撮影日   2022.5.29

撮影場所  JR東日本小海線 小淵沢行き普通列車車内

      (1枚目は小諸駅)

 

前回小海線用のキハ110系を紹介しましたが、今回からは

車窓の紹介です。

5月の爽やかな気候の下、信州の高原をディーゼルカーが

快走しました。

 

(一枚目)

・これから乗車する、キハ110-109+116の2両です。

ワンマン運転の普通列車で、現在小海線の普通列車はキハ

110、キハ111+112形とハイブリッド車のキハE200形が

使用されています。

この列車は小淵沢行きで、乗り通すと2時間20分程かかります。

現在同線の列車は普通列車がメインで、全線直通列車の他に

中込駅・小海駅・野辺山駅折り返し列車も存在します。

又観光列車で快速「HIGH RAIL 1375」も運転される他、

臨時列車「八ヶ岳高原列車」も運行されます。

沿線に観光地を抱える為、かつては中央本線や信越本線からの

直通列車も運行され、直通の急行列車の他シーズン期には臨時

列車も走り、DD16牽引で169電車のアコモ改善車が乗り入れた

事も有りました。

(二枚目)

小諸駅を出発すると暫くしなの鉄道と並走します。

かつては信越本線でしたが、今は三セクに移管されています。

もっとも向こう側は電化の複線で、かつての幹線の名残が

有ります。

 

小海線は中央本線の小淵沢駅からしなの鉄道小諸駅間を

結ぶ路線で、営業キロは78.9kmの長い非電化路線です。

全区間単線で電子符号照査式の特殊自動閉そく方式を採用

しています。のどかなローカル線の印象が強いですが、

小淵沢駅から野辺山駅までは大都市近郊区間に含まれて

いるのが特筆されます。よって区間内の銚子駅から野辺山駅まで

切符を買っても制度上途中下車出来ないのが恐ろしいです。

中部地方の山岳地帯を走る為、最大勾配33‰を抱える勾配

路線となっています。かつては2台エンジン車が多数配属

されていました。

(三枚目)

しなの鉄道との並走区間は結構長く、途中東小諸・乙女の

両駅までは並走しますが小海線にしかホームは有りません。

その為約3キロほど並走し、写真の様に分岐して行きます。

 

元は佐久鉄道の手によって、小諸駅起点で1915年に中込駅

まで開業しました。以後延伸が進み1919年に小海駅まで開業、

開業後は電車型の客車が導入された事も有り、電化計画が

有ったのかとも言われていますが実現せず、1930年から

ボギー式のガソリンカーを導入し、山岳且つ寒冷地ですが

主力として活躍、戦後は私鉄に散り一部は電車化されました。

その後は国鉄の手で両側から延伸が進められ、小海北線と

小海南線と名乗りましたが小海北線側は私鉄の駅である小海

駅から延伸が行われた為、当初は国鉄の路線と全く接しない

路線でした。1932年に小海北線が佐久海ノ口駅まで、1933年

小海南線が小淵沢駅から清里駅まで開業し、1935年に両線が

繋がり小海線となりました。その間1934年に佐久鉄道は買収

されており、これで現在の形が出来た事になります。

以後は国鉄からJRに引き継がれ、現在も首都圏に近い観光路線

として活躍しています。

(四枚目)

暫く走って佐久平駅に到着しました。ここは北陸新幹線と

接続しており、小諸駅に代わり当地方の代表的な駅となって

います。もっとも小海線側は1面1線だけとなっています。

ここは山々に星空を抱いたイラストが描かれた駅名板でした。

(五枚目)

・三角屋根とステンドグラスが立派な佐久平駅の駅舎です。

1997年に新幹線開業に際し設けられた駅で、新幹線開業に

際し小海線が乗り越す形になっています。

当然有人駅で、立派な駅前広場も設けられています。

(六枚目)

その先中込駅には小海線の気動車を管理する小海線統括

センターが設けられています。聞きなれない名称で、小海線

営業所と名乗っていた物が訪問直前の2022年3月に改名

されたものです。かつてはC56形やDD16と言った小海線

らしい機関車も配属されていました。

庫内にはキハ110系の姿が見えます。

(七枚目)

