夏の神社はいいものである。

 

 境内に生い茂ったご神木の枝葉が日光を遮って、ひんやりとした清浄な空間を作り出している。

 

 早朝、そんな神社に行ってみた。

 

 すると、そこには先客がいらっしゃった。

 

 すでに参拝はお済みになったようで、こちらに軽く会釈をしてから鳥居を潜って、参道を歩いて帰って行った。

 

 その先客は、日傘をさしてピンクのクロッシェを斜めにかぶり、丈の長い白いワンピースを着た、モガ・ファッションの女性だった。

 

 以前にも見かけたモガ嬢であった。

 

 こんな夏の日の神社で、またしてもお会いするとは。

 

 自分が未來派画家であったなら、その場ですぐさまモデルとしてスカウトした事であろう。

 

 ふと振り返ると、彼女の姿はもう見えなくなっていた。

 

 華麗なるJAZZの喧噪と、波乱と怒濤の時空へと帰って行ったのだろうか。

 

 不思議な人とも出会えたので、あまり暑くならないうちに帰宅する事にする。

 

 帰宅後は思い出したように、諏訪根自子のヴァイオリン曲を聴く。

 

 音楽を聴いていたらゆっくりと眠たくなり、そのまま床に就いた。

 

 夕方、なにやら振動音のようなもので目が覚める。

 

 もしかしたら、どこかで花火大会をやっているのかも知れない、と思い窓を開けるがなにも見えず。

 

 ただ、夜空にはふわっと、真横に泳ぐ海月のような半月が浮かんでいた。

 

 そんな半月は、なんだか超未來派のように見えた。