撮影日   2022.5.29

撮影場所  JR東日本信越本線 長野駅(一部小諸駅及び車内)

 

前回に続き、一昨年訪問の北陸・中部旅行の記事の続きです。

今回から最終日となり、長野からまずしなの鉄道に乗車し

小諸へ向かい、小海線を走破し小淵沢から中央本線を経て

塩尻へ、中央線の旧線にも乗車し最後は飯田線を走破するという

ハードなルートでした。

これにより飯山・小海・飯田といった中部地方の長距離ローカル

線を走破した事になります。

 

(一枚目)

最終日の第一ランナーはしなの鉄道の小諸行き普通列車です。

何が来るかと待ち構えていたら、湘南色復刻色の115系S3編成が

やって来ました。これには驚きました。

 

しなの鉄道は1997年の北陸新幹線長野開業に際し、長野地区の

主力だった115系1000番台を3両11本、169系を3両4本譲受

しました。当初はJR時代の「新長野色」のままでしたが、順次

独自塗色に変更されています。

この時譲渡された分はJR時代は未更新で、1本を除きしなの鉄道

にてリニューアル・ワンマン化されました。

その後2013年に169系引退及び輸送力適正化の為、やはり長野

地区で使われていた115系2連を7本導入、更に2015年に北陸

新幹線金沢開業によりしなの鉄道区間が延伸され、再度長野地区の

115系3連5本が導入されました。

第2・3陣も全て1000番台ですが、これらは入線前にリニューアル

(一部除く)されていたグループでワンマン化も行われています。

 

こうして合計で3連16本・2連7本が導入され一時期は全車が本形式

だった事も有るしなの鉄道の115系ですが、2013年にまず未更新の

3連1本が廃車され、2020年に新車・SR1系導入で本格廃車が発生

しました。未更新車は既に消滅しており、2023年には2両編成も

消滅しています。115系天国だった長野地区ではJR所属車は211系

導入で2015年に引退しており、しなの鉄道車も将来的にSR1系に

より全車置換の見込みで、東日本に残る115系は間もなく見られなく

なります。

(二枚目)

この編成は軽井沢方からクモハ115-1013+モハ114-

1018+クハ115-1012となっており、1978年川崎重工製

です。1997年のしなの鉄道・篠ノ井駅~軽井沢駅間(しなの

鉄道線)開業で入線した第一陣・S1~11編成グループです。

入線リニューアルが行われ、又2002年からワンマン化が

施工されました。

このグループは2013年に未更新のS5編成が廃車、S8編成は

観光列車「ろくもん」に改造されています。

第2・3陣の車両が殆ど引退したのに対し、本グループはまだ

多くが現役の模様です。

 

この車両はクモハ115-1013で、ワンマン化に伴い車外

スピーカーやドアチャイムが設置されました。但し駅収受式の為

運賃箱等は設置されていません。

2005年にリニューアルされましたが、九州や西日本の様に通風器

撤去は行われておらず、ドアも半自動式ですが押しボタン化は

行われていません。

(三枚目)

中間車モハ114-1018です。第2陣以降の譲渡車ではシングル

アームパンタ化されていましたが、第1陣のグループは菱枠式の

ままでした。但し2021年からシングルアームパンタへ換装が

行われています。転落防止幌は未設置です。

 

しなの鉄道の115系リニューアル工事は1999年から開始され、

殆どがJR東日本の長野総合車両所での施工です。

施行内容は同時期にJR東日本の113・115系に行われたものと

近く、外板修繕や床と屋根の張替、側扉ガラスの交換やHゴムの

取替です。又車内の更新や車椅子スペース設置(初期車は未設置)

も行われていますが、JR車の様なCPの交換や台車の改造は

行われませんでした。

(四枚目)

クハ115-1012の側面です。行先表示器は幕式のままで、

国鉄風フォントで懐かしさを感じます。

トイレ付きですがしなの鉄道では処理装置の都合上、入線

以来不使用となっています。S8編成のみ後にバイオトイレ

に改造して試験的に使用した後、観光列車「ろくもん」に

改造後再度車椅子対応トイレが設置されています。

後継のSR1系は車椅子対応トイレ付きで落成しています。

(五枚目)