構内には小海線専用形式となっている、世界初の営業用

ハイブリッド式気動車・キハE200形キハE200-3が停車して

いました。

 

キハE200形は2007年に3両が製造されたもので、20m級

両運転台式でステンレス車体を持ち、キハE130系に近い

車体ですがドアは片開で両端設置の2ドア構造です。

車内は2-1列のセミクロスシートで車椅子対応トイレを

設置しています。

最大の特徴はディーゼルエンジン(450PS)と屋根上搭載の

蓄電池を組み合わせ、それらによりモーター(95kw×2基)を

駆動させるシリーズ式ハイブリッド構造を採用した事です。

制御装置はVVVF制御で、ブレーキは電気指令式で気動車

ながら回生ブレーキを備え、且つ環境配慮型のエンジンを

採用した省エネ車両です。

塗色は専用の物で、登場以来小海線で単独運用で使用されて

います。尚JR東日本のハイブリッド式・電気式気動車は以後、

アルファベットを使った独特の形式となりました。

(八枚目)

中込駅の駅名板と小海線統括センターの建物、そしてキハ

E200-3です。2007年東急車輛製です。

 

キハE200形はその後増備されず3両だけの少数派となりましたが、

以後JR東日本のハイブリッド車は2010年に各地区の観光列車用

として製造されたHB-E300系、2015年運行開始の仙石東北ライン

向けHB-E210系に引き継がれました。

更にJR他社でもハイブリッド式気動車の導入が進められた為、

本形式は少数派ですが記念すべき車両です。

(九~十一枚目)

小海線は私鉄が出自の為か、小諸駅から小海駅までは駅間

距離が短い区間が多いです。

又龍岡城の様な気になる駅名や、山の中なのに海尻・小海・

佐久海ノ口といった海が付いた駅名も特徴的です。

爽やかな車窓を眺めたら気が付いたら寝てしまいました。

多分ここは海尻駅や松原湖駅付近の千曲川だと思いますが、

3日間に渡って新潟からずっとこの川に付き合っています。

松原湖駅付近では流石の高性能のキハ110形もエンジンを

唸らせていました。

(十二枚目)

 佐久海ノ口駅の駅名板です。 

1932年に小海北線(当初は小海線)が小海駅から当駅まで延伸

され、一時期はここが終着駅でした。1面1線の無人駅で、

近年地元産の木材を使用した駅舎に建て替えられましたが、

木のせいで良く見えません。

(十三・十四枚目)

ここはその先、佐久広瀬駅付近だと思います。

山に囲まれた中に盆地が広がり、レタスなど葉物野菜が育ち

収穫用らしきトラックも見えます。

(十五枚目)

この付近でも千曲川が車窓から眺められました。

信濃川と呼ばれる下流付近も合わせ、延長367kmとなる長大

河川ですが、源流はこの近くの長野県川上村です。

ここからはるばる新潟まで流れているのかと思うと、何だか

胸に来るものが有ります。

(十六・十七枚目)

・続いて信濃川上駅です。真新しい木造の駅舎は2021年に

建て替えられたもので、島式1面2線の簡易委託駅です。

かつて貨物輸送を行っていた名残か、駅舎とホームの間が

離れており構内踏切で連絡され、保線用の側線が下写真に

見えます。

元は1935年に小海北線として佐久海ノ口駅から延伸された

際に開業しました。

(十八~二十枚目)

小海駅を過ぎ、国鉄(開業時は鉄道省)開業区間は駅間の

距離が長くなります。ここは野辺山駅との間で、既に標高

1,000mを越えてJRでも最高地点に近い場所です。

車窓には高原野菜の葉物が広がり、美味しい白菜やレタスが

ここで生まれるのでしょう。

かつて小海線は高原野菜の貨物輸送も盛んに行われ、この付近

では駅間で貨物列車に積込を行っていたというので驚きです。

 

次回に続きます。

 

 

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