「あの…、この絵本」
昨夜酔って抱きしめたこの子は、
明るい光の中で冷静に見ても…
可憐だった。
「あぁ、その絵本を探していた…」
ドキドキと心臓が早く打って、血圧が上がりそうだ。どうしたと言うんだ?
「昨日、僕…同じ本を拾いました。あなたの絵本じゃないですか?」
「え?」
「あの、ごめんなさい!」
「僕の家に置いてあって」
「持ってきます!ごめんなさい!」
立て続けに頭をさげて謝る姿に、
形の良い丸い頭に思わず見とれてしまいそうになってしまった。
しかし勿論謝ってもらう事でもなく、
むしろ私にはこの子が拾ってくれていたのは嬉しい事で。
「あ、いや…見つかって良かった。無くしたと思っていて」
可愛い頭を漸く上げて、
私を見つめる黒目がちな目は、うっすらと涙が滲んで…。
私の胸を締め付けた。
「しかし、これから約束があって…」
「で、できれば、夜…会ってもらえないか?」
私の…言動は、ちゃんとしているか?
おかしく…見られていないか?
「僕も…その方が、仕事が終わったら…」
安心したように私を見て微笑んだ顔に、
またしても私の鼓動は早まった。
「仕事が終わって家に取りに行くので、どこでも行きます」
「では連絡を…その…電話番号でも…」
「はいっ」
一目惚れなど、あり得ないと思っていた。
よく知りもしない人を好きになるなど。
運命などというモノも信じてこなかった。
そんな言葉ですませたくない事が多すぎて。
だが、これは…
「運命」と、
単純に信じたい自分がいた。