各地に出されていた大雨特別警報は解除されたものの、記録的豪雨の被害は甚大なものとなってしまった。
被害の状況を知ると、心が痛む。
ライフラインの速やかな復旧が望まれる。
今日はやや蒸すものの、それほど日差しも強くはなかった。
午後から久し振りに、電車に乗って遠出する。
友人が郊外に住んでおり、以前からの約束もあってそちらに向かう。
最寄り駅でその友人Sくんと合流し、近くのそば屋さんで十割そばを食べる。
Sくんは20代からの友人で、仕事はイベントや映像関係の造形を手がけていて、東京の外れにそのアトリエがあった。
しかし、そんな仕事も最近ではめっきり目減りしてしまい、今は自主的に自分の作品を作っているという。
一度、作品を見てほしいというので、そこからタクシーに乗って彼のアトリエまで移動。
アトリエは、元印刷所の建物を改装したものだった。
中に入ると、樹脂や塗料の臭いが籠った広い空間に、Sくんの作品がずらりと並んでいた。
シュルレアリスムの影響があるSくんの作品は癖が強く、一般からは反発を買うようなものが多かった。
そこが彼の狙いでもあろうが。
造形物は、人体をかたどり体中に鋭く長いトゲを植え込んだものや、人や獣とマシーンが合体したような奇怪なイメージのものが目立った。
数年前に個展をやったが、小さなものが数点売れただけで、その売れ残りがアトリエのオブジェであった。
「こんなことやってても、食えないんだけどね」
と、Sくんはスキンヘッドをなでながら、自嘲気味に笑う。
彼は大きな冷蔵庫から缶ビールを出して来て、こちらに突き出した。
ふたりして壁にもたれかかりながら缶ビールを飲み、その売れない奇妙なオブジェ群を眺めながめていると、どちらからともなく笑いがこみ上げて来た。
そのままSくんのアトリエで、ギターを弾いたり、音楽をかけたりして遊ぶ。
そして、Sくんのオブジェたちが真夜中になると、パンクロックをかけながらアトリエで踊り狂っているんじゃないか、と話をして、また笑い合った。