撮影日   2023.5.16

撮影場所  東武鉄道伊勢崎線 館林駅付近

      

前回紹介した8561編成に続き、今回は同じく館林で遭遇した

8000系2両編成の8574編成の紹介です。

四方に路線が伸びる館林駅は、伊勢崎線系統では10000系の

6両編成と特急「あかぎ」が走り、佐野・小泉の両支線では

8000系列のワンマン車が活躍していました。

少し離れた所には東武の車両の改造を担う津覇車輛も有り、

ジャンクションと言えますが訪問時は長閑な雰囲気でした。

 

(一枚目)

構内に停車中の8574編成です。

この編成は8000系の中でも末期の1982年製で、東武沿線の

富士重工製です。

新製時から冷房付きで、2006年に修繕工事が施工されワンマン

改造も行われています。

その為6050系風の前面でLED表示器・HID前照灯・貫通扉

ワイパー追加・車外スピーカー設置が行われています。

フリースペースや車内案内表示器も設置されています。

 

尚8000系2連車は80本が製造されましたが、製造は比較的

初期の車両が多く62本は非冷房での落成です。

後年ワンマン化されたり4両と組んで6両固定化された編成も

存在します。

本稿執筆時点では8572編成以降の6本だけとなった模様で、

いずれも80年代製造の後期分でワンマン車となっており、

佐野・小泉・桐生・大師・亀戸線のワンマン運用です。

前面改造は行われていながら最初期の製造分で、秩父鉄道

線内の牽引車用途で特徴的だった8506編成は今年遂に

廃車されました。

残る編成も10000系列のワンマン車増備で引退が近そうです。

(二枚目)

モハ8574の運転台側側面です。

塗色は白地に青の濃淡の帯が入った爽やかなものです。

この塗色は長く鋼製車体の東武の通勤電車の標準で、他に

吊り掛け駆動更新車の3000・5000系列や1800系通勤改造

車で見られました。日比谷線直通の2000系は最後までセイジ

クリームのままでしたが、野田線に転用された2080系では

この塗色に変更されていました。

 

登場時はベージュとオレンジのツートンでしたが、1974年から

セイジクリームとなり1985年から現行塗色になりました。

8000系が引退するとこの塗色も消滅します。

10000系以降の形式でもこの帯色を見てみたいものです。

(三枚目)

同車の連結面側です。

東武標準の分散式冷房付きで落成し、パンタグラフは下枠

交差式で落成しています。

東武では30000系まで分散式及び集約分散式クーラーが

続きました。

転落防止幌は段違いタイプが設置されています。

 

このモハ8500形には主制御器、クハ8600形はMGが設置

されており、冷房付きの為MGは大容量で落成しています。

台車が変更されたグループは床板にステンレスのキーストン

プレートが採用され、側扉や貫通扉がステンレス無塗装で

登場しています。

8000系の後期新製分及び冷房改造分ではブラシレスMGが

採用されており、この編成もBLMGです。

(四枚目)

同車の台車です。

1976年以降製造分で採用された、車体直結式空気バネ台車で

S形ミンデンタイプのTRS-75Mでメーカー名はFS-396です。

付随台車はTRS-75T(FS-096)です。

長きにわたり多くが製造された8000系ですが、保守的と

言われた東武の姿勢為か、吊り掛け車時代に機器の種類が

多かった故なのか足回りの種類は少なく、台車は2タイプ

だけで主要機器も殆ど変わっていません。

運用によっては日光線や鬼怒川線の勾配区間にも入っていた為、

発電ブレーキが無いのは大変だったと思います。

(五枚目)

これは相方クハ8674です。

8000系は当初4両と2両編成が製造され、6両を組成する

前提でした。その為4両はクハ8100+モハ8200+モハ8300

+クハ8400、2連はモハ8500+クハ8600と形式が分かれて

いました。その後増加した8両固定では4両を2本くっつけた

形態で登場、一方6両では4両の中間にサハとモハのユニットを

組み込んだ形態となり、前者にはサハ8900、後者にはサハ

8700とモハ8800(1C4M)が組み込まれています。

 

尚増備が進んだ結果、両数によって形式が分かれている為も

有り一部車両は81〇〇〇の様なインフレナンバーになりました。

今でも残存していますが、80000系増備で車番が被るのか

気になる所です。

(六枚目)

クハ8674の運転台側です。

8000系は車体についても製造途中の変更は極めて少なく、

初期車の側窓4隅にRが付いていた事や製造途中で側窓の

支持方式が変わった程度です。

1980年以降製造分は側扉ガラスが当初のHゴムからアルミ

枠に変更されており、この編成も該当します。

但し後年の各種改造で結果として編成毎に差違が出てきて

趣味的に面白くなりました。

(七枚目)

ホーム側から撮影したモハ8574です。

東武の両開きドアの車両は伝統的に戸袋窓が無く、例外は

20050系5ドア車とそれを改造した20400系列だけです。

(八枚目)

車内には小型の一段タイプのLED式車内案内表示器が設置

されています。

ドア内側はステンレス無塗装で、後期製造分で窓ガラスの支持

方式はアルミ枠で目立たない外見です。

(九枚目)

話題を変えてこの時に下車した館林駅の東口側駅舎です。

橋上駅で東西に駅舎が有りますが、こちらの東口の方が

大規模で玄関口の様になっています。

尚二つに分かれているうち、右側の方は2009年に竣工した

橋上駅舎で左側の方は1937年完成の由緒ある駅舎です。

(駅自体は1907年開業)

関東の駅百選にも認定されています。

(十枚目)

東口側にはバス待合所が有りました。

館林近辺はかつては東武バスが走っていましたが、群馬県内は

バスの衰退が激しく、又東武バスが北関東エリアからの撤退を

進めた結果、90年代には一時期バスが市内に存在せず当時

全国で唯一のバス無し市だった事も有りました。

現在は近辺自治体と共同でコミュニティ路線バスが走って

いる様です。

 

次回に続きます。

 

参考文献  鉄道ピクトリアル No.799 2008.1 

      臨時増刊号【特集】東武鉄道 

 

参考HP   Kasukabe総合車両センター 

 

      ウェブカッフェ「れとろ駅舎」

 

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