ポンって置かれただけの手のひらなのに、
優しさがじわっとあたたかくて、
頭を上げれなかった…。
僕がそのままでいると、クリハラさんの手は優しく僕の髪を何度も撫でてくれて、
なんだか、犬とか猫の気分?
「くふふ…」
ちょっと可笑しくなってきて、
頭をあげて笑ってしまった。
「くふふ、クリハラさんは優しいですね」
「ありがとうございます」
こんどは、ぺこって頭をさげて笑った。
「ヤマモトさんは笑顔が似合います」
「あなたが笑っていると、私も嬉しい気持ちになります」
クリハラさんはそう言って、僕がみとれるような甘い笑顔で微笑んだ。
「ごちそうさまです。美味しかったです」
結局、クリハラさんは用意した朝食を全部食べてくれて、僕のいれたコーヒーも美味しそうに飲んでくれた。
「ありがとうございます」
久しぶりの一人じゃない朝ごはんに、僕もちゃんと食べた。
「今日はこれからどうされますか?」
実は僕は仕事が休みだから、
もっとクリハラさんを知りたいって思ってるんだけど。
「実は…」
「泊まっていたホテルをチェックアウトして、長野に帰らないと」
「え?ホテル?長野??」
クリハラさんの言葉にビックリしてしまった。
ほんとは僕の家にいる時間はなかったんじゃないのかな?
「あの…、図々しいお願いなのですが…」
「駅まで…見送ってもらえますか?」
凄く申し訳なさそうにクリハラさんは言うけど、ここに連れて来たのは僕だから…。
「あ、はい!もちろんです」
「僕は…、今日は仕事は休みなので…」
寂しいって気持ちが胸を重くしそうになるけど、僕は笑顔で答えた。
クリハラさんは長野の人なのか。
今度は…、
今度はいつ会えるんだろう?