撮影日   2022.7.15(6・7枚目は2022.3.2)

撮影場所  産交バス 玉名駅前バス停付近

      (4・5枚目は曙町バス停付近、6・7枚目は玉名産交)

 

最早後僅かとなってしまったかつての荒尾市交通局引継の産交バス

所属、三菱エアロスターMです。

 

(一枚目)

・早朝の玉名駅前を走る3067号車です。

表示は「医療従事者のみなさまへ感謝 回送中」です。

 

この車両は2005年に閉局され、車両・路線が産交バスに譲渡された

旧・荒尾市交通局最後の新製車両です。

荒尾市交通局は1949年に開局し、熊本県北部の産炭地・荒尾市内の

バス事業を行っていました。1964年迄は鉄道線も運行していましたが、

在籍した車両は全部で4両という大変小規模な路線でした。

バス事業については一部越境路線も有りましたが、基本的に荒尾市内

完結で西鉄バスグループと産交グループに挟まれていました。

末期は10数台程度で公営事業者としては極めて小規模で、同じ県内の

熊本市交通局に比べても規模が小さいものでした。

しかし炭鉱の閉山後人口減によりバス利用者の減少が進み、遂に

廃止されるに至りました。

(二枚目)

・ドア側の後部写真です。この時は玉名駅に到着後、いずこかに

向かって走って行きました。どこかに回転場が有るのかも知れません。

 

荒尾市営バスの末期の車両は一部に養護学校スクールバス用の貸切車も

在籍した他は一般路線車だけでした。

2000年頃在籍した路線車は自社発注車は80年代導入の三菱MK116、日野

RJ172、いすゞLR312といった中型車や、日デRP210、三菱MP617といった

大型車系が在籍しました。中型車は前中折戸で、LRの後期車は銀サッシの

T字窓でした。RP210は珍しい大型9m車で、富士7Eボディで黒サッシ

メトロ窓そして前中4枚折戸という濃い車両で、九州では大変珍しい車種

且つ大型9m車で4枚折戸という珍しい車両でした。又ここからエアサスに

なりました。

 

移籍車はかつては大変珍しい鹿児島市営バスからの移籍車(モノコック車・

西工ハンペン・一部は鹿児島市営時代のままの塗色だった)もいましたが、

90年代末期に都営バス中古車に代替されました。末期の主役、都バス

中古車はいすゞLV314、、日野HU233、三菱MP218といった大型車と、

中型のいすゞLR312が在籍しました。LVは初期車の為前中引戸の

キュービック、HUは都市新バス仕様のエアサスで4枚折戸、黒サッシ

逆T字窓、MPはエアロスターKで前中引戸の一般車と角目ライトで

4枚折戸・逆T字窓(但しリーフサス)の都市新バス仕様車が在籍しました。

LRは前中引戸で黒サッシ逆T字窓でした。

 

これらの車両の内、比較的新しい自社発注(LRの一部・RP・MP系)と

都営バス移籍車は産交バスに移籍しました。

移籍後は中型車は荒尾地区で引き続き使われた様ですが(オリジナルの

LRは幕が小型のままだった為も有った?)、RP・MP系や都バス中古車は

玉名から熊本市内方面の路線(植木又は河内経由各路線)にも充当され、

熊本市内でもよく見かける存在でした。

当時既に九州産交の本体と違って産交バスには殆ど大型車はいなかった

為、荒尾市営からの移譲後は上記路線は移譲前よりも大型車の割合が

増えたものでした。

 

しかしこれら移籍車は経年車が多く、比較的新しかったRP系(1995年式)

とこのMP系以外は早期に引退してしまいました。

残ったRP・MP系4台はLED改造され引き続き玉名ベースで活躍しました。

(三枚目)

・暫くして折返して来ました。

玉名駅発、九州看護福祉大学行きです。

 

当車両は1996年式KC規制車で、純正ボディの「エアロスターM」

ボディの大型ツーステップ車です。

前中4枚折戸で黒サッシ2段窓で、一般低床車です。

前年導入のRP系に引き続きエアサスに4枚折戸が採用されましたが、

メトロ窓から一般的な2段窓に戻りました。

又モノコック車以来久々の大型車です(10m級短尺車ですが)。

もう一台、3068も導入され荒尾市営最後の新製車となりました。

同局唯一のエアロスターMでも有りました。

産交バスに引継後は産交カラーに塗り替えられ、行先表示器もLED

改造されました。

 

