金木犀の植えられた家が、何軒か並んで建っている。
それぞれの金木犀は大きく育ち、花弁からは甘い香りが漂い、その前を通るといかにもと言っていいくらい、晩秋らしい気分を覚えさせてくれる。
なぜ別々の家に、同じ高さの金木犀があるのかは、わからない。
おそらくだが、区画分譲の建売に、気の利いた庭師か誰かが、金木犀の木を植え付けたのではないか。
大きくなれば、金木犀は10メートル以上に育つことがあるが、こちらの金木犀は3メートルくらいか。
金木犀は1年で15センチ程度の成長速度なので、こちらの家は築20年程度なのだろうか。
近所の公園に、二股に分かれた10メートル以上の大きな金木犀の木があるが、その金木犀は雨でいっせいに落花し、道路一面に小さく可憐なオレンジ色の花弁が散っていた。
自分は地面に落ちた金木犀の花弁をいくつか拾い、ハンカチに包んで家に持ち帰った。
花弁を小皿に入れて、玄関先に置いておいたが、あの金木犀の人を誘うような香りは、もうしなかった。