先日見た夢である。
自分は、部屋にいて読書している。
すると、ドアをノックする音。
ドアを開けると、制服に制帽姿の郵便配達員が立っていて、いきなりこちらに、
「郵便ですよ」
と言って、荷物を差し出す。
自分はその荷物を受け取り、お礼を言ってからドアを閉めようとすると、配達員は、
「お元気そうで何よりです」
と言って、そこから立ち去って行った。
自分は部屋に戻り、カッターナイフで荷物を開けてみる。
すると、その中身はドングリの実がいっぱい詰まったものだった。
誰が何のために、ドングリの実をこんなに送りつけてきたのだろう、と不思議に思う。
それと同時に、先ほどの郵便配達員が、どんな人だったかが思い出せない。
顔がまるで、のっぺらぼうの印象しかないのである。
こんな夢を見て、何だか不気味な気分になる。
よく考えて見たら、この顔のない配達員は、芥川龍之介が1921(大正10)年に発表した『妙な話』という短編小説に出てくる、どうしても顔の思い出せない赤帽に通じるものがあるな、と思った。
芥川の赤帽は、夢とも現実ともつかない謎の存在として描かれるが、自分の夢に出てきた配達員もまた潜在意識からのメッセンジャーなのかもしれない。
それにしても、なぜにドングリなのだろうか。