車内は前中ドア間は運転士側2人掛け・ドア側は1人掛けで中ドア後部は

2人掛けのローバックシートで、荒尾市時代のままと思われる赤い

モケットに白いカバーが掛かっていました。

床は緑で壁はクリーム、運賃表は60番までのデジタル式で運転席後部に

急停車注意の案内表示器が設置されていました。

(四枚目)

・少しの間ですが乗車しました。車内は学生で満員でした。

後部は行先表示器部分が独立したタイプで、角型2連ブレーキ

ランプにバックアイカメラ付きです。


九州産交の三菱製大型一般路線車(MP218・618系)はエアロスターMが

標準(一部西工ボディも存在)で継続的に導入されていました。

いずれも4枚折戸でしたが10.5m級標準尺で、側面方向幕は中ドア

前部設置という違いが有りました。

P規制とU規制の初期車はリーフサスで銀サッシ2段窓、ブレーキ

ランプは米粒型でP規制車はフォグランプ丸型、U規制の後期車は

エアサス・黒サッシ逆T字窓でブレーキランプは角型3連にグレード

アップしました。一台だけ入ったKC規制車は更に前面幕周りが黒く

塗られ、後部窓が大型1枚窓になって方向幕が窓内部に設置され、

後部方向幕も大型になりましたが、比較的早くに白ナンバーの

教習車に転用されました。

よって同期の産交オリジナルのエアロスターMとは長さ・側面窓

配置と仕様・方向幕周り・後部に差違が有って興味深いものでした。

 

産交オリジナル車は既に引退した様で(教習車は現役?)、気が付けば

この荒尾市営引継車が最後の産交のエアロスターMになります。

後継のニューエアロスターも既に引退した車両がいるので、貴重な

存在です。

尚他にもフルフラットワンステのエアロスターK風スタイルMP628系

(リフト付き)も存在しました。

(五枚目)

・大学に到着後、回送で走る3067号車です。

現在は玉名所属で主に大学関連の路線に入っている様です。

古巣の荒尾地区や、長躯熊本市内までの路線での運用は今も

有るのでしょうか。

もう一台の3068号車は今回は見かけませんでした。

 

尚余り情報が少ない地域の為、頻発する朝の大学方面の便で

大型車が多く走っているかと思っていましたが、訪問時は

実際には中型車メインで1度は空振り、2度目も当車と中型

ロングワンステの日デJP系1台しか見ませんでした。

玉名地区の大型車の運用を詳しく知りたいものです。

そして、RP系がまだ現役なのかも。

 

・ナンバー 熊本22か30-67 年式 1996 所属 玉名

 形式 三菱KC-MP617K  大型ツーステップ車 三菱ボディ

 前中4枚折戸 黒サッシ2段窓 LED改造車 路線色

 荒尾市交通局引継車

(六枚目)

・以前訪問時に玉名産交で撮影した時の写真です。

 

手前から4台目に3068号車、その4台奥に3067号車がいます。

手前から2台目の今や貴重なジャーニーK、U-LR322系661号車

(元京急バス)も気になりますが、手前から6台目は京王バス風

スタイルの日デJP系西工ボディ中型ロングワンステ(元横浜

市営バス)で、玉名所属の為恐らく762号車です。

その左隣の富士7Eor8Eは一体…?上記RP系や、小田急バス

移籍のいすゞLV318系ワンステ(高出力エンジン+ニュー

ステップ試作車)辺りかも知れません。実はこれらの車両がまだ

現役かも気になって訪問したのですが、稼働シーンは捉えられず。

(七枚目)

・同じく玉名産交です。

気になったのは奥にいすゞキュービックワンステ(前中引戸・黒サッシ

逆T字窓)が見える事です。該当の車両は京急バス中古又は一台だけの

川崎市営中古車ですが、いずれも玉名にはいなかった筈です。

いずれにせよ、玉名地区に現在も大型車が在籍するのは分かりましたが

撮影はハードルが高そうです。

 

荒尾市営バスが無くなってから既に17年がたちました。今でも旧交通局は

荒尾車庫として現役、又バスセンターに至っては現役どころか路線再編で

玉名方面の路線も発着するようになるなど四ツ山や荒尾駅よりも現在の

バス路線の中心的な存在になっています。

一方荒尾市営時代の在籍車はごく僅かになってしまいました。

既に産交バスでもKC車は引退が進んでおり、この車両もいつまで現役か

分かりませんが、長く走って欲しい物です。

旧荒尾市交通局の塗色が復刻されたら嬉しいですが。

 

 

以上です。