先日、初のトライアスロン大会出場を果たしました。

数年前から著名な経営者や周囲の経営者が
トライアスロンに出場していることは知っていたので
ずっと興味はあったのですが、

スイム:1.5キロ
バイク:40キロ
ラン:10キロ

という殺人的なメニューに臆して、ずっと躊躇しておりました。
また、はっきり言ってこんなハードなスポーツ何が楽しいの?
とずっと思っていました。

ところが、今から遡ること15カ月前にある
食事会の席でご一緒させていただいた、経営者として
素晴らしい実績を出されているトライアスリートの方から、

「興味があるならやってみればいいじゃないですか?」

というシンプルな問いかけに心が動きました。

「興味があるのにびびってやらないなんてのは
GIグループの代表としては許されない」
と、一人勝手に
ベンチャー経営者魂に火が点いてしまい、
そこで意を決して(お酒の勢いも手伝って(笑))

「トライアスロンやりまーす!!!」

と宣言してしまったのが始まりです。

しかし、課題は山積みでした。
まず最大の難関はスイムでした。
なにしろ、15か月前はクロールは25メートルしか
泳げなかったのです。
さらにいくつかの誤算がありました。

■誤算その①:スイムは海
さて、さっそく泳ぎの練習からと、先輩から
いろいろと話を聞いていたのですが、
「海は浮くから泳ぎやすいよ」という、そのときの
私にとっては意味不明の言葉が先輩の口からでました。。

都築「え?海ってなんのことですか?プールで1500メートル
   泳ぐんですよね?」

先輩「は?何言ってるの?海に決まってるじゃん」

都築「いやいやいや!海って足つかへんですやん!」

先輩「あたりまえですやん」

都築「ええええーーー!!!!」

ベンチャー魂の火が風前の灯し火と化した瞬間でした。


■誤算その②:平泳ぎはダメ
「一度口にした以上、やるしかない」と
海でのスイムに腹をくくりました。
クロールが苦手な私は平泳ぎならなんとかなるかと
たかをくくっていたのですが、

先輩「平泳ぎしてる奴なんていないよ!男はクロールだよ!」

都築「ええええーーー!!!!」

またもマスオさんと化した瞬間でした。

しかし、一度口にした以上逃げ場はありません。
しぶしぶクロールの特訓に励むのでした。
ジムのプールで教わりながらやるのですが、これは苦労しました。
心が折れそうになることもしばしばでしたが、だんだんと
100メートル、200メートル、と距離を延ばせるようになってきました。
そして6カ月後には1500メートル泳ぎぎることができました。
人間やればできるもんです。


■誤算その③:バイクはケツが激しく痛い
スイムに対しては一段落ついたところで、バイクの練習に
移りました。
学生時代、ママチャリで毎日10キロ以上の通学路を爆走していた
ので40キロというとハードではありますが、やれるイメージは
ありました。
しかしロードバイクという競技用のバイクはママチャリとは
決定的に違う点がありました。
サドル(イス)が異常に小さく固いのです。
バイク用のパッドが入ったパンツをはくのですが、
それでもものすごくケツが痛いのです。
さらに、首だけは上に上げて腰を全開に折り曲げる姿勢が
基本なのですが、この姿勢がまたつらい!
この問題だけは大会当日まで解消できぬままでした。


かくして、15か月の間、できる限りの練習を積みました。
1500メートル以上のスイムは20回以上こなしました。
一度限界までいってみようということで3000メートル
泳いだこともあります。90分かかりました。
我ながら90分も泳ぎ続けるとは立派と、この日ばかりは
自画自賛いたしました。

ランについても10キロ以上の距離を20回以上こなしました。
真夏の炎天下にサウナスーツを着込み気絶しそうになったことも
今では良き思ひ出です。

バイクだけは練習の機会に恵まれず、不安を残すままの
出場となりました。当日はケツの痛みとの戦いとなること
必至と覚悟しました。


そしてついに迎えた
新潟県、村上トライアスロン大会。

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9月19日。大会前日。
ゼッケンの配布、コース説明などが行われました。
800人近い人が集まっており、世間一般では
マイノリティな扱いを受けていますが、
こんなにもたくさん、こんなハードな大会に出る人が
いるものかと驚愕と共に沸々とテンションが
あがってまいりました。

