか、さらに蒸し暑くなる。

 

 そういえば、以前なら雨のやんだ後には、いっせいにセミが鳴き出したものだが、ここしばらくセミの声は聞いていない。

 セミも暑さでダウンしたのだろうか。

 

 

 夜になって、外から虫の声が聞こえてくる。

 

 しかし、その鳴き方もどこか弱々しく感じる。

 

 2、3匹程度だろうか。

 いや、もしかするとたった1匹で懸命に鳴いているのかもしれない。

 

 それぐらい、寂しそうで儚げな音色だった。

 

 

 外に出て夜空を見上げると、薄曇りの空から月齢4・7の半月が覗く。

 

 その月には、うっすらと虹がかかっているように見えた。

 

 遠くからの虫の声を聞きながら、夜空に一瞬出来た虹の曲線を見上げた。