夕方、しばし手枕で眠る。

 

 明りのない部屋に、どこからかミシンを踏むような機械音が聞こえて来る。

 

 誰かがミシンを踏んで、何かを縫っているのだろうか。

 

 それにしても、本当にどこから聞こえて来るのだろう。

 

 そんな事を考えながら、静かに眠りに落ちる。

 

 夢の中に、ずっと以前に亡くなったE子が出て来た。

 

 E子は黒い衣装を身に着け、腕を伸ばしながらどこかをずっと指差している。

 

 なにかメッセージでも伝えてくれているのだろうか。

 

 しかし、今の自分にはなにもしてあげる事が出来ない。

 

 そんな気分になったところで目が覚める。

 

 その後、外気を吸いがてら夜の散歩に出かける。

 

 夜空を見上げると、満月に水蒸気のヴェールがかかり、朧月となっている。

 

 今夜は少し肌寒く思える。

 

 もうこのまま、梅雨に入るのだろうか。

 

 外灯の明りに照らされて、暗闇の中にぽつんぽつんと白いアジサイが咲いているのが見えた。