撮影日   2022.1.24

撮影場所  小田急電鉄小田原線 海老名駅

      ※撮影可能場所から撮影

 

前回までのロマンスカーミュージアムの記事の続きで、同館を

撮影後初日の最大の目的、50000形「VSE」乗車の為に小田急

海老名駅へ向かいました。

乗車予定の電車が来るまで撮影を行っており、今回からその際の

写真を公開します。 

 

(一枚目)

小田急の通勤電車の常識を良くも悪くも打ち破り、通勤車最大

派閥となってしまった3000形(2代目・以下略)です。

快速急行 新宿行きです。

2200形以来通勤車では久々の非貫通スタイル、2400形以来久々の

ストレート車体に、小田急のステンレス車初のビードレス車体を

採用したVVVF制御車です。2000形に引き続きIGBT素子とボル

スタレス台車を採用、ブレーキも電気指令式ですが電磁直通式

ブレーキ車と併結の為読み替え装置を一部車両に搭載しています。

 

経年車置換の為低コスト化を図って製造され、2001年から2006年に

かけ6・8両編成が大量導入されましたが、年度によって仕様が大きく

異なり特に1・2次車は異端的な存在です。

2010年から2019年にかけ中間車が増備され、後期車を中心に6・8両

から10両への増結が行われており、それにより編成内で仕様が異なる

車両が混結された例も有ります。

18年も増備された結果、346両の一大勢力となっています。流石に

もうこれ以上増備は…?相鉄乗り入れに備えて車齢20年以上の車両に

新車を増結しようとしている、東急3000系やメトロ9000系の例も

有りますが。

(二枚目)

この車両は1次車3253編成×6両で、2002年日本車輛製です。

既に20年経ってしまいました。

日車ブロック工法を採用し、ドア付近の外板が独立しているのが

分かります。

モケットは赤系でグレーの床が目につきます。

3000形では小田急通勤車では初めて集中式冷房となり、窓も遮光

ガラスとしてブラインドが廃されました。

 

1・2次車は1C2M方式となっており、モーター出力は180kwで

1C4M方式で190kwとなった3次車以降と機器類の相違が有り、

歯車比も異なります。

又側面行先表示器のサイズも2次車途中から大型になりました。

更に1次車は2000形と同じく側扉が1,600㎜のワイド幅(運転台

直後は1,300㎜)で、戸袋窓が設置された独特の見付けです。

現在この編成は3色LEDからフルカラーLEDに交換されています。

(三枚目)

3000形1次車は標準仕様へ近づく中でも小田急らしさを残した、

過渡期的な存在です。しかし3000形でも遂に1000形に次いで

リニューアルが開始されましたが(2000形は対象外…)、最初に

出場したのは3次車3265編成で、1・2次車はリニューアルしない

かも知れません。3000形のリニューアルも機器更新が中心で、

1000形の様な大規模な改造では無さそうです。1000形リニューアル

は余りにも時間(費用も?)掛ったせいか、非ワイドドア車全て更新と

されていたのが結局半数程度未更新で廃車されました。

3000形では更新工事は有る程度割り切って行い、異端の1・2次車や

後年増備の中間車は最小限度、経年に応じた必要限度の改造に留まる

かも知れません。

(四枚目)

後方は8000形でした。

1982年から1987年にかけ、4・6両編成が合わせて160両製造された形式で、

小田急初の界磁チョッパ制御車です。側面は9000形や5000形5200番台と

同じく1段下降窓で、前面はブラックフェイスに角型ライトを採用し、

「小田急顔」を脱した近代的なスタイルになりました。

一方小田急伝統のアルストムリンク式台車で、電磁直通ブレーキを採用し

回生ブレーキ併用となりました。

小田急通勤車では最後の鋼製車(一部ステンレスを採用)です。

 

後年の更新で内装更新や行先表示器のLED改造、車内案内装置設置が行われ、

最初の2本は界磁チョッパに電磁直通式のままでしたが、以降の車両はVVVF

制御化され電気指令式ブレーキ化、運転台ワンハンドルマスコン化が施工

されました。

2003年から2014年まで11年かけ行われ、途中からモーターが全密閉式に

なり、更に末期はSiC素子となりました。側面行先表示器も途中からフルカラー

LEDに、車内照明もLEDとなり握り棒の形状変更も行われました。

1000形未更新車に続き、本形式も一部廃車が発生しています。

(五枚目)

