正月も終わり、生活は日常に戻りつつある。

 

 それでもまだお休みの店もあったりで、世の中もいつしか随分のんびりとなったものだ。

 

 夕方、寒さを押して外に出てみる。

 

 普段とは違う道を歩いていると、最近出来たオーガニックワインを扱っているお店が、角打ちを始めていた。

 

 中に入ってみると、一杯500円くらいから1000円程度で自分の好きなワインを、棚から選んで呑めるという。

 

 木箱を重ねて台が作ってあった。そこで立ち呑みするわけだ。

 

 店内には、小さなスピーカーからJAZZが流れている。

 

 自分は、白ワインとつまみのクラッカーを頼んだ。

 

 途中からコート姿の男性が入店し、ワインを注文してからお店の女性と話を始めた。

 

 自分はグラス1杯で身も心も温まったので、後から来た男性とお店の女性に挨拶してそこを出た。

 

 

 歩きながら、立ち呑みも久しぶりになるな、と思い起こした。

 

 確か3年前に、友人と駅前にあった立ち呑みの居酒屋に入ったのが最後だった。

 

 なんとなく世間が騒がしくなり、それからあまり行かなくなっていた。

 

 この日は、ほんの気まぐれであった。

 夕暮れ時の景色に誘われたのかもしれない。

 

 

 その狭い店内には、相変わらず酒飲みの夢のカケラが転がっていた。