うさたの倉庫 -12ページ目

うさたの倉庫

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「ごめん…なさい…」

夢中過ぎて、
畳の上に広がるヒカルさんの髪に意識がむいたのは、その言葉を聞いて氷水を浴びせられた様に冷静になった時だった。


自分のしてしまった事に、

後悔は、無い。

だけど、それは…


「はぁ…、はぁ…」
眼下の、
苦し気に息を吐き、目尻に涙を滲ませた姿。

「……」

すみません、と謝る事は出来なかった。
私の想いが間違いだとヒカルさんに言いたくはなかった。


「ごめん、なさ、い…」

何も言わずに奪った唇が呟く。


自分の行動に言葉も無い私に聞こえのは…





「僕は、男なのに…」

両手を上げて顔を隠したヒカルさんから
小さく聞こえたのは…

「クリハラさんの事が」



「好き…」

一番大切な言葉だった。




強く呟かれた言葉は、
私のいたらなさを自覚させるのに十分だった。

「私も、ヒカルさんが…」




「好き、です」

どれだけ本を読んでも、言葉を知っても、
ちゃんとそれを伝えれないのでは何の意味が有るだろうか?

「愛しいと思っています」

知識も技巧も無く、
ただ事実だけを言葉にするしかなくても、

「私も男の人にこんな気持ちを持つのは初めてで」

ソウセキでもアクタガワでもなく、
私の言葉を。

「いえ、こんな強い気持ちを持ったのはヒカルさんが初めてです」

稚拙でしかなくても、自分の言葉を。




「クリハラさん…」

そっと顔を隠した両手を外して、
私を見つめるヒカルさんの黒く潤む美しい目を、
ちゃんと見つめて、



「ヒカルさんが、好きです」

伝えた…。



「あなたが…」