蒸し暑い1日だった。

 

 夕涼みがてら、外に出る。

 

 

 公園を歩いていると、遠くに稲光が見えた。

 

 稲光はまるで生き物のように、夜空を駆け巡っている。

 

 ただ不思議なことに、雷鳴は聞こえてこない。

 

 空に一瞬光るだけで、音のしない雷を雲放電というが、これがそうなのだろう。

 

 雷には違いないので、早く家に帰ろうと思いながらも、途中で立ち止まって、音のしない稲光を眺める。

 

 それは、サイレント映画のワンシーンのようにも映った。

 

 

 雨はまだ降らないみたいである。