⭐ 抗血栓活性

shear stress は内皮の抗血栓活性を高める。shear stressで増加するNOやプロスタサイクリンは共に強力な抗血小板凝集作用を有している。内皮細胞表面に発現する糖蛋白トロンポモジュリンはトロンビンのフィブリノーゲン凝固活性や血小板凝集活性を失わせ、同時に凝固因子を不活性化するプロテインCを活性化する。このトロンポモジュリンの発現がshear stressで増加する(図1A)。また、shear stressは抗血液凝固作用のあるへパラン硫酸や線溶活性を有するプラスミノーゲン・アクチベータを増加させる。

⭐ 白血球との接着

血流が白血球と内皮細胞の接着現象を修飾するが、その機構にshear stressによる内皮細胞の接着分子の発現調節が関わっている。マウスのリンパ節の細静脈から培養した内皮細胞にshear stressを作用させると接着因子VCAM-1(vascular cell adhesion molecule-1)の発言が減少し(図1B)、接着するリンパ球の数が減少する。

【 日本血栓止血誌 第24巻 第6 】

○ 流れ刺激に対する内皮細胞応答の   イメージング解析

★ 山本希美子
東京大学大学院医学系研究科 生体物理医学専攻 准教授

★ 安藤譲二
 獨協医科大学医学部 生体医工学研究室 特任教授