
撮影日 2018.9.10
撮影場所 箱根登山鉄道鉄道線 箱根湯本駅(五・六枚目は強羅駅)
前回までの記事で箱根登山鉄道の旧型車編成の旅を味わいましたが、遂に終着点に
着いてしまいました。
今回は乗車編成に連結されていたモハ2形 109号について紹介します。
モハ2形は1927年に追加増備されたチキテ2形を由来としています。
日本車両で8~10までが製造されていますが、以前紹介したチキテ1形と違うのはアメリカ由来の電装品に対しスイス由来の電機品(BBC・台車シュリーレン)を採用した点です。
※元々1形もスイス製の電機部品を検討していたのが第一次世界大戦で輸入できなかったそうです。
当初は1形と同じく木造車体で、荷物室と特等室が有りましたが後に両方とも撤去され、最終的にチキ2形になりました。
足回りは吊掛け駆動で直接制御でしたが、勾配に備え発電ブレーキと電磁吸着
ブレーキを備えていました。
尚2両分追加で電機品類を輸入していた為、1935年にそれらを利用して川崎車輛にて
同社初の半鋼製車チキ111・112が製造されましたが、型式は同じくチキ2形に
なっています。
1950年には小田急電車乗り入れに対応し複電圧対応に改造され、1952年には
モハ2形に改称されました。
1955~7年には東急車輛及び東洋工機で鋼製車体・間接制御に更新されています。
車番も鋼体化時に108~110になっているのもモハ1形と同様です。
但し当初からドア間クロスシートで登場した為、その部分の窓がモハ1形の5枚窓に
対し6枚窓になっています。
塗色は1957年に登場したばかりの小田急ロマンスカー3000形SE車と同じグレーと
オレンジに変更されています。
モハ1形と異なるのは1985年に両運転台のまま駆動装置が1000形と同じ中空軸平行カルダン駆動に改造された点で、同時に台車も新型台車に更新されました。
1990年までに全車に施工されましたが、当初から鋼製車体のモハ111・112は
1991年早くも廃車になり台車は2000系に流用されました。
その後鋼体化グループの3両がドアステンレス化等を行われながら運行されていましたが、2016年には遂にモハ110が廃車になりモハ108・109の二両だけが現存しています。
今後同社では輸送力増強の為新車導入が予定されていますが、これら旧型車の動向が
大変気になります。
(一枚目)
・モハ109の全景です。
モハ1形に似ていますが、前述の通り窓配置が異なっています。
1955年製にしてはやや古めかしい車体ですが、1935年製のモハ111・112に準じた設計(但し全溶接構造に変更)の為です。
この時期なら張り上げ屋根・ノーシルノーヘッダー車体の車両も多く登場していますが、箱根の峠を上り下りする路線には無骨な感じで相応しい気もします。
屋根上は抵抗器が全体にわたって設置されています。
前面行先表示はサボで130周年記念ロゴ入りで、既に強羅行になっています。
尾灯が埋め込み式でないのも今では珍しいです。
(二枚目)
・モハ1形との連結側の運転台です。こちら側はサボが掛けられていません。
前照灯はシールドビームの様ですが、埋め込み式では無い砲弾型でこれも今では
見なくなりました。
同社の旧型車は床が高くステップ付の為、写真の様に黄色く塗られて注意喚起が
なされていますが、満員時は厄介だと思います。
尚上の写真でも見えますが側面のドア開閉表示灯は中央とこの写真の様に乗務員
室扉上の二か所についています。乗務員室扉上に有るのは初めて見ました。


(三枚目)
・ぶれてしまいましたが製造銘板です。
「東急車輛 昭和30年」だったと思います。
東急車輛も気が付けば無くなってしまいました・・・。
尚同社の電車は1935年の111号以降川崎車輛(→川崎重工)製が多いですが、1・2形の鋼体化は様々な会社で施工されており興味深いです。
納期や相見積もりで有利な方に仕事を回したのでしょうか?
(四枚目)
・二枚目とは逆側の運転台写真です。
そちらとは違って妻面の隅は配管では無く雨樋が設置されており、表情が少し違って見えます。


(五枚目)
・室内写真です。まずは運転台側です。
室内はレトロ感あふれていたモハ1形と違い薄木目の化粧板に更新されています。
座席は運転台後部はロングシートで、ワインレッド系の物です。
荷棚の上の金属製の箱はATSか運転状況記録装置でしょうか?
乗務員室内部はモハ1形と同じクリーム系塗りつぶしで、客室と比べアンバランス
です。木部は殆ど無さそうです。
中央部の黒いメーターパネルはモハ1形と同じで、ここは近代的に見えますが左の
手ブレーキハンドルは骨董品的な存在です。
今時設置してある電車はほぼ見ませんが、非常用とはいえ箱根の坂を暴走したら
これでは多分効果は無いでしょう(他にレール圧着ブレーキが有りますが)。
(六枚目)
・室内全景です。
元からドア間クロスシートですが、明らかに比較的最近更新されていてバケット式の
クロスシートが並んでいます。
2000系と同じ物で快適そうですが両運転台の為激混雑時は立席者には地獄に
なりそうです・・・。
化粧板がやはり薄木目なので、レトロなモハ1形と比べより近代的で快適感が感じられますが、やはり非冷房で扇風機も有りません。
実はモハ1形と違い窓が上段も開くようになっており、細かな点で改善されて
います。上段に手掛けが付いています。
ただやはり吊手受けは丸みを帯びた優美な物で、レトロ感を感じます。
木造車時代からの流用品だったら嬉しいですが・・・。
今回はモハ1形のみの乗車だった為乗り心地は分かりませんでしたが、吊掛け駆動+
カルダン駆動の併結編成の場合走行音や停車時の衝動などがどう違うか興味深そう
です。出来れば空いている時に再度乗車してみたいですが、叶うかどうか・・・。
以上になります。
参考文献 鉄道ピクトリアルアーカイブスセレクション33 私鉄車両めぐり関東Ⅱ
参考HP ウイキペディア 箱根登山鉄道関連記事
