撮影日   2022.5.27

撮影場所  糸魚川ジオステーション

 

前回に続き、一昨年乗車した北陸旅行の際に訪れた糸魚川

ジオステーションのキハ52の紹介です。

現車は引退してしまいましたが、綺麗に保存されており今にも

走り出しそうです。

因みに私がJRのキハ20系に乗車したのは大糸線現役時代のキハ

52に一度乗っただけなので、この車だったかも知れません。

 

(一枚目)

車内です。

同じく末期まで残っていた東日本のキハ52の多くが車両更新工事

(一部は特別保全工事)を受け、盛岡エリアでは一段窓改造も受け

大幅に内装が変わっていたのに対し、西日本のキハ52は比較的

原型を留めています。

但しワンマン化や冷房改造等で変更箇所も多いです。

ドア間はセミクロスシートとなっていますが、原型はBOXシートが

6組だったのに対し、大糸線で最後まで残ったキハ52 125と156

はBOXシートを4組に変更しロングシートが拡大されていました。

JR西日本のワンマン改造車の一部で施工された内容ですが、当車

については参考文献(鉄道PR誌 NO.823)によれば国鉄末期に

施工済みだったとの事で、試行だった可能性が有ります。

吊手はロングシート部のみの設置です。

壁は最早ほぼ見られなくなった国鉄標準の薄緑色です。

(二枚目)

キハ52形は原型では運転台後部は全てクロスシートで、この

前位側では運転台後部に前向き席+BOXシート1組の配列でした。

しかしロングシート拡大の際にこの区画は全てロングシート改造

されています。

袖仕切りはパイプタイプの簡易的なもので、ここも吊手が増設

されています。

 

乗務員室の仕切り窓はHゴム支持の大窓で、黒Hゴムで左右に設置

されています。

ワンマン改造で運賃表示器・運賃箱・整理券発行機が設置され

ました。運賃箱はスライド可能な物で運転台後部に格納スペースが

設置されています。整理券発行機はパイプでガードされていますが、

ちょっと邪魔そうな場所です。

尚西日本のキハ52ワンマン改造車は車両によって車内レイアウトに

差異が有りました。

(三枚目)

こちらは後位側の車端部です。

まず、ドア間のロングシート増設部の座面は2分割されています。

又この側の運転台後部には元々トイレ(助士側)及び水タンク室

(運転台側)が有りました。

しかしJR西のワンマン改造されたキハ52では全て撤去されています。

そして元々はトイレ及び水タンク室とドアの間は1組のBOXシート

が有りましたが、撤去され座席は有りません。但し床の暖房は

トイレ・水タンク部にも設置されています。

 

床は元々国鉄標準のライトグレー1色だった筈ですが、ロング改造の

際の施行なのか床部分は黄色く塗り分けられ、更にステップ付近は

ピンクになっています。もっとも汚れていて色が判別しにくいです。

(四枚目)

運転台内部です。

オリジナルの2ハンドルタイプですが、色々増設されている

様です。ワンマン改造で仕切り扉は撤去済みです。

車内にトイレが無い旨の注意書きが有ります。JR西では国鉄

時代からの傾向でしたが、ローカル線用車にはトイレが無い

車が多くいました。2000年代に入ると105系や123系、キハ

120等にトイレが設置され長時間でも安心になりました。

(五枚目)

BOXシートは原型のままで、国鉄スタイルの懐かしいものです。

キハ20系は後のキハ45系と違いクロスシートが多く、特にキハ52は

両運の2台エンジン車の為急行運用も多く当車も七尾線の急行に

使われていた様です。

手すりは半円形の古いスタイルで、クロスシートのフレームは

グレー塗り、肘置きは茶色と懐かしいスタイルです。

モケットは青色から北陸の国鉄型でよく見られた茶色系に変更されて

います。2008年頃まで白いカバーが掛かっていました。

窓框には木製のテーブルが残っており、撮影時は気づかなかった

ですが栓抜きも残っているそうです。

(六枚目)

側扉です。

ステンレス無塗装ではない、鋼製の塗り扉で大変貴重です。

ドア幅は比較的狭く、ステップ付きで半自動ドアですが開く

際は手動の為取っ手が付いています。最後まで押しボタン式に

なりませんでした。

尚キハ52の初期車はプレスドアでドア下部には横長の明り取り

窓が有りましたが、119以降は凹みが無いタイプになり下隅に

明り取り用の丸い小窓付きとなりました。

この車では小窓は無くなっています。

(七枚目)

トイレ撤去跡は元々の横長の明り取り窓が残っており、

通常のガラスの固定窓となっています。

キハ20系ではトイレの窓は殆どが大窓で、この形状はキハ52

149以降の車両だけでした。

反対側の水タンク室跡は窓は設置されていません。

(八枚目)

側窓は上段・下段とも上昇可能な二段窓です。

キハ20系の初期型はキハ17系と同じでバス窓でしたが、キハ

52では全車2段窓となりました。

窓下部の隅にRが付いており、次のキハ45系以降の角ばった

ユニット窓と形状が異なっています。

(九枚目)

壁にはコート掛けが残っており、国鉄型のクロスシート車で

お馴染みの席番も有りますが席番表示は後年交換した様で

どう見ても新しいです。指定席扱いなど無い筈なのに民営化後に

新調したのでしょうか?

壁には扇風機スイッチも有ります。

(十枚目)

荷棚です。103系等と違って吊手と独立した構造で、シンプルな

形状の荷棚受けで金網仕様です。

この様にロングシート改造された区画の壁にはコート掛けの撤去

跡が有ります。

(十一枚目)

大糸線のキハ52の特徴と言えば冷房改造です。JRに残った

キハ20系の冷房改造は西日本と九州のキハ52に僅かに施工

されただけで、西日本車では機関直結式のWAU203クーラーを

設置し車内4か所に大きな吹出口ユニットを設置しました。

設置個所の荷棚は撤去されています。

民営化後、バス型のクーラーを設置した車両(多くは気動車)で

見られたスタイルで、壁に直接配線が貼っているのが如何にも

改造然としています。

天井は丸天井で白く塗られ、照明は新製時から蛍光灯です。

(十二枚目)

最後に、天井に設置された扇風機です。冷房改造後も補助の為

残りましたが、原型の7基に対し6基となりました。

バス用冷房改造車に限らず民営化後に冷房化促進の為各社で

採用された簡易タイプの冷房改造車の多くは冷却能力が不足

気味で、扇風機を残す例が殆どでした。

残念ながら「JNR」のロゴは無く「JR西日本」となっています。

以前乗車した時はお盆でしたが冷房は使わず扇風機のみで、

それでも涼しかったので実際の冷却効果はどのくらいだったの

でしょう。

 

 

懐かしく楽しいキハ52の車内を楽しみ、本命の車両に向かいました。

暫く国鉄型祭りです。

次回に続きます。

 

参考文献  鉄道ピクトリアル NO.823 2009.9

                  同 NO.994 2022.1

 

      鉄道ファン NO.579 2009.7