午後から外出をしたが、うだるような暑さである。

 

 そんな中、せっせと自転車のペダルを漕いでいると、コンビニの植え込みの前に、小柄なおばあさんがしゃがみこんで何かを見ていた。

 

 おばあさんはしゃがんだまま、近くに自転車を停めた自分に向かって「ハトがぐったりしているよ」と教えてくれた。

 

 見ると確かに、ハトが丸まって、ふらふらになりながら半目を開け、かろうじて立っている。

 

「あまり暑いんで、ハトが熱中症になったんですかね」

 自分は思わずそんなことを言った。

 

 そのおばあさんは、「そんなところだろうかねー」とそのハトを心配そうに見つめながら。

 

「ここにいると、カラスや他の動物に襲われたりしそうですよね」

 自分がそう言うと、おばあさんは「そうなんだよ、ちょっとね、それがねー」

 などと口にしながら、まだそのハトを眺めている。

 

 自分はコンビニに用事があったので、おばあさんに軽く頭を下げて、コンビニに入った。

 

 用事を済ませて外に出ると、あのおばあさんもハトもいなくなっていた。

 

“あれ、おかしいな。もしかしたら、おばあさんがハトを連れて帰ったのだろうか”

 などと思い、コンビニ前に設置されているガシャポンを見ていた子どもたちに、「今、ここにいたハトとおばあさん、知らない?」と聞くと、子どもたちは口を揃えて「知らない」と答えた。

 

 自分がコンビニにいたのは数分程度なので、その間におばあさんはハトをどこか涼しいところにでも連れて行ったのだろうか、と思った。

 

 おばあさんによって、あのハトが救われていたらいいのだが。

 

 

 その夜は激しい雷雨となった。