●なぜホルモンの分泌量が変化する?
肥満になると白色脂肪細胞から分泌されるホルモンなどの量が変化する原因の一つとして、脂肪をためこんでふくれあがった白色脂肪細胞が、血液不足に陥っていることが指摘されている。
写真の上段は、標準体重の人の白色脂肪細胞である。血管が白色脂肪細胞の外側に沿うように走っている。下段は肥満の人の白色脂肪細胞である。血管が、ふくれあがった白色脂肪細胞にめりこむような状態になっていることがわかる。
佐賀大学名誉教授の杉原甫氏は、「血管がつぶれていることで、白色脂肪細胞が血液不足になっています。このため酸素不足におちいり、それによってアディポネクチンの生産が減少すると考えてきます」と語っている。
○「アディポネクチン」という物質も白色脂肪細胞から分泌されている。アディポネクチンは血液中からブドウ糖の取りこみを促進する効果や、傷ついた血管を修復して「動脈硬化」をおさえる効果などを持っている。
○ 白色脂肪細胞は、体内最大の内分泌器官であるともいわれている。とくに内臓の周辺にある白色脂肪細胞は、皮下脂肪の細胞にくらべて、さまざまな物質の分泌が活発におこなられていることもわかっている。
問題は、白色脂肪細胞に過剰な脂肪が蓄積される(つまり肥満になる)と、これらの物質の分泌量が変動することだ。レプチンやTNF-α、レジスチンなどは分泌量が増加し、アディポネクチンは減少する。その結果、体にさまざまな異常が発生し、病気になるのだ。
〉以上
ニュートン別冊 人体の取扱説明書 p72
※ 長寿ホルモンといわれているアディポネクチンの分泌に、直接 血流が関わっていたとは…。
この証明する電子顕微鏡写真、余りにもリアルで解りやすいですね。