こちらはクハ115-1012の前面です。115系1000番台でも

初期のグループで、東海形の前面に安心感を覚えます。

編成番号札もオレンジの地色です。前面の表示は「普通」。

 

しなの鉄道の115系は近年復刻色に変更された編成が複数

登場しており、旧長野色・新長野色・スカ色車も存在しました。

他に台湾鉄道の特急電車・自強号EMU100形風の塗色に変更

した車両もいます。但しこれら復刻色編成も一部廃車が発生

しており、もう1本の湘南色編成だった2両のS25編成も

廃車済みです。

(六枚目)

・クハのクーラーです。本編成は見た限り少なくとも両先頭車が

ステンレスキセのAU75G系に換装されていました。

(七枚目)

これはモハ114の標記です。

上から、「形式 モハ114 自重 41.9t 換算 積 5.0

空 4.0」、検査標記は「2014-11 屋代工」です。

検査等は屋代駅構内の長電テクニカルサービスでの実施で、

長電が関与しているのが意外な気がします。

(八枚目)

・ここからは車内で、これはクモハ115-1013です。

しなの鉄道自社施工分のリニューアルでは座席の交換や

床材の張替が行われました。

座席モケットはグレー系で、両脇が斜めになった特徴的な

座席です。東日本の115系リニューアル車の内、長野や

新潟で見られたものと似た形状で、115系でも豊田車とは

形状が違います。但しモケットはオリジナルです。

一方床は灰青色で、これはJRのリニューアル車とは異なって

います。BOXシートにはミニテーブルも有ります。

(九枚目)

もう一枚同車の車内を。JRのリニューアル車は化粧板が

白系に交換されましたが、しなの車は淡緑色のままなので

交換されたのか元のままなのか不明です。貫通扉も緑の

ままで窓の拡大等は行われていません。

化粧板の色合いの為原型に近い内装に感じます。

尚第2・3陣はJR時代にリニューアル施工済みだった為、内装が

異なっていました。

(十枚目)

車端部はクハを除き、雪切室設置の為ロングシートとなって

います。優先席に指定されている箇所はJR東日本の優先席

モケットとなっています。座席はバケットシートに交換

されています。

尚しなの鉄道のリニューアルは1999年から2010年と長く

続けられており、車両によって一部内装が違った模様です。

(十一枚目)

運転台後部には後年ATS-Pが設置され、2人掛け座席を

撤去し大きな機器箱が設置されています。戸袋窓や仕切り窓

の閉鎖は行われていません。

ドアはステンレス無塗装、床は中央が塗り分けられた灰青色で

ドア付近は黄色です。

(十二枚目)

クハのトイレ前部分はBOXシートとなっており、115系

1000番台の車端部で唯一クロスシートです。

クロスシートは取っ手が大型で肘置きの形状も独特で、

貫通路に接する座席は取っ手が有りません。

(十三枚目)

車椅子スペースはクハの旧トイレ隣に設置されており、

ヒーターも設置されています。これはJR東日本の113・115系

リニューアル車と同じ場所です。荷棚や吊手も残っています。

トイレは業務室となっています。

(十四枚目)

天井は国鉄時代、集中クーラー車で標準だった逆台形に

風洞が張り出しているタイプです。白く塗られており、

淡緑色の化粧板と共に国鉄型でよく見られた内装ですが

いつの間にかかなり減ってしまいました。

照明は蛍光灯のままです。

(十五枚目)

ドア上には2004年より広告等表示用のLCDモニターが

1両に3か所設置されています。

JR各社の113・115系リニューアル車では見られないもので、

先端的ですが配管がむき出しなのが何とも…。

そしてドアには「お願い このドアは手で開けてください」の

文字が。結構115系のドアは重いのですが…。

 

それにしても今や貴重な115系、しかも湘南色車に乗れるとは

まさか思わず大変貴重な経験でした。

やはりこの色・この顔は落ち着きます。

次回に続きます。

 

 

以上です。

 

参考文献  鉄道ピクトリアル No.910 2015.11

 

参考HP  ウイキペディア 関連ページ