駅で、スーツを着た若い男の人に声をかけられた。
「鑑定をしています」
あ〜…あやしい…
「今、大変な転機でいらっしゃるので…」
「親指に二本線がありませんか」
親指に二本線ね…よくあるよね…
結構ハンサムな若い男性だったこと、
あとちょっとネタになるかな…とも思ってしまい、事務所までついていった。
姓名判断、苗字も名前もボロボロに言われた。
下の名前も良くないと言われて我慢出来なくなる。
帰ろうとしたけど止められた。
「17という数字に何か縁はありませんか?誰かの命日とか。。」
祖父の月命日だった。
「おじいさまがご心配されてるのかもしれません」
おじいちゃん…死んでまで、あとの人のこと心配するような感じじゃなかったよ。
出来ることは生きてるうちにやり切ったと思うよ。
アドラー心理学的に言えば、死者が生きてる人の心配するって、課題の分離が出来てないんじゃないか?
「家系図を書かせて」と言われ、家族のことをペラペラ喋ってしまう。
最後に、「子供も良くなっていくから…」と早速ダシに使ってきたのが引いたな。
セミナーの予約を強く勧められて、一応予約して帰ってきた。
「陰徳なんとか」という言葉を教えてもらい、こういうことは運が良くなるまで周りの人に言わないようにしないといけないのことだった。
(怪しい…)
事務所名をネットで調べたら、掲示板が出てきて、やっぱり宗教団体に繋がっているところだった。
危なかった。
「おじいちゃんも、私のことを心配してくれてるのかも…」
なんて考え始めていた。
気づいてしまうと、寂しかった。
やっぱり、最初のコントみたいなくだりは演技だったのかなあ。笑っちゃったもんなあ。
「大変な転機の相」というのも嘘だったのか…
宗教で救われることもあると思うから、堂々と勧誘すればいいのになあ。
あの人たちは、私を、自分たちより下に見ている感じがした。
真実がわかっていない、子どもみたいなものだから、多少の嘘をついても誘導してやろう、と思っていたのかもしれない。
サンタさん🎅を子どもに信じさせるのはやめようか、と思った。
あれは嘘だったんだ…と気づく寂しさをどう処理してきたんだっけ。
いや、大人は嘘をつくんだ、っていう現実を体験するチャンスかな。
予防接種みたいなものかな。
ま、若い男性に優しく話を聞いてもらうチャンスなんて無いし、鑑定料1万円…
借りを作るのも気持ちわるいから払っちゃったけど、一応優しく話は聞いてもらったから、まあいいか。
(占いは相当ショボかったと思う。)
セミナーは丁寧にお断りの電話を入れた。
旦那には言えなかった。