撮影日 2019.3.24
撮影場所 富山地方鉄道本線・立山線
前回からかなり時間が空いてしまいましたが、今回は富山地鉄の主力車でオリジナルとしては現時点での最新鋭車、14760形を紹介します。
14760形は創立50周年記念事業の一環として1979年から81年にかけ、2両編成7本+増結用クハ175形1両が日本車輛で製造されました。昭和30年代に導入された、「日車ロマンスカー」各系列を近代化したと言える形式で、車体は18m級片開2ドアで2連ユニット式の側窓となり、前面窓は2枚ながら大型化されました。室内はドア間転換クロスシートのハイグレード仕様が引き継がれています。台車はウイングバネ式空気バネ台車のND-308(クハ175はND-308)となり、足回りはMMユニット方式の全電動車式で110KW(147PS)モーターを使用し駆動方式は中空軸平行カルダン駆動となっています。ブレーキは発電制動併用電磁直通式空気ブレーキのHSC-Dとなっています。
同形式の最大の特徴としては、新製時から分散式の冷房装置を備えていた事で、地鉄としては無論初めて、地方私鉄でも1975年の富士急5000形や1978年の遠州鉄道30形増備車に次ぐ快挙となっています。
本形式は既存の10020形等のロマンスカー各系列の発展形として大量増備され、その結果戦前製の雑多な旧型車を置き換え車種整理に貢献しました。登場後は特急から普通迄各種列車に用いられ、多系列との併結運用も存在しました。
その後は一部車両の補助電源SIV化や一部編成の車端部転換クロス又は簡易リクライニングシート(珍しく線路方向のサイドシート)化が行われた他、編成によっては新塗装化も行われています。更に1998年以後クハ175を除きワンマン化されていますが、現在も主力車として活躍しています。
個人的に精悍なマスクと整然とした側窓の対比がカッコよく感じ、特に旧塗色は痺れます!
(一枚目)
・宇奈月温泉駅で撮影した、モハ14772の前面です。
電鉄富山行きのワンマン普通で、旧塗色を堅持しています。
HMは沿線の上市町のマスコットキャラクター「つるぎくん」です。
大きな2枚窓はピラーで左右に分かれており、明るく近代的な感じです。
幕板の2灯の前照灯も個人的に好みです。
先輩の「日車ロマンスカー」10020形や14720形の「湘南形」譲りながらより男前です。
(二枚目)
・相方を組むモハ14771の側面です。
現在奇数車はモハ14771形、偶数車はモハ14772形と分けられています。主制御器は奇数車、補助電源とコンプレッサーは偶数車装備です。
2連のユニット式の窓が格調高く、ぐっとくる仕様です。10020形や14720形では側窓はR付でしたが、本形式では外嵌め式となり角ばった形状になりました。
(三枚目)
・こちらはモハ14772側面です。
この編成は1981年製となっています。
旧塗色の「雷鳥色」が又渋くて似合っています。雪に映えるだろうなあ。
(四枚目)
・こちらは立山駅撮影のモハ14768(+モハ14767)です。
立山線の電鉄富山行きのワンマン普通で、新塗色になっています。
HMは「立山あーとれいん」となっています。
1980年製となっています。
(五枚目)
・ここからは室内です。
モハ14767の運転台後部です。
ワンマン化に伴い座席と荷棚が撤去されていますが、つり革は残存しています。
車内収受式の為運賃箱が設置されていますが、どうしても後からの改造の為運転室から離れていて確認しにくそうです。運賃箱はICカード対応の新タイプになっています。
運賃表示器はデジタル式ですが、近年はこのタイプはLCDタイプに変更が進みレアになって来ました。いずれ更新されるかも知れません。
(六枚目)
・モハ14771の運転台後部です。
こちらは1号車と号車表示がされている他、仕切りのステッカーが異なります。更にある物が・・・。
床は薄いピンク系で、天井は平天井でカバー付きの蛍光灯が豪華さを演出しています。
(七枚目)
・こちらはモハ14768だったと思いますが、この車両は1980年にローレル賞を受賞しており一部車両の室内に掲示されています。地鉄としては初めての受賞で、どこか誇らしげです。
左上には「日本車輛 昭和55年」の製造銘板が有ります。
(八枚目)
・室内ドア間は転換クロスシートが整然と並んでいます。
モケットは赤系で、白いカバーが付いています。
元京阪の特急車だった10030形に比べると袖仕切りがモケット貼りでは無く化粧板貼りだったり、妻面の化粧板のデザインがシンプルだったりはしますが充分快適です。
(九枚目)
・ワンマン化の際にドア横に整理券発行機が付きました。
ドアはステンレス無塗装となっています。
尚宇奈月温泉から乗車した際は大変暖房が効いていて快適でした。その前富山から宇奈月温泉まで乗りとおした10030形の始発列車が余り暖房が効かなかったのに比べ、暖房が強いのか暖房を入れて時間が経っていたのかは分かりませんが。
(十枚目)
・モハ14767の車端部です。
14760形の車端部は登場時は全車ロングシートでしたが、10030形がワンマン化され特急運用が減った際に一部編成は座席が交換されています。もっとも14760形も現在はワンマン化されてしまいましたが。
尚本編成は参考文献では車端部が新幹線由来の簡易リクライニングシートを線路向きに設置に変更していたそうですが、乗車時は御覧の様にオール転換クロスシートでした。
(十一枚目)
・モハ14771車端部です。
こちらは特急運用増加の際に転換クロスシートになりました。
本形式の化粧板は薄いピンク系になっており、妻面は窓が無い為化粧板が目立ちます。
尚妻面には防犯カメラが設置されています。
(十二枚目)
・モハ14771の製造銘板です。
「日本車輛 昭和56年」と有ります。
地鉄のエース14760形は今日も精悍なスタイルと安定の走りを見せてくれていると思います。
個人的には何かしらリフレッシュしても良いと思いますが。
以上です。
参考文献 RAILFAN NO.718 2013.4
参考HP ウイキペディア 富山地方鉄道14760形電車