撮影日   2023.3.23

撮影場所  「ゆうすげ号」中松駅行き車内

 

 

前回に続き、南阿蘇鉄道のトロッコ列車「ゆうすげ号」です。

今回はいよいよ乗車します。と言っても現在運行しているのは

中松駅迄の間、僅か7.2km・5駅で19分というショートトリップです。

 

(一枚目)

・車内では適宜車掌さんが沿線の紹介を行っていました。

 

ここは高森の名所、高森湧水トンネル公園です。高森駅から少し

立野駅寄りに位置し、元は延岡方面に延伸し高千穂線と結ぶ為に

旧国鉄が建設していました。しかし度重なる出水事故で工事は

中断され、高森線と高千穂線を結ぶ工事も終了しました。

現在は湧水を活かし、水源地として活用し一部は公園となっています。

以前中を歩いたことが有りますが、夏でも大変涼しい場所でした。

 

仮に工事が順調に行われ延伸区間が完成していたら、高森駅は移転

していたかと思われます。もっとも高千穂との間は山々が聳え人口も

少なく、大赤字路線になったと思います。

尚この付近にも新駅設置計画が有るようです。

(二枚目)

上写真でも少し写っていますが、駐車場には何故か九州産交バスの

教習車と思われるリムジンカラーのバスが停まっていました。

同社の珍車、セレガマスクの日野ブルーリボンシティのトップドア

ツーステ長尺車(KL-HU2PREA)と思われます。

前折戸で直結式冷房、黒サッシT字窓で濃色ガラスに幕式方向幕です。

2003年に快速「あまくさ号」及び空港リムジンバス用として久々に

導入された車で、リクライニングシートを備えます。

同社の長距離路線車はかつて路線シャーシながら観光マスクのトップ

ドア車が多数導入されており、久々に同タイプの導入でしたが、更に

後部トイレ付きでした。

路線シャーシでトイレ付きの車は大変珍しく、他はかつて京都交通が

保有したトイレ付きエアロスターK等数える事例のみです。

 

しかし後に「あまくさ号」からは撤退し、トイレも撤去されました。

そして数年前に一台は自家用登録となって教習車に、もう一台も

EDSSのメーカー試験車となり営業運行から外れました。

自家用ナンバーの様だったので教習車転用の元「熊本200か270」

だったと思われますが、何故高森にいたのでしょうか。

昔何度も熊本で見かけながらも乗る事が無く終わってしまった車で、

まさかここで見るとは思いもしませんでした。

(三枚目)

南阿蘇鉄道は阿蘇の南郷谷を白川に沿って東西に走ります。

車窓の北側には阿蘇五岳が雄大な姿を見せてくれます。但し今回の

乗車時間は阿蘇五岳を眺めるのには物足りないですが仕方有りません。

生憎の天気で頂上は見えませんでした。

 

乗り心地は流石貨車改造の2軸車、ダイレクトに振動が伝わります。

編成の中間車なので機関車のエンジン音は(残念ながら)聞こえて

きませんでしたが、ブレーキ音はうるさく感じました。

この乗り心地も同じトラ70000形改造の門司港レトロ観光線で

味わったものです。

(四枚目)

最初の停車駅、見晴台駅です。

転換後の1986年の開業で、かつては名前の通り旧駅舎の屋上に

展望台が設置されていた様です。

「午後の紅茶」のCM撮影の際にロケ地として使われ、アナウンスが

有りました。

尚一日の乗降人数は平均1人(2015年)だそうです…。

(五枚目)

この日は少し肌寒く、時折雨も降っていましたが乗車時には

やんでいて、晴れ間も見えました。

沿線には春の眺めが至る所に見えました。

土の黒さは阿蘇の火山灰由来です。これを見ると熊本に来た事を

感じます。

(六枚目)

ここは隣の南阿蘇白川水源駅との間に有る、第三白川橋梁です。

南阿蘇鉄道は何度か白川を跨ぎ、特に立野駅と長陽駅との間に有る

第一白川橋梁は水面との高さが60mも有る巨大なアーチ橋で有名でした。

残念ながら地震で被災し、架け替えられる事になってしまいました。

 

この第三白川橋梁は第一橋梁には規模が及びませんが、橋梁上で一旦

停止しアナウンスが流れました。

白川はこの辺りではそこまで川幅は広くないですが、やがて阿蘇の谷を

降り熊本市内に流れ込み、中心部を流れる「大河」となります。

もっとも過去に大水害を起こした事も有りますが。

(七枚目)

南阿蘇白川水源駅です。

名前の通り白川の水源地の最寄り駅で、2012年に開業したまだ新しい

駅です。同線の駅では最も新しい駅ですが、前述の様に新駅の計画が

有る為記録は更新されるかも知れません。

南阿蘇鉄道は新駅の設置に積極的で、国鉄時代と比べ4駅も増えています。

その為17.7kmの間に10駅(始終着駅含め)も有る為平均駅間距離は

約2kmと短く、しかも立野駅と長陽駅間の様に4.7kmも有る場所も

有れば、この南阿蘇白川水源駅と阿蘇白川駅の間の様に0.8kmしか

ない区間も有ります。

(八枚目)

続いて隣の阿蘇白川駅の駅舎です。800mしか離れていない為

すぐに到着しました。

ここは1928年開業の古い駅で、写真の様に時計台の付いた木造駅舎が

特徴です。無人駅ですが駅舎内では喫茶店が営業しており、乗車時も

喫茶店の方がお見送りしてくれました。

(九枚目)

次の中松駅との間には明神池名水公園が有り、南阿蘇村の観光

スポットとなっています。

険しい阿蘇の山々がもたらす豊かな水資源が南阿蘇鉄道沿線の

「宝」であり、ひいては熊本市内にもその恩恵がもたらされています。

(十枚目)

ここは河童伝説が有るそうで、車内でアナウンスが有りました。

池の中の右側に河童の石像が設置されています。

(十一枚目)

少し雲が晴れ、阿蘇五岳が見えてきました。

以前乗車した時は大変天気が良く、綺麗に眺められた事を覚えています。

阿蘇を巡る鉄道と言えば豊肥本線ですが、南阿蘇鉄道も景色では負けて

いません。スイッチバックというスペクタクルは有りませんが。

(十二枚目)

このまま阿蘇五岳や白川を眺め続けたいですが、列車はあっという間に

終点 中松駅に到着しました。

阿蘇のカルデラの中は春の陽気で至って平和で、所々阿蘇名物野焼きの

跡が見られました。阿蘇の赤牛の姿も見られました。

 

次回に続きます。