撮影日   2026.1.25(4枚目は2025.2.3)

撮影場所  広島電鉄横川線 横川駅(4枚目は御崎公園)

 

路面電車の博物館的な広電でも2両だけとなった元神戸市電の

一両・1150形1156号の紹介です。

独自の塗装が異彩を放っています。

 

(一枚目)

・7号線 広電本社前行きの1156号です。

前面中央窓はHゴム支持となり、両脇窓上部には庇が付き前面

行先表示器は大型化された広電スタイルです。

ワンマン表示灯も付いています。

 

1150形は1971年に7両が神戸市電から移籍したもので、元は

1955年から56年にかけ、8両が川崎車輛及びナニワ工機で製造

された半鋼製2軸ボギー車です。神戸市電最後の新製形式でした。

車体は前年登場の1100形ベースですが、当時流行りの「PCCカー」

として製造され、直角又は平行カルダン駆動を採用しブレーキも

電空併用ブレーキ、台車も新型台車を採用した最新鋭車でした。

しかし他社局の「PCCカー」と同様手を焼き、次の導入(1960年)は

前形式の吊り掛け駆動車1100形に戻り(但し車体は1150形ベース)、

初期故障の多発も有って1964年に直接制御・吊り掛け駆動に変更

されてしまいました。

1968年に1155号以外ワンマン化され、主役として活躍しましたが

1971年神戸市電全廃により1100形・500形(→570形)と共に広電に

移籍しました。

当時神戸市電最新の1100・1150形と古参の500形が移籍した訳で、

その間に導入された700形ロマンスカー等の移籍は有りませんでした。

広電では3形式29両の勢力で、40両移籍の大阪市電移籍車に次いでの

勢力で、後に移籍してきた京都市電移籍車と合わせ京阪神3都市の

市電が揃いました。

 

広電では1150形はワンマン方式の変更を行った程度で、塗色・形式も

そのままでしたが、1155号車は移籍せず保存された為、1158→1155

なり7両が活躍しました。

その後、1981年に前面方向幕を大型電動幕化、1983年に集中冷房が

設置されました。集電装置もZパンタになっています。

比較的新しい車体を持つ1100・1150形でしたが、出口が狭い・収容力

不足・パワー不足等で徐々に活躍の場を狭め、1100形は2000年から

2003年にかけ5両全車(広電には全車移籍していた)が廃車され、1150形

1998年から廃車が発生し現在は1両だけです。

現在はこの1156号のみが、ラッシュ時に活躍しています。

 

(二枚目)

側面です。前中引戸となっており側窓は上段Hゴム固定の

「バス窓」です。これは1150形の他、1100形最終増備車1104・

1105にも採用されました。窓上部にはウインドシル・ヘッダーが

付き古めかしく感じます。

ドアも窓ガラスが分割され、側窓と高さが合わせられています。

広電の「バス窓」車は500・550・900・1100・1150・3000形が

該当しましたが、今では900・1150・3000形各1両だけです。

特徴的なのはドア上部から窓上にかけて緩やかにウインドヘッダ

ーが付き、張り上げ屋根ながら雨樋が低い位置に付く点です。

これはクロスシートを装備し東洋一と謳われた神戸市電の代表車・

700形から始まったスタイルです。丸みを帯びた優雅なスタイルで、

1100形からは前後折戸(一部は3ドア)から前中引戸とりました。

大正生まれの570形は無骨なスタイルなので、全盛期の神戸市電

スタイルを残す最後の現役車両です。

 

尚近年広電ではZパンタ装備車の多くがシングルアームパンタに

交換されており、この車両も換装されています。

その為昭和30年代の車両にシングルアームパンタというミスマッチ

な光景ですが、広電では多く見られます。何せ車齢100年を越した

570形ですら交換されたので。

(三枚目)

本形式は製造当時最新鋭の「PCCカー」でした。大阪市電

3000形や、阪堺モ501形と共に最新鋭のカルダン駆動車でした。

しかし保守に手を焼き、大阪市電801・901形由来の旧型台車に

履き替えて吊り掛け駆動化、ブレーキも直通空気ブレーキとなり

直接制御と相まって大幅なダウンスペックとなりました。1100形の

方が新型台車だった為、それよりもスペックが下がった感じですが

高性能車で無くなった事が譲渡に繋がったと思われます。

現在の1156号の台車はブリル77Eを履いています。広電移籍後一部

車両は台車を履き替えた様ですが、いずれも板バネに平軸受けと

古い設計です。モーター出力は38kw×2基の様です。

現在のスペックは吊り掛け駆動に直通空気ブレーキとなっており、

足回りの面ではPCCカーの面影は有りません。

 

尚当車両は現在広島市とドイツ・ハノーバー市が姉妹都市になった

事を記念したハノーバー号となっており、専用塗色です。

ピンク・白・水色ベースの塗色に動物が描かれた楽しいデザインです。

元は1978年に1105号に施されたものですが、2001年に同車が事故

廃車された事により1156号が2代目となっています。

車番のフォントも神戸市電時代のままです。これは後の神戸市営

地下鉄にも引継がれました。

この車両の神戸市電塗色も見てみたいです。

(四枚目)

こちらはオマケで、以前掲載した1100形の保存車・1103

号です。最後の1100形として活躍しましたが2003年に廃車され、

神戸市内の御崎公園にて保存されています。

写真側の前面は神戸時代の姿に復元が試みられています。

1150形と違い側窓は2段窓となっています。

 

神戸市電は京都・大阪市電と違い廃止時期に他社局への移籍例

は広電だけでした。残念ながら1150形は1両だけになってしまい

ましたが、今後も長く頑張って欲しいです。

以上です。

 

参考文献   鉄道ピクトリアル NO.688 2000.7  臨時増刊号

       【特集】路面電車~LRT

      

参考HP        第六工場

      

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