昨夜から朝方にかけて、雨が降り続く。

 

 午前中にはその雨もやんで、午後から晴れ間が覗いていたが、湿度が上がって外は蒸し暑い。

 

 散歩がてらツツジが咲き乱れた緑道を通ると、脇に植えられたライラックの花の香がツツジの匂いと混じり合って、あたり一面に官能的な臭気が漂う。

 

 その匂いに誘われてか、1匹のカラスアゲハがふわふわと飛んでいる。

 

 そんな緑道を曲がると、閑静な住宅街に出る。

 

 そこの一角には古い洋風の廃屋があって、手入れされなくなった庭にバラの木が植っており、薄紅色の花を咲かせている。

 

 板張りの外壁には白いペンキが塗られているが、そのペンキもかなりがはげ落ち、木目が覗いている。

 

 荒れ果てた、住人のいない家の庭に咲き誇るピエール・ド・ロンサール。

 

 人目に触れず、ひっそりと空き家の庭に咲いているバラの花の可憐さを思うロマンティシズムよりも、放置されていても花を咲かせている植物の生命力に感嘆する。

 

 今日は風が強く、庭のバラの花は雨水を含んでいるせいで、うなだれて頭を左右に揺らしていた。

 

 そんな動きを見ているとそれはちょうど、飼い主の帰還を喜んでいる小動物のようにも思えた。