未経験者歓迎。
着物が着られるようになる。
礼儀作法も身に付く。
そんな文句に私は惹かれて選んだのだった。
まさかほんとに高級なお店だなんて思ってもいなかった。
一流の料理人がいる。と書かれてあっても、
まぁどこでもそれくらいのこというんじゃない? なんて思っていたから。
面接には女将さんが応じた。その時は着物ではなかったが、
身長も高めで体つきも決して華奢ではなく、どちらかというとがっちりとした感じで
ただ者ではない、ことはすぐに分かった。
これだけ気品があり迫力のある女性を見たことがなかった。
ほぼ初バイトな私にとって、こんな人と話すなんて機会に見舞われたことにも驚いた。
面接はこちらに質問を浴びせるなんてものではなく、説明がほとんどで
女将さんは話し続けた。
(今思えば、この時、質問攻めなんかされてたら、恐くてしょうがなかっただろう。)
会社の重役さんや会長さんレベルのような方々が来られるけど…大丈夫?
その反応がきっと面接で一番聞きたかったにちがいない。
そんなつもりじゃなかった。なんて態度を出せるわけもなく。
私はこの状況を受け止めることにした。
成長できそう。なんてつぶやいてみたりして。少し強気を演じた。(ほんとはちょーびびりのくせに)