顔のないヒトラーたち | サンドリヨンのブログ☆正統派歴女いざ参る!

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土佐の脱藩歴女が、いろんな歴史の旅と日常を綴ります。
 過去ログの(1564nhのブログ)では、本当に沢山の歴史を公開しています! 自分で書いておいて改めてへぇ~・・・なブログも、お時間ありましたら見てみて・・・・!!

1943年・・・・

 

1月14日 の今日・・・フランス領でもあったモロッコのカサブランカにて、 カサブランカ会談 が行われた。 第二次世界大戦中行われた連合軍の首脳会談である。 ここに集まった連合軍国家の

首脳達は、敵対していた 枢軸国 (ドイツ・イタリア・日本など) に対して、無条件降伏を要求する方針を互いに確認し合ったのだ。

 

一時期題材として、多くのヒトラー関連の作品が作られました。

それら関係作品は、今でも時々制作されて公開されているが、

その殆どは、ヒトラーの姿が登場しないような物語で、彼の下で働く

臣下や臣民達が、あらゆる犯罪を犯し・・・それに立ち向かうといった

反ナチの活躍の姿。 最近・・・と言っても、もう数年前だが・・・・・

 

現在では、その多くの作品を見ることができる当たり前の絵画たちが、敵対国よりドイツへと持ち逃げされ、ヒトラーがそれらを集めた大きな美術館を作ろうとしている。 その為の盗まれた絵画や美術品を

取り戻そうとする男たちの戦いを描いた作品を観た。

 

1978年には、私の好きな俳優であった グレゴリー・ペック が、なんとヒトラーのクローンを作りあげようとする男を演じたサスペンス映画「ブラジルから来た少年」 などもあった。

これは倫理上の問題から、公開後いろいろと叩かれたそうだが、当時日本では未公開となっていて、後に有名な映画劇場にて初放送された。 今でも有名な俳優である ローレンス・オリビエ が、

グレゴリーを追い詰めるナチ狩りの敏腕 ナチ・ハンター を演じ。 1996年には、NHK・FM「青春アドベンチャー」というラジオドラマ枠にて、ドラマ化もされて・・・・。 その時グレゴリー・ペックの役の声を当てたのが、今もあちこちで引っ張りだこの俳優さん・・・・・

吉田鋼太郎 さんだったという事だ。

 

その「ブラジルから来た少年」でのヒトラーのクローンを作ろうとした男

・・・・名前は、科学者の ヨーゼフ・メンゲレ ・・・・。

 

この同じ人物が関わってくるのが、私が最近観た作品・・・・・

「顔のないヒトラーたち」 だ。 

 

物語は、ある1人の男が街で偶然遭遇した元ナチの親衛隊を、裁判所に訴えに来るところから始まる。

 

フランクフルト審判裁判所 で働く若き検事の1人・・・・・ 

ラドマン 彼は普段交通事故や市民が起こした問題などを、審議弁護する人間だったのだが、ある日 シモン という男を連れてやって来たグルニカと出会う。 彼はシモンから聞いた元武装親衛隊を、今は一般市民に紛れて暮らしあろう事か・・・・、 許されないはずの教育者として生活をしていると、告発しに裁判所を訪れた事で、この後検事

ラドマンは・・・・新聞記者の グルニカ と共に、 1958年 

当時にはまだ知られていなかった真実を、世間に公表していく難しい問題に直面していく事となる。

 

第二次世界大戦終結から20数年・・・・

当時の西ドイツ・フランクフルトなどでは、街から消えたユダヤ人達が、

安全な場所に避難させられたとしか理解がなくて、信じられないことにポーランドにあったドイツの 強制絶滅収容所 の存在も、そこであった真実も・・・・何も知らずに生活をしていた。

 

アウシュヴィッツ ・・・・。 今では有名な元ナチのユダヤ人収容所であり・・・・ 負の遺産 でもある場所。 主人公のラドマンは、幼い頃に消息不明となった父親は、ナチを憎んでいた人間だと思っていたのに、実はポーランドにいた元ナチだと知る。 彼にとっては衝撃的な真実だったんだが、それよりもナチがアウシュヴィッツで行っていた残虐非道な行為。

 

当時の収容された生き残りのユダヤ人達を探し当て、全ての人から

真実の話しを聞き出し、元親衛隊を探し出してその罪の償いをさせる。

 

こうした物語が、当時実際にあった出来事であり、当時誰も残虐な行為も、アウシュヴィッツの存在も知らなかったという真実が、私も作品を見ていて信じられないと驚いたのだが・・・・。

ラドマン達の必死な作業と、地道な活動により・・・・

1963年には、211名の罪人が捉えられた。 元親衛隊の内19名は

罪を問う事となり、17人は有罪 ・・・・初めはラドマンの行動に、無関心を持っていた資料センターの人間も、最後は彼に協力的になっていく。 終戦直後大々的な裁判では、元親衛隊達も誰も本当の事を述べてなかったのだ。 それ故それほど大きな問題にもならずして、市民達も知らない事となった。 その時捕まったナチ関係者はほんのわずか・・・・。 驚くことに、自らの罪を認めて謝罪した人間は、ラドマンらの追求の後にもいなかったという。

