撮影日   2023.3.23

撮影場所  南阿蘇鉄道高森線 中松駅

 

前回に続き、南阿蘇鉄道のトロッコ列車「ゆうすげ号」です。

ずっと乗っていたかったものですが、約20分で終点中松駅へ到着

しました。短いながらも満足度の高い列車でした。

 

(一枚目)

・中松駅に到着した「ゆうすげ号」です。

ここで降りて貸切バスに乗車するグループも有れば、折り返して

高森駅へ戻る人達もいました。どうも私の様に片道だけ乗車する

個人客は珍しかった様で、切符を買う時に往復前提で聞かれました。

(二枚目)

この中松駅は線内唯一の交換可能駅で、転換後1989年に2面2線の

交換可能駅になっています。三セク転換後から交換可能設備設置までは

線内は1列車しか走れませんでした。

 

本来は駅舎側1番線が高森駅方面、反対側2番線が立野駅方面ですが

2番線は休止中で1番線で客扱いを行っていました。プッシュプルの形態

なので機回し不要です。

本来の運行形態なら高森駅方面から1番線に直接入線は行わない筈なので、

一時的に入線可能な取り扱いをしていると思われます。

(三枚目)

ここは第二次世界大戦中の1945年に停車中の列車が機銃掃射の

被害を受けており、その碑文が建てられています。

(四枚目)

折り返して出発するまでの間、車両を観察しました。

これはDB1602の標記と銘板です。

検査標記は「2015.2.18  日鉄住金物流(株)」、

銘板は「16ton 液体式ディーゼル機関車 型式 HDCB-16LP 

製造番号 2834-0002  購入年月 平成19年3月 

北陸重機工業株式会社」となっています。

型式から見ると北陸重工のレディーメイド扱いなのかも知れません。

同社のHPにも本機が掲載されています。 

(五枚目)

TORA20001客車です。

貨車改造の2両と大きく車体構造が異なっています。

窓は全開可能になっており、阿蘇の風を体感する事が出来ます。

車内は出入り口付近だけ吊手が設置されているのが見えますが、

指定席なのでどういう意図でしょうか。

(六枚目)

トラ70001です。

無蓋車の構造が活かされた車体で、余剰貨車を活用して誕生した初期の

トロッコ列車の姿が今でも残っています。

無蓋車「ト」と言えば有蓋車「ワ」と共に貨車の代表格でしたが、

今や現役の車両は殆どいなくなりました。

(七枚目)

相方トラ70002です。

妻面は斜めに切られた妻板の上に鋼板が伸ばされて屋根に至って

いる構造で、元からの妻板はリブが付いていて如何にも無蓋車

らしいスタイルです。

(八枚目)

これはトラ70000形の製造銘板です。

「宇都宮 汽車會社 昭和43年」となっています。

少し疑問点が有り、これはトラ70002の銘板だったと思いますが

ウイキペディアでは汽車製は70001の方で本車両は舞鶴工業製と

なっています。

又、製造年も2両とも1967年(昭和42年)とウイキペディアでは

記載されていますが、銘板では1968年(昭和43年)製です。

そもそも汽車會社の宇都宮工場自体が同年7月開設との事です。

(九枚目)

・折返しの出発時間が迫ってきたので、近くの踏切付近で撮影を

行いました。エンジン音が聞こえてきました。

(十枚目)

駅の近くは倉庫やアパートが並び、春めいた野草が咲く中を

トロッコ列車がゆっくりとやって来ました。

機関車2両に客車3両繋げた「長大編成」ですが、客車は9m級で

機関車は6.5mで合計40mと小さな小さな車両達の集まりです。

JR標準の20m級車両だと2両分しかなりません。

(十一枚目)

DB1602の側面です。

乗務員室扉を開けて運行していましたが、古い写真ではともかく

今時中々見ない光景です。クーラーなどは付いていなさそうなので

仕方ないのかも知れません。

2軸機なので足回りは至ってシンプルです。

(十二枚目)

トラ70000形です。

足回りは貨車時代そのままで、走り装置は2段リンク式で重ね板バネを

持ち、軸受けは今では珍しく平軸受のままです。

元は「ヨン・サン・トオ」改正での貨車の速度向上に向け、最高速度75

km/h対応で登場した形式ですが、南阿蘇鉄道の最高速度は65km/h、

機関車も49km/hしか出せない為本来のスピードでは走れません。

もっともトロッコ列車なのに75km/hも出したら大変スリリングでしょう。

(十三枚目)

TORA20001側面です。

こちらはコロ軸受けで、流石に近代化されています。

トラ70000形とは製造年が40年も離れています。

 

僅かの間ですがトロッコ列車「ゆうすげ号」を味わう事が出来ました。

阿蘇の景勝に加え今や貴重な機関車牽引客車(貨車)列車という事で

その面でも面白い列車でした。

間もなく全線開通する為、次は全区間乗り通したいですが多くの

お客さんで賑わって中々乗れないかも知れません。

そっちの方が良い事ですが。

 

これからバスで立野まで向かいます。30分以上有ったので駅で

待っていると思いがけない車両がやって来ました。

次回に続きます。

 

 

参考HP   北陸重機工業株式会社(公式HP)

 

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