最近見た夢の話である。
自分は、古びたバラック建ての小路に、たくさんの飲み屋が入っている飲み屋街にいた。
その中の1軒に、「灯り」という名前の店があった。
そして、その隣には「灯りが消えたら」という看板の出ている店がある。
そこから割烹着を着たママさんが出てきて、こちらに向かって笑顔で挨拶をすると、向こうから歩いてきた女性に、
「プー子、こっちこっち」
と声をかけた。
プー子と呼ばれた女性は、丸顔で目が小さく、黒のマンボズボンに白いスニーカーを履き、モヘアのセーターを着ている。年齢は30代くらいだろうか。
プー子は、こちらに向かって手を振ると、
「久しぶりね。ねえ、ここに入らない」
と、親しげに話しかけてきた。
どう思っても、知らない人であった。
だが途中で、自分は夢の中で彼女と面識があったことに気付き、先ほどの女将の出てきた店に入った。
店内はカウンターのみで、自分とプー子は並んで座った。
“プー子”という呼び方が面白かったので、名前の由来を聞いてみると、彼女は、
「その頃、プー太郎だったからプー子。それと当時、太っていて『くまのプーさん』に似ていたからかな」
と言った。
夢の中なのに、スラスラと意味の通じることを言うなあ、と感心していると、次に彼女はこんなことを話し始めた。
「あなたと最初に会った時は、あたし50代だったのよ。だから太っていたし、さらにお酒飲みすぎて、まぶたが腫れていて、ちょっとやばかったよね。遮光器土偶みたいで」
ああ、そういえば、と自分も思い出した。
どこかの立ち飲み屋で、彼女は飲んだくれていた。
その時に、声をかけた覚えがあった。もちろん、夢の中でのことだが。
「今はね、32歳だから、カラダもスリムになって、おしゃれもできるし、動きやすくなったの」
と、プー子が言った。
自分は、
「へえ、それはよかったね。でも、夢の中にしろ、お酒の飲み過ぎには注意しないと」
と言うと、彼女は怪訝そうな表情を浮かべながら、
「そうね、注意しないとね。でも、夢の中って、どゆこと?」
と、質問してきた。
自分は一瞬、返答に困って、
「いや、夢を見ているのはこっちの方だし、君には関係ないか」
と、返した。
プー子は、おかしなことを言うヤツだな、みたいな顔でこちらを見上げ、苦笑いしている。
しばらくして、頼んでいた焼酎のお湯割りが出てきたので、さっそくふたりで乾杯をした。
※過去記事に、加筆修正したものです。