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ただ、今年に入ってからトライアスロン、スイムのみの
大会において9名もの死者がでており、注意喚起の
アナウンスもありました。

死因は入水後400メートル以内がほとんどで
心臓発作、パニック障害などがあるそうです。
さらに、前日の睡眠不足、
過度なアルコールは危険と言われてました。

「がんばりすぎず、勇気あるリタイアを」

というメッセージが印象的でした。
どっちかというとがんばり過ぎるきらいがありますので
非常にありがたい注意喚起でした。

説明会のあとは宿泊先の旅館で、バイクのセッティング
など翌日の準備を行いました。


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ユニフォームをはじめて袋から取り出しました。
私が参加しているチームはGGs(ジージーズ)という
チームです。ほとんどが経営者で総勢20名くらいです。
ジジイになってもトライアスロンがんばりましょう!
という意味だそうで(汗)

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フェイスブックに前日の状況をこのタイミングで
アップしたところたくさんの方から応援のコメント、
「いいね」をいただき本当に励みになりました。
一生懸命にがんばってると人は応援してくれるもんなんだな、
としみじみと人生において大切なことを
ひとり、確認しておりました。


翌日の準備を終えると温泉にゆっくりとつかり
トライアスロン談義に花を咲かせ、
夜は飲みすぎない軽めの宴会です。

この日はじめて会うチームメンバーや
他のチームの方も参加されて非常に有意義な時間でした。
また、中には誰もが知るような大企業の経営者も
いらっしゃり、これを機に懇意にさせていただきました。
ネクタイを締めない関係で、普段なかなかお会いできない方と
同じ時間を共有させてもらえるということも、
トライアスロンの醍醐味の一つと感じました。


さて、ついにやってきました。9月20日大会当日。
なぜ、多くのエグゼクティブと呼ばれる人たちが
トライアスロンに参加するのか。
完走の果てにどんな景色が待っているのか。
15か月間ずっと疑問に思っていた答え合わせの
時間がやってきました。

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今回はタイムリミットは4時間です。

スイム:1.5キロ
バイク:40キロ
ラン:10キロ

「勇気あるリタイア」、「ケツの痛みとの戦い」
という言葉を胸に
延べ51.5キロの旅へと出発します。

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スタートは年代別に5つに分けられ、
30代の私は第二波としてスタートしました。
そもそも完走が目標の私は誰かと競うつもりは
毛頭ありませんので、みなさんを先に送りだし
自分は一番最後尾でゆっくりと泳ぐことにしました。





はじめの感想としては

「すっげ~気持ちいい!」

です。天候にも恵まれゆっくりとクロールをしながら
人生についてのんびりと考えておりました。
非常にゆったりとした幸せな時間でした。

しかし、その幸せも長くはありませんでした。
10分後にスタートした第三波の40代の方々と
次々と追い上げてくるのでした。

なるべく端っこを泳いでいたつもりなのですが、
後ろから追い上げてくる人がガンガンぶつかってきます。
後ろに人がいると思うとキックも怖くてできませんでした。
嵐が過ぎ去るのをひたすら待ちながら、耐えるという
この時間は非常にストレスでした。

第三波のトップ集団をかわしてからは、またのんびりと
した時間だったのですが、やはりちょろちょろと追い抜いてくる
人たちとぶつかり非常にやりにくかったです。

そうかと思うと、今度は第四波、第五波と追い上げてきて
混戦状態になりました。
なんとか人がいないところを探してぶつからないように
泳ぎましたが、こんなにストレスがたまるとは思いませんでした。

しかし、練習の甲斐あって、時間はかかりましたが
難なく1500メートル泳ぎぎりました。

次は問題のバイクです。
問題のケツの痛みですが、多少の練習の効果があったのか、
思ったよりも大丈夫でした。
海岸線のきれいな道をのんびりと自転車で走るのも
また、ものすごく爽快でした。
行く先々で村上市民のみなさんが見ず知らずの私に
温かい声援を贈ってくれました。
「がんばれー!」
「がんばれー!」
と30メートル置きに声をかけてくれます。





