全身の周期的加速度運動の血管内皮機能に対する効果


松本鉄也① 藤田正俊② 樽谷康弘③ 山根哲信① 高島弘行① 中江一郎① 堀江稔①


①滋賀医科大学呼吸循環器内科

②京都大学大学院医学研究科人間科学系専攻

③医療法人岡村記念病院循環器科


<Abstract>

背景, 目的 : 習慣的な運動は血管内皮機能を改善させ、心血管病のリスクを減少させる。その機序は血管内皮に作用するシェアストレスによると考えられる。そこで、臥床した状態で全身を上下に周期的に振動させる運動負荷ベッドを用いて、全身の周期的加速運動の血管内皮機能の改善効果につきて上腕動脈の反応性充血反応(FMD)を評価して検討した。


方法 : 運動習慣のない成人ボランティア20名(平行年齢43±4歳, 女性12名, 男性8名)を対象とした、対象者を無作為に2群に分け、4週間の運動療法期間、4週間の非運動療法期間の順番「クロスオーバーにて割り付けた。1日1回、45分間の2~3Hz、±0.22gの運動の間に計20回実施した。


結果 : すべての対象者において運動装置による合併症は生じなかった。運動療法期間、非運動療法期間の前後で血圧、脈拍、脂質、血糖、Body Mass Index(BMI)変化は認めなかった。運動療法群でFMDは7.3±0.6%から8.2±0.7%に有意に増加した(p<0.05)。非運動療法群ではFMDに変化は認めなかった(7.2±0.6%から7.7±0.5%)。硝酸薬による血管拡張作用は運動療法期間、非運動療法期間の前後で同様であった。


結論 : 運動習慣のない成人において、全身の受動的な周期的加速運動は血管内皮機能を改善した。QOL向上・生命予後改善効果も含めた運動療法として期待される。


> 心臓 2007 Vol.39 No.11より


⭐ どうすれば早く腫れがとれて可動域を取り戻せるのか?をチェックしていくと、交替浴で血流を促して回復を図るリハビリ方法を用いていたこともあって、「shear strss」という物理的な応力を知ることとなる。


その後、「shear strss」の効果効用を研究する論文を、片っ端から調べていくと、京都大学の藤田正俊先生(循環器内科)の存在を知る。


それから、駄目元でメールを送り続け、10年が過ぎたある年末、藤田先生の秘書さんから、「年始に病院に訪ねて下さい!」と、もう心臓が飛び出しそうでした。


底冷えのする宇治病院の院長藤田先生に、手作りのプロトタイプ「動技マシン」を見て頂き、私のマシンが使えるとお墨付きをもらう。


そして、効果効用を改めて説明して頂いた後、2~3Hzは何故なのか?も質問させてもらうと、「最初に運動負荷ベッドの論文を執筆したアメリカ人研究者が、物理的に効率が良い反復運動から割り出した」と、説明を受ける。


効率が良い至適リズムの論分から弾き出された、3歩という酸素効率が良い歩き方とか、60~90rpm/mim.が酸素効率が良いペダリングとか、ジョグは三拍子とか、無駄の無い動きに余分な力を使われないリラックスした動作を再現すること、改めて勉強させられました。


その後、多忙な院長先生が席を立つと、同席した副院長先生(脳外科)は、「高価な運動負荷ベッドより、動技マシンの方が良い!」とも言ってくれ、「早く商品化しろ!」と、尻を叩かれました…。


「オペが出来ない脳梗塞患者の運動療法に使えそう」とも仰っていました。


この貴重な経験、藤田先生のお陰で、「動技マシン」は間違っていなかった事を教えて頂き、束の間の安堵と、商品化する責任を強く意識し始め帰省したのを思い出します。