うさたの倉庫 -11ページ目

うさたの倉庫

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伝えて、気持ちが通じたら
もう、そこから離れがたくなり、

せめてもと…私とヒカルさんの仕事の時間のギリギリまで一緒に居たいと泊まってもらった。



普段泊まる様な連中は、皆、その辺りで雑魚寝をしているから客用の蒲団など無く…

私の蒲団に、一緒に寝てもらう。
狭い蒲団に二人身体を寄せあって。


「おやすみなさい、イチトさん…」

枕と座布団を折って並べ、頭を寄せあい、
至近距離にある笑顔。
耳に届く可愛い声。

…ゆっくりと閉じられる、瞼。


男同士で…
などと、今まで考えた事もなく、

「おやすみ…」

ただ…この子を離せなくて、
良い歳をして、

ただ手を繋いで一緒に眠る…。



それだけで今の私は、
幸せな気持ちになった。








いつもの出勤より随分と早く家を出て、
ヒカルさんを駅まで送った。

「……」

かける言葉が無くて無言になってしまう。
もう、離れたくない気持ちが心を占めて、大人気ない事を言ってしまいそうになる。

駅まで、改札まで、それでも耐えられずに
ホームまで見送った。


「好きです…」

当たり前の様な別れの挨拶も口に出来ず、
ただ言えたのはその言葉だけだった。

「はい…」

少しうつむいたヒカルさんの耳の赤さだけが見えた。

「すぐに、会いにきて…良いですか?」

「来てください…」

本当は、今だって別れたくはない…。


「待ってます」

子供の様な口約束。
それでも…。

「はい!」
私の言葉に弾ける様に頭を上げて向けられた
私よりも強いヒカルさんの笑顔に、

私も漸く笑顔になれた。






見えなくなった電車に
未練がましくホームに佇んだ。



しばらくして、

私はどうやって休みを取れるよう説得するか考えながら、漸く職場へと歩きはじめた。