最初は「がんばりまーす!」と声を返してましたが
さすがにそれも疲れますので、
途中からは皇太子様のごとく手を振ってこたえながら
ひたすらバイクをこぎ続けました。
ついに、折り返しの地点に到着しましたが、時間を確認すると
55分かかっていました。
このペースはさすがにまずい、と後半戦はかなり気合いを
入れました。
ここで私、開眼しました。自分でも驚くべきスピードで
走ることができ、折り返しは40分で走り切りました。

そして、いよいよ最後のランです。残り時間は十分
あります。もう、ここまできたらやれるイメージしか
ありません!
何よりもこれまで10キロランは何度もクリアして
きました。
真夏の特訓が結実する瞬間を感じながら走りました。
苦しいといえば苦しいですが、それよりも
「気持いい」という感覚が勝っていました。

一歩一歩ゴールへと確実に向かっている感覚。
できるはずがないと思っていたことが、できると思える感覚。
たくさんの人が応援してくれているという感謝の気持ち。
今もたくさんの社員のみなさんが仕事してくれている
からこそ、トライアスロンに参加できているということへの感謝。
そんないろんな想いを噛み締めながら、村上市民のみなさんの
熱い声援に励まされながら、ひたすら前へ前へと突き進みました。






残り5キロという地点で確信しました。

「これは完全にイケる」

残っている体力、時間を計算すると
このペースなら十分いけるはずだと。

しかし、そこで自分の中で疑問が生じました。

「このペースで走って、余裕を残してゴールして感動するのか?」

答えは否です。
せっかくこんなに遠方まで来て、しっかりと準備してやってきたのに
余裕のゴールだときっと後悔すると考えました。

そこからさらにペースをあげて自分自身を追い込みました。
10人は追い抜いたと思います。

「おお、俺ってこんなに走れるんだ」

と自分自身に驚きを感じながらひたすら走りました。
人間は成長できるものだなとつくづく感じます。
思い返せば、小学校の頃などはマラソンが本当に苦手で
マラソン大会の日には仮病を使うほどに、走ることを
避けていました。
そんな自分が今、トライアスロンを完走しようとしています。

残り1キロメートルとなりました。

もう理屈じゃなくここからは気合いだけあれば十分です。
アニマル浜口を心の中に降臨させて応援してもらうのみです。

残り100メートル。
最後の力を出し切ります。

アニマル氏も血管がぶち切れそうです。

会場では
「さあ、742番、都築博志さんが間もなくゴールします!」
というアナウンサーの声が鳴り響きます。

そしてついにゴールのテープを切りました!






おめでとう!俺!
やっぱりやる奴やな!俺!

自分で自分を本当によくやったと褒めてやることができました。
そしてチームメンバーも出迎えてくれて熱い握手を
交わしました。

チームメンバーのアドバイス、励ましのおかげで完走できました。
GGsのみなさん、本当にありがとうございました!

そして、大会終了後は世界一美味いのではないか、という
村上牛の焼き肉パーティーで打ち上げを行い、各自帰路につきました。

今回の大会出場を経て多くのことを学び、知りました。

まだ一回しか出場していませんが僭越ながら
格言を残したいと思います。

「トライアスロンとは旅である」

旅の楽しみ方は人それぞれであり、
旅は人を成長させうるものであり、
旅には新しい発見や気づきがあり、
旅はともに行くメンバーで良し悪しが大きく変わるものである。

そして、まさに今回の出来事は
新潟県村上市への旅なのです。

トライアスロンに来たのではなく、私は旅行に来たのです。
気の合う素敵なメンバーで前日に温泉に入り、宴会を楽しむ。
翌日になぜかたまたますごくハードなスポーツイベントに参加し、
また温泉に入って村上牛を食べて家に帰る。

こんなちょっとハードですが、非常にエキサイティングな
旅行にまた参加できるように、また全力で仕事します。

応援していただいたみなさま、本当にありがとうございました!
そして、興味があるという方々!
人生は一度きりですよ!
そして今が一番若い!
機会あれば是非ご一緒しましょう!

それでは今日も一日よろしくお願いします!

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