撮影日・場所 各写真に記載
以前紹介した熊本市電最古参の1080形に続き、今回は経年車ながらも主力として
活躍する1090形の紹介です。
過去に撮影した車両を何台か紹介します。
※1060形についてはこちら(2021.4.23)
熊本市交通局 1085号車 | 303-101のブログ (ameblo.jp)
(一枚目)
・確か辛島町電停で撮影した、B系統での1092号車です(2019.10.17)。
車体が酷い事になっています…。後述の様にリフレッシュ工事が施された筈
なのですが、現在は綺麗になっている事を信じます。
1090形は2グループをまとめて誕生した形式です。
まず、1955年に188形として2両が製造されました。
車番は前年の180形の続番で、寸法や前中引戸の側面窓配置が同じ半鋼製
低床式ボギー車ですが、側面窓が上段固定式の所謂「バス窓」となり、ウインド
ヘッダーが無くなって近代的なスタイルになりました。
前面窓は3枚窓で中央窓の幅は広くなっているのは変わりませんが、中央窓が
押し出し式になり、両脇の窓は上部固定タイプの2段上昇式になりました。
屋根は張り上げ屋根ですが浅い独特なスタイルで、これは熊本市電の旧型車の
特徴の一つです。
足回りも当時の標準の直接制御に吊り掛け駆動で、モーターは東洋電機SS-50(38
kw)×2基で180形と同じです。しかし台車は近代化され、枕バネがコイルバネ式で
コロ軸受けの新型台車(近車KD-201)となりました。上の写真でもコイルバネ台車が
見えます。
続いて、1957年に増備車として190形が191~195の7両が製造されました。
188形と同じ東洋工機製ですが、台車は同じ仕様ながら住友製のFS-74 となりました。
1967年から1968年にかけ全車ワンマン化され、その際に188と189は1090形に編入され、
旧190形グループが1091~1095、旧188形グループが1096と1097となりました。
その際尾灯がバス用の物になり、前面や出入口脇にワンマンの表示灯が設置され
ました。集電装置は当初菱形パンタでしたが、ワンマン化の際にZパンタ化されています。
熊本市電は日本で初めて路面電車の冷房化に着手しており、本形式も1978年から1979年に
冷房化され、集中式冷房が搭載され暖房も設置されました。
本形式は最後に白熱灯を採用した車両で蛍光灯化が遅く、1987年の施行です。
塗色は何度か変わり特別色が採用された事も有りますが、90年代以降は白に緑帯が標準と
なっています。更には広告ラッピングも施されています。
2010年にはドライブレコーダー設置、2011年には方向幕の更新、2012年からリフレッシュ
工事が行われ2014年にICカードリーダー
設置も行われています。
こちらも製造から70年近く経ちますがまだまだ7両全車が現役です。
(二枚目)
・こちらは交通局前電停の旧車庫(大江車庫)で留置中の1093号です(2019.10.17)。
A系統 熊本駅前・田崎橋の行先を出しています。
現在、熊本市電の車庫は上熊本に移転していますが、交通局前の旧車庫も
一部使われています。
前面は中央窓はHゴム固定窓ですが、元は押し出し式だった為か寸法が少し小さく、
凹んだ形状になっています。両脇は上段Hゴム式ですが、元からの仕様でしょうか。
この車両は2019年の女子バレーボール世界選手権大会のラッピング車でした。
現在は変更されていると思われます。
(三枚目)
・熊本駅前電停に入線する、A系統健軍町行きの1096号車です(2019.1.3)。
この車両はらくのうマザーズのラッピング車です。
九州地方で牛乳やヨーグルトを販売していますが、商品の色そのままなので
同社の牛乳やヨーグルトを思い出してしまいます。
1080形までは古めかしいウインドシル・ヘッダー付きの車体でしたが、本形式では
窓の上部のウインドヘッダーが無くなり大分すっきりしました。
又窓が昭和20年代~30年代にかけ流行した「バス窓」スタイルの為、近代的な
路面電車のスタイルに見えます。この後登場した200形(→1200形)、350形(→1350
形)にも引き継がれた為、熊本市電の旧型車ではよく見かけるスタイルです。
(四枚目)
・熊本駅前電停のドームで、1356号車と並びました。
熊本市電の旧型車は大体が上の1092や1096の様な中央部のみ固定窓のスタイル
ですが、一部車両は形状が違っています。
1096と1356は少数派の全固定窓車ですが、夏は暑そうです。よく見ると中央窓が
1356の方が少し大きく、向かって右側窓のワイパー設置位置が違っています。
両形式ともよく似ていますが、1090形に有る窓下部のウインドシルが1350形には
有りません。前照灯下の連結棒の設置部?の形も少し違いますが、これは個体差
でしょうか。
(五枚目)
・同じく熊本駅前電停で撮影したラストナンバー、1097号車です(2019.1.2)。
A系統 健軍町行きです。
こちらは標準塗色で、前面窓も標準仕様です。中央窓が上の1096より小さいのが
分かります。
上述の様に1096と1097は元188形編入車ですが、全く見た目は一緒です。車番が
190番台に達した為形式を変えただけと思われます。
本形式は7両全車が健在で、1060形から1350形まで22両いる旧型ボギー車の3割
近くを占めています。新型超低床車が増えつつもまだまだ元気そうです。
以上です。
参考文献 鉄道ピクトリアル NO.688 2000.7 臨時増刊号 【特集】路面電車~LRT
参考HP ウイキペディア 関連ページ