この編成は4連の8063編成で、1986年川崎重工製です。

8000形の4両編成は6両よりもリニューアルが遅く、2011年施工で

全密閉式モーターで側面行先表示器はフルカラーLED、車内握り棒は

湾曲した仕様で当時製造中の4000形(2代目)に準じた仕様です。

車内照明は新宿方先頭車クハ8063のみLED化されています。

車内床はドア付近が黄色になり、窓ガラスも遮光ガラスになっています。

 

この列車は3000形と8000形の異系列混結編成で、かつては小田急では

日常的に見られ、それが為に1000形まで電磁直通式ブレーキでした。

しかし小田急伝統だった通勤車の分割併合も今は昔、4000・5000形は

10両、2000形は8両しか存在せず、1000形は4連と10連だけで4連は

箱根登山線メインの為、現在小田急の異系列併結は3000形6連と8000形

4連しか実質的に存在しません。

8000形の引退が始まっている為、いつまで見られるでしょうか。

(六枚目)

続いて、各駅停車 新宿行き8059編成×4連です。

こちらは1986年東急車輛製で、2013年と末期のリニューアル車の為

上の8063編成の内容に加えSiC素子となり全車車内照明がLEDとなり

ました。8000形は試験的な採用との事でハイブリッドSiCですが、

1000形リニューアル車ではフルSiCとなっています。

(七枚目)

相鉄9000系YNBリニューアル車を横目に発車していく8000形各停

新宿行きです。

上の編成の後部も8000形で、10連全て8000形で揃った綺麗な編成でした。

後方は8259編成×6連で、1984年日本車輛製です。2005年と初期の

リニューアルで、VVVF制御ですがモーターは全密閉式では無く、行先

表示器は3色タイプで車内灯は蛍光灯、握り棒はストレートです。

残念ながら、昨年11月に廃車されてしまいました。

(八枚目)

反対側には3000形の快速急行 小田原行きがいました。

この編成は10連の3081編成で、3次車以降の1C4M方式でTIOSが導入

されでおり、5次車以降の全ドア上に液晶式案内装置が設置された

グループです。1300㎜の標準幅ドアの為上の3263編成と側面見付けが

大きく異なります。

 

この編成は元は3665編成×8連で、2006年日本車輛製7次車で行先表示器が

フルカラーLEDとなったグループです。2017年に川崎重工製10次車のデハ

3431、サハ3381を組込み同時に全車改番を行って3081編成となりました。

(九枚目)

そして特急「ロマンスカー」30000形「EXEα」がやって来ました。

30000形は2代目「ロマンスカー」3100形「NSE車」置換の為1996年から

1999年に70両が製造されました。

特急車で初めてVVVF制御となり、分割併合可能とし6連・4連7本が製造され

両端の制御車は写真の様な非貫通スタイルで大型窓、中間車は分割対応で

貫通路付きとなっています。20000形に続きボギー構造の20m車で、座席は

リクライニングシートを採用しています。

 

この形式は従来の観光輸送メインからビジネス輸送をターゲットにして大幅に

外装デザインを変更し、唯一「SE車」の名前が入っていません。

しかしそれが為か従来のファンからは不評だった様で、ブルーリボン賞も

逃しています。個人的には他社で特急車として登場していたならもっと喜ばれた

のではないかと思います。

(十枚目)

箱根湯本方先頭車、クハ30551(1号車)側面です。

この30051編成は1996年製の第一陣で日本車輛製です。

大型の固定窓で眺めは良さそうで、ドアは20000形までの折戸から引戸と

なりました。

 

30000形は2017年から大規模リニューアルが始まり「EXEα」となりました。

床下機器はフルSiC素子に全密閉式モーター搭載へ変更され、駆動装置は

TD平行カルダンからWN駆動になりました。

側面や車内表示器はフルカラーLEDとなりトイレの洋式化や車椅子スペース

設置、内装の更新が行われました。

(十一枚目)

隣の2号車、デハ30501です。

リニューアルで塗色はムーンライトシルバーとディープグレイメタリックの

2色となり、その中間にロマンスカー伝統のバーミリオンオレンジの帯が

入りました。上写真の様に大きな号車表示も入っています。

50000形や60000形のデザインに近くなり、伝統的な「ロマンスカー」

スタイルの系譜も感じます。最初からこの塗色で名前に「SE車」と入って

いれば抵抗感も薄れたのでは…?

 

尚、4・6連それぞれ2本分は未だリニューアルされていません。

この先リニューアルされるのでしょうか。

 

次回に続きます。

 

参考文献   鉄道ピクトリアル NO.829  2010.1

                     臨時増刊号【特集】小田急電鉄

 

       鉄道ジャーナル NO.641 2020.3

 

参考HP    4号車の5号寄り

      

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