朝、セミの声で目が覚める。
しかし、どうも鳴き声が近すぎると思い、カーテンを開けると、網戸に1匹のアブラゼミが張り付いて、鳴いていた。
しばらくすると、セミはどこかへ飛んで行ったが、やはり朝っぱらから間近でのセミの鳴き声は暑苦しい。
幸い天気は薄曇りで、外は涼しいくらいだ。
気分もいいので、公園までスロージョギングに出かける。
樹々の下を走っていると、足元にひっくり返ったセミが1匹落ちていた。
いずれ、アリに見つかって引っ張られて行くのかも知れなかったが、まだ少し動いており、このままアスファルトの上というのも、ランナーに踏みつぶされてしまいそうで気の毒になり、拾って樹の下に置いてやった。
そういえば、セミの成虫の寿命は1週間と言われているが、実際にはもっと長く生きるようで、3週間から1カ月程度という話である。
なので、幼虫時代の3年から17年(種類により違う)を入れると、セミは昆虫の中では、大変長生きな生き物なのである。
子どもの頃、近所のお寺で仲間たちとセミ捕りをしていたら、中年のお坊さんが慌てて飛んで来て、
「セミは、地面の中で7年間ももぐって生活し、夏になってようやく地上に出て来ると、1週間で死んでしまうんや。そんな生き物だから、かわいそうだと思うて、早く放してやりなさい!」
と、懇々と説教をされた。
我々は当然ながら、お坊さんの言うとおり、虫カゴからセミを取り出して、空に放してやったものだ。
だから、セミの姿を見ると、その時のお坊さんの顔が浮かんで来る。
ただ、それからはセミに限らず、昆虫などに無益な殺生をしなくなったように思う。
お坊さんの説教は、絶大な教育効果があった。
実際には、セミは1週間では死ななかったわけだが‥‥‥。
ずっと薄曇りで涼しい風が吹いていたが、そのうちどんどん空模様が怪しくなって、やはり夕方から激しい雷雨となった。
窓を開けると、黒澤映画ばりの土砂降りである。
しばらくすると、戸外で何かが当たるような音がするので、もう一度窓を開けて外を見ると、小石ほどのひょうが降って来ていた。
雷は、ずいぶん近くで轟いている。
落雷があったのか、激しい音が鳴り響いた。
後でニュースを見ると、東京都内では大雨洪水警報が出ており、夜遅くにかけても、大気の非常に不安定な状態が続くらしい。
雷は遠のいたものの、遠方でまだ鳴り響いている。
自然の最強さを思う。