「ごめん…なさい…」
夢中過ぎて、
畳の上に広がるヒカルさんの髪に意識がむいたのは、その言葉を聞いて氷水を浴びせられた様に冷静になった時だった。
自分のしてしまった事に、
後悔は、無い。
だけど、それは…
「はぁ…、はぁ…」
眼下の、
苦し気に息を吐き、目尻に涙を滲ませた姿。
「……」
すみません、と謝る事は出来なかった。
私の想いが間違いだとヒカルさんに言いたくはなかった。
「ごめん、なさ、い…」
何も言わずに奪った唇が呟く。
自分の行動に言葉も無い私に聞こえのは…
「僕は、男なのに…」
両手を上げて顔を隠したヒカルさんから
小さく聞こえたのは…
「クリハラさんの事が」
「好き…」
一番大切な言葉だった。
強く呟かれた言葉は、
私のいたらなさを自覚させるのに十分だった。
「私も、ヒカルさんが…」
「好き、です」
どれだけ本を読んでも、言葉を知っても、
ちゃんとそれを伝えれないのでは何の意味が有るだろうか?
「愛しいと思っています」
知識も技巧も無く、
ただ事実だけを言葉にするしかなくても、
「私も男の人にこんな気持ちを持つのは初めてで」
ソウセキでもアクタガワでもなく、
私の言葉を。
「いえ、こんな強い気持ちを持ったのはヒカルさんが初めてです」
稚拙でしかなくても、自分の言葉を。
「クリハラさん…」
そっと顔を隠した両手を外して、
私を見つめるヒカルさんの黒く潤む美しい目を、
ちゃんと見つめて、
「ヒカルさんが、好きです」
伝えた…。
「あなたが…」