 

冒頭に登場する収容所の生き残りであるシモン

 

彼にはまだ幼い双子の女の子がいた。 だが当時収容所にて、善良を装っていたある男に出会い。 娘たちは助けてもらえるかもと、その男に引き渡した後に悲劇が起こるのである。

 

その男こそ・・・・・ ヨーゼフ・メンゲレ であった。

 

彼が作品中で何を行っていたか・・・・

シモンの娘達に、何をしたのか・・・・。 これも真実の1つなのです。

私も別の本などで、当時の収容所や親衛隊などの行いを読んだが、

それらは今文字を目にしていても、おぞましくて思わず本を閉じてしまおうかと思ってしまうくらいの事柄でした。

 

メンゲレは追っ手を掻い潜って、まんまとブラジルへと逃げ延びます。

 

彼は 1979年 にブラジルで水泳中に溺死しています。

つまり映画「ブラジルから来た少年」は、彼がまだ存命中に書かれた

小説 (1976年発表) であり、映画公開も彼が亡くなる1年前の公開となるわけで、当時メンゲレがこの作品の事を知っていたかはわからないが、映画の中 (小説の中) では、彼はラストで犬に殺されてしまう

場面が描かれている。

 

「顔のないヒトラーたち」の中では、ラドマンと共に行動していた男・・・・

グルニカが、アウシュヴィッツの跡を訪れた際にこう言っている。

 

 「アウシュヴィッツは掘り起こさねば

            記憶から忘れ去られてしまう」

 

知らなければ知らないまま・・・・・

知ろうとしなければわからないままで、歴史の中からも記憶からも、

真実はいつか消えてなくなってしまう。

きっとそうした事柄は、もしかしたらまだ沢山あるのかもしれない。

私も知らない何かが・・・・、だから私もそれらを見つけて、少しでも伝えようと歴史を綴っている。

 

そしてラドマンの相手グルニカの過去の真実も、映画では明かされる事になり、彼のような人間もいたんだと、私も初めて知る事だった。

 

戦争当時・・・、多くのユダヤ人を助けた日本人の外交官もいた。

けれどドイツの人々は、一部を除いてその真実の事を知らないまま

終戦後も生きていたなんて、そんな事があるんだろうかと思ったんだが、これが本当の事なんだと知らされると、余計に戦争のあり方に対して、複雑な感情を持ってしまった。

 

1963年 アウシュヴィッツ裁判 に向けての真実の物語。

 

 

今日こんな本を図書館で見つけた。「原水爆」主に 原爆 に対しての作品は、昨今もう見られなくなってきてるが、まだ昭和だった頃には・・・沢山の原爆などに対する関係した作品が、少年・少女漫画にも見られたものだった。

 

私が目を止めたのは、「ベルサイユのばら」 などでも有名な

池田理代子 さんの作品 「真理子」 が載っていたから・・・・・。 この漫画は、昔ベルばらを読んでファンになり、池田さんの作品の単行本を買っていた中に、収められていた作品でもあり、それを読んでいて・・・・懐かしいと今日手に取ってもう一度読んでみたいと思ったからだった。

 

真理子という少女が、同じ高校のクラスメートの死と共に、家庭教師として家に来た男子大学生に恋をして、その後この家庭教師も突然この世を去ったと知らされた悲劇の高校生の物語だった。

真理子が後に知らされた二人の死には、共に原爆での後遺症が絡んでいて、人知れず苦しんでいたという事。

 

真理子が発表になったのは、1970年代・・・・・

 

そんな70年代でも、彼女の周りでは今尚原爆症に苦しむ人がいるといった現実を描いていて、作品としても重いテーマの扱いとなっているが、読んでいる読者に対しては、もう一度その現実を考えてといった

メッセージも込められているような作品だった。 

 

今では取り上げられないようなテーマであり、多分現代では読まれる事もない作品と思うが、目に見えている事だけが、真実とは限らないといったメッセージは、「顔のないヒトラーたち」とも変わらないと思う。

もし、これらの作品をどこかで見かけたのなら、一度見て欲しいと思い紹介させてもらいました。 尚「顔のないヒトラーたち」は、日本語吹き替えなしのドイツ語での作品ですが、見ていても違和感なく英語と同じように楽しめると思います。 

 

ちなみにアウシュヴィッツには、当時8千もの兵がいたそうです。

 

今のヨーロッパを中心として、昨今では人々に知られていないような

真実を描いた。 私達の知らないナチスドイツ関連の作品が、多く登場しています。 「ヒトラーの忘れもの」 ・・・・・

 

これは敗戦国となったドイツ兵の少年捕虜達が、ナチが埋めていった多くの地雷の撤去作業に駆り出されていたといった知られざる物語で、元ドイツ兵の少年達が、敵地に置き去りにされ・・・・・

捕虜となって撤去後には、母国へ帰れると信じて生きた時代の話し。

作業ミスで、地雷の爆発で死んでしまう少年や、少年兵達を監視している人間との交流や切なさを描いた作品です。

戦争は、勝っても負けても背負う者が大きすぎる。

 

 

最後に「顔のないヒトラーたち」の予告編を付けときますね。ニコニコ