昼寝をしようと横になったら、外でドスンという音。
窓を開けてみると、窓下のひさしにネコが香箱座りしていた。
向かいの塀から伝って、こちらにきたのだろう。
じっと見つめているその目つきが愛らしいので、手を振ってみる。
すると、ゆっくり立ち上がり、ノソノソと歩いて自分のいる真下にやってきた。
そしてまた香箱になり、こちらをじっと見上げている。
しばらくすると、どこかへ姿を消したので、窓を閉め昼寝をした。
うつらうつらしているうちに、変な夢を見た。
夢の中で、先ほどのネコは部屋の中にいて、鳴き声をあげながらウロウロしている。
すると、隣の部屋から長身でスキンヘッドの男が現れて、こちらの前に立った。
銀縁の眼鏡をかけた、眉毛のない不気味な男だ。
なぜか、事務員のような服を着ている。
その男には、見覚えがあった。
以前、夢の中に出てきた黄泉比良坂の入り口に住む死神だった。
なんで奴が再び出てきたのだろう、と思っていると、ネコはいきなり死神に飛びかかり、死神の体や顔を引っ掻いたり噛み付いたりした。
ネコの攻撃で、死神は慌てふためき退散した。
そしてネコはニャアと鳴きながら、こちらの足元に体をすり寄せてきた。
そこで目が覚めたのだが、窓の外からネコの鳴き声が聞こえて来ていた。
ネコの鳴き声は、現実だったようだ。
窓を開けて下を覗いてみたが、ネコの姿はなく、鳴き声も聞こえなくなった。