撮影日 2025.4.14
撮影場所 とさでん交通駅前線 高知駅前電停
前回に続き、昨年4月の四国旅行の記事です。
「南風」で高知に降り立った後、もう一名の同行者が遅れて
到着予定だった為駅前で暫くとさでん交通の路面電車を撮影
する事にしました。
10年以上前仕事で出張した際、夜間に高知駅前から桟橋通
五丁目まで乗車した事が有り、久々の再会です。
尚その際は夜8時過ぎだったと思いますが、復路の高知駅
方面が既に終電が出ており、駅前まで歩いて帰りました。
(一枚目)
・起点の高知駅前電停です。ここは駅前広場に設けられて
おり、JRの駅に直角になる様な形で3面2線の構造となって
います。昼間は専ら手前側のホームが使われている様でした。
とさでん交通の路線は市内を南北に貫く高知駅前~はりまや橋
~桟橋通五丁目間の駅前線・桟橋線と、東西にJRに沿って長く
走る後免町~はりまや橋~伊野間の後免線・伊野線(全区間
通しでは無く基本的に途中折り返し)が有り、はりまや橋で
直角に交わります。
高知駅前発は基本的に桟橋通五丁目行きですが、一部伊野線
方面に乗り入れる列車も有ります。
尚かつてはJRの駅前で右に曲がった位置に有りました。
(二枚目)
・電停には「船中八策」ならぬ「電中八策」なるユーモア
溢れる看板が設置されていました。
高知駅前~桟橋通五丁目間は市内均一区間で230円均一で、
はりまや橋で後免・伊野方面乗換時は乗換券が発行されます。
構内の線路は緑化されており、近代的な構造です。
ここで暫く撮影する事にしました。
(三枚目)
・暫くすると今や貴重な日野ブルーリボン貸切ボディ(自家用
車)と共に最新の超低床車・3000形3002号がやって来ました。
バスの方は以前紹介済みです。
3000形は3本導入されており、「ハートラムⅡ」の愛称が
有ります。この編成は2021年製で写真は3002Aです。
3000形は2018年から導入が始まった超低床式車で、3車体
2台車構造の連接車です。アルナ車両のリトルダンサー・
タイプUaシリーズの一員で、同型車は豊鉄T100形や富山
地鉄T100形等が有ります。
前身の土佐電時代に初の超低床車として同じリトルダンサー
シリーズのLタイプの100形(3代目)が2002年に導入されて
いましたが、1本だけに留まりました。
本形式は16年ぶりの新形式で、とさでん交通になってから
初めての新形式です。
100形と比べ前面の傾斜は減り、行先表示器はLEDとなり
ました。最新の3003号は白色LEDとなっています。
又独自塗色の100形と異なり、とさでん交通発足後の標準
塗色となっています。
(四枚目)
・中間の3002Cです。シングルアームパンタを備えます。
車体は鋼製で前後のA車とB車はそれぞれ運転台側片面に
折戸、中間のC車は両側面に引戸を設置しドア配置は
左右側面で対称になっています。
中ドアは車椅子対応です。
側窓は黒サッシ逆T字窓となっています。
側面には行先表示器も設置されている他、運転台付近には
車外カメラも設置されています。
足回りについては駆動方式は車体装荷式の直角カルダン駆動で
モーター出力は85kwで編成で2基搭載しています。
制御方式はVVVF制御で、ブレーキは回生・発電ブレーキ併用の
電気指令式空気ブレーキです。台車はボルスタレス式です。
(五枚目)
・3002Bの姿です。前面窓は大型の1枚窓で前照灯は円形で
窓下に設置されており、優しそうなデザインです。
座席は1人掛けクロスシートとロングシートとなっています。
運転台はワンハンドルマスコン式です。
とさでん交通は前身の土佐電時代から「軽快電車」グループ
以降の新車が極端に少なく、1981年製の1000形2両・2000年
製2000形3両、そして超低床車2形式だけとなっています。
1000・2000形はいずれも機器更新の吊り掛け駆動のボギー
車で、他都市と比べ近代化は遅れていると言えます。
その分旧型車が多く見られるわけですが。
今後も本形式など新型車の増備に期待したいです。
(六枚目)
・そして運よく営業用車では現役最古参の200形トップナン
バーもやって来ました。既に車齢75年目です。
200形は当時各都市で流行っていた都電6000形スタイルの
半鋼製ボギー車で、1950年から1957年にかけ21両が製造
されました。
オリジナルと同様前面3枚窓で側面は前後ドア・2枚引戸と
なっていますが、前照灯は窓上設置です。
車体は11m級で、同社では初のボギー車でした。
尚次の600形では都電7000形風となり、13m級の前中引戸
となっています。
又仕様がかなり豊富で一部は間接非自動進段制御・連結器
付で鉄道線の安芸線(廃止済み)の直通運行に使われていた
車両がいた他、台車や側面窓などが異なっていました。
更にその後の車体更新で前面窓や側面窓の変更が行われ、
各車両ごとに仕様が異なっています。
尚他に同じ車体を持つカルダン駆動試作車500形もいました
が、後年吊り掛け駆動・直接制御に改造されてしまいました。
各車共通の改造としては後年1970年からワンマン化が行われた
他、2000年代に入り行先表示器がLED化されました。
その頃路面電車のLED化は珍しい事例でしたが、土佐電では
殆どの車両がLED化されました。尚同社のバスもLED改造が
早く、国内で唯一モノコック車までLED化されて有名でした。
(七枚目)
・201号の反対側前面です。気になる屋根上は後程…。
この車両は日立製作所製で、側窓は2段窓で10枚配置です。
このタイプは日立及び帝国車輛製の214までのスタイルで、
自社工場製の215以降は1枚下降窓で11枚窓となりました。
尚一部は600形登場後に落成しています。
前面窓下には「乗降中」表示器が設置されています。
この車両は後年の更新及び冷房化で大きく姿が変わっており、
前面窓は中央窓が拡大され2段窓となりました。又側面窓も
上部がHゴム固定の「バス窓」に更新されています。
これらの改造は一部車両だけの施行です。
塗色はこの車両はとさでん交通の新塗色になっていますが、
土佐電時代の塗色や更にそれ以前の復刻色になった車両も
います。
この201号はZパンタですが、菱枠パンタの車両もいます。
(八枚目)
・運転台周りです。今では珍しくなった2枚引戸で、ドアは
鋼製に更新されています。
更新で窓枠はアルミサッシとなり、車内は蛍光灯となって
車内壁は緑に塗られ、床もグレーのゴムタイルとなりました。
モケットは赤色です。
車内も車両により違いが多い様で、その点も興味深いです。
同じ四国の伊予鉄では同期のモハ50形がドア配置変更や
冷房化を受けつつ車内がニス塗りのままなので、両社の
考え方の違いが興味深いです。
(九枚目)
・ステップは後年2段化された様で、ステンレス化されて
おり運賃箱も新型でこの辺りだけ近代的です。
200形は台車が大変多く、後年の交換も含めると8形式
有った様で古典的な板バネ台車も有れば、近代的なコイル
バネ台車も存在し、希少な軸梁式も存在しました。
201・202号の台車は古典的な板バネ式のSA-W2ですが、
軸受けはコロ軸受けになっています。
駆動方式は吊掛け駆動でモーターは38kw、直接制御で
ブレーキは直通空気ブレーキと言う点は共通していますが、
かつては上述の様に間接制御車もいました。
(十枚目)
・最後に、201と202だけの特徴である屋根上の巨大な
クーラーです。この2両は1980年に冷房化され、土佐電
初の冷房車となりましたが、以後200形の冷房化は進み
ませんでした。
後に600・700・800形は全車冷房化されましたが、この
2両だけはとんでもなくゴツイ冷房機器を搭載しています。
他では見た事が無いタイプで、路面電車冷房化の初期の
事例の為試作的なものだったのでしょうか。
同時に前面窓や側窓の改造が行われ、同時に車体中央部が
補強の為窓間隔が変更されています。
因みに210号が突如2017年に冷房化され、車内照明もLED
化されましたが、市販の家庭用クーラー搭載で話題になり
ました。同じ事例は函館市電8100形でも見られます。
それにしても暑い高知で非冷房車が生き残っているのは
ある意味奇跡的です。
200形は203号が事故廃車されましたが、他の車両は改造を
受けつつも長く活躍を続けました。しかしほとんどが非冷房
だった為2000年から2000形に更新された車両が登場し、
同時に廃車も進んでおり現存は10両となっています。
後期の自社工場製は既に消滅済みです。
運用も限られてきている様で、車齢も高いので今後も引退が
進むと思われますが新車導入が進まず、中古も無さそうで
今後の動向が気になります。
他の200形も現役な内に見てみたいです。
次回に続きます。
参考文献 鉄道ピクトリアル No.688 2000.7
臨時増刊号【特集】路面電車~LRT
参考HP 